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がん看護専門看護師に対するインタビュー

がん看護専門看護師にお聞きしました

     がん看護専門看護師

       学生と一緒に

専門看護師を目指したきっかけ

目指したきっかけ

学生時代、たまたま脊髄腫瘍の患者と骨肉腫の患者を受け持ったことがあったのですが、当時はうまく関わることができなかったので苦手意識を持っていました。就職後もなんとなく苦手意識は残っていたんですが、その時に先輩と看護研究をやらせてもらって、自分には自分なりに患者さんをケアできる方法があることがわかりました。そこで、今まで苦手意識を持っていたがん患者さんに興味をもって専門にしていきたいと思いが芽生え、がん看護専門看護師を目指そうと思いました。

専門看護師になるまでの道のり

大学院の選び方

私が大学院を受けたときは、がんの専門看護師になれる大学院が少なかったんです。そんな中たまたま出身校にそういった制度ができたので、そこを選んだという経緯があります。 でも、今もし皆さんが選ぶなら、学校の教育方針とか、自分が特定の専門領域の中でも何をしたいかってところで選ばれたほうがいいと思うんですね。例えば、『がん』と一口に言ってもすごい広いんですよね。具体的には、がんの中で特に緩和治療やりたいっていう人もいれば、抗がん剤治療とか放射線とか…、がんの中でもサブスペシャリティを持っている人が多いので、がんの中で特にやりたいところをやっている学校を選んだ方がいいのかなと思っています。調べてみると大学院のそれぞれ得意とするところって多少違うので、しっかり調べたうえで自分のやりたいことと合致するかどうかを見極めて選ばれるといいと思います。

大学院での学習内容

私はがん看護専門看護師の課程に行ったので、がんの病態や症状緩和、抗がん剤・放射線などの勉強をしました。これらの内容自体は、学科でも学習するけれども、大学院での学習の特徴として、その勉強の仕方が受け身じゃないっていうのがありました。例えば、テーマを与えられて、自分でそのテーマに関してプレゼンできるような準備をして、他の大学院生にそのテーマを伝えることが多かったんですね。今日はプレゼンしなくてもいいなって準備しないで行くと、ある先生にいきなり『自分の考えを述べなさい』って言われてすごい困ったこともあります…。先生にも『大学院は自分でちゃんと考えてやらなきゃ』って言われてちょっとそれが辛かったこともあるんですけれど、今思えば自分が興味を持って行った分野だし、どういうことしていきたいかっていうのを常にその期間に問われていたので結果的には良かったのかなと思っています。

大学院に行った意味

ずっと臨床していると、なんかこれでいいのかなっていう時期が時々あるような気がするんですね。そういうときにもう一度自分の看護を見つめ直したりとかする期間としてすごくよかったと思っています。看護師っていう仕事は一生続けていける仕事ですし、(大学院で学習した)経験もいろいろ生かせる部分があるので、ぜひ機会があればチャレンジしていただきたいなと思います。

大学院と仕事との両立

今は仕事をしながら大学院に行く仕組みがある病院もあるので、その制度を活用したらよいかと思います。私の時はそうした制度がなかったので、休職して大学院に行きました。結果的に、そっち(大学院)に専念する年があってよかったと思います。一方で、私の同級生は、がんの専門看護師になったら経験できない分野の仕事を続けていましたね。例えば精神科の単科の病院とか、救急救命とかね。がん専門看護師として働くことになったら行けないけどそういったケースを知っといたほうがいいと思ったのだと思います。人それぞれですね。

専門看護師の認定・更新について

認定・更新審査の内容

認定審査は、現在は書類審査と筆記試験で行われているようです。書類審査では専門看護師の役割枠組み(実践・相談・調整など)に沿って自身の看護実践事例を報告書としてまとめたものなどが審査されます。筆記試験では、専門看護師教育課程の科目内容から、事例問題と総合問題が論述式で出題されます。 更新はですね、専門看護師の役割は6つあるんですけど、その6つに関して1年ごとに実績を書かなければなりません。その実績にそれぞれポイントが与えられ(例えば、学会への参加で〇点など)、5年間で必要な点数を積み上げる必要があります。学会には日々がん看護専門看護師として活動している実践や疑問に思うことをテーマとして、報告するようにしています。 (認定・更新審査の内容については、日本看護協会のホームページで最新の状況を確認して下さい)

専門看護師としての活動について

認定看護師と専門看護師の違い

それぞれに課せられている役割は明らかに違います。認定看護師の役割は実践・相談・指導の3つで、専門看護師の役割は実践・相談・教育・倫理調整・調整・研究の6つです。認定看護師が求められているのはどちらかというと、より実践のモデルであり、調整や研究という役割を含む専門看護師は組織横断的に活動することが求められているんだと思います。

がん専門看護師としての看護実践

今は主にチーム活動を行っていて、病棟の方と関わるという形をとっています。例えばがんの患者さんでがんに伴う苦痛症状や不安が強い方がいらっしゃると病棟の主治医や看護師から依頼が来て、面談を行ったりケアの方法を検討させてもらって、スタッフと一緒にケアを実施しています。

専門看護師の資格取得による変化

資格取得前は「私個人の看護は本当に良かったのか」と思うことがありましたが、資格取得後は「組織全体としていい看護が提供できたか」に注目するようになりました。専門看護師は全体のチームとしていい看護を提供できるようにする調整役割があって、自分一人がやればいいというわけではないことに気づかされました。

活動における大変さ

病院内のシステムを作ることですね。例えば、がんに関する院内整備として、他部門や多職種と協働して、緩和ケアチームや外来化学療法センターの立ち上げに取り組みました。またがん患者さんの告知や抗がん剤の曝露対策のためマニュアルを作成したりしました。それらがスムーズに組織内に受け入れられていくようにするのが大変でした。

活動におけるやりがい

新しい取り組みをみんなと協働して達成できた時ですね。新しい取り組みを実施して、様々な部署の人たちが、自分が推奨したことを行い、患者さんに良いケアを提供することができたケースなどをみると、やってよかったなって思いますね。

最も大切にしていること

患者さんとそのご家族がどう思っているのかを引き出し、それに沿ったケアをしていくことですね。どうしたいかわからない患者さんも中にはいると思うのでそれを見極めて医療職として道筋を立てたり、患者さんの力を最大限に発揮できるようにすることを大切にしています。

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