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呼吸器病センター

気管支喘息

気管支喘息とは

気管支喘息は、空気の通り道である気管支がアレルギー物質や温度の低い空気、煙などいろいろな刺激よってただれてしまう(炎症)ことで、気管支がむくんだり気管支の周りの筋肉が縮んだりして狭くなってしまうことによって起こる病気です。気管支が狭くなることで特に息を吐くのが苦しくなります。また咳や痰が絡むことや、呼吸の時にゼーゼーといった音がすることもあります。
原因はアレルギーの関与が多いと言われていて家の中のダニ、ペットなどが原因として多いとされています。しかし全てのアレルギーの原因が判明するわけでもありませんし、アレルギーが関係していないような患者さんもいます。喘息という病気で特徴的なのは、発作(最近では増悪ということが多いです)を起こすことがあるということです。喘息の患者さんの多くはなんでもない時には全く健康な人と変わりなく、咳も出ないし、ゼーゼーもしませんが、いったんアレルギーの物質を吸ったり、かぜをひいたり、台風がきたり、ストレスがかかるとゼーゼーが始まってしまう病気です。
アレルギーが多いということで、喘息は子どもの病気だと思われがちですが、中年以降に病気が始まる方も多くいます。また子どもの頃にあったが、いったん治ってしまったのに成人になってからまた出てきてしまった(成人再発)の方もいます。
以前は年間に日本全国で6000人もの方が亡くなることがあった病気ですが、今では年に1000人程度まで減っています。しかし、今もお亡くなりになる方がいる病気であることは忘れてはなりません。また患者さんも年々増加していて人口の5〜10%くらいの方が持っていると言われていて決して稀な病気ではありません。

検査

喘息の診断は、似たような症状を起こす心不全や呼吸器の病気を除外して行われます。この除外のためにレントゲンやCT、痰、血液の検査をおこないます。また気管支の炎症を見るために呼気一酸化窒素も測定や、気管支の狭さを測るために呼吸機能検査(肺活量の検査など)をします。

治療法

喘息の症状は発作の時の症状が大きいので、普段は発作の時ほど苦しくないというだけで自分の調子はいいと判断してしまいがちです。
今までできていた運動や、階段の登り降り、犬の散歩など発作以外の症状がないかどうか、咳でよるや明け方目が覚めないかなどにも注意が必要です。
また呼吸機能検査で健康な人と同じ呼吸機能が保てているかにも注意を払って、単に発作がないことが症状コントロールの目標ではないことをご理解いただければと思います。

自己管理

喘息は、慢性の病気で高血圧の方や糖尿病の方のように自己管理が必要になります。気管支への刺激がよくないので自宅の掃除、禁煙など避けられる原因を避けていくことも重要です。また高血圧の方が血圧を、糖尿病の方が血糖値を目安にするようにピークフローという、息を吐く時の瞬間最大風速を測定したり、喘息日記をつけてもらってどのような時に発作や、症状が出やすいかを見返してみるのも大切です。

喘息日記

患者さんご本人で、日常生活での症状変化を記載していただきます。外出、仕事、出張、天候の変化などを記すことで、自己管理を目指します。

  • 喘息日記の表紙
  • 喘息日記の中身

ピークフローメータ

朝・晩時間を決めて測定します。ピークフローの変化が軌道の安定性を反映します。
喘息発作の予測ができます。

ピークフローメータピークフローメータ

測定器にはいろいろなタイプがあります。

気管支喘息発作の治療について

酸素投与を要する中等症以上の気管支喘息発作は入院治療となります。
入院・外来ともに必要時に呼吸リハビリテーション導入を行います。
重症気管支喘息への生物学的製剤や気管支サーモプラスティを行います。
慢性呼吸不全が合併する場合で、在宅酸素療法(HOT)や非侵襲的陽圧換気(NPPV)の必要性の判断と自宅での継続に向けた調整を外来・入院で行います。
入院期間例:7~10日