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生命ナノシステム科学研究科 福山大輔さんが、第27回大気化学討論会にて学生優秀発表賞を受賞!

2022.12.05
  • TOPICS
  • 研究
  • 学生の活躍

ミクロな視点で、アロマオイルの香りにも使われる「α-pinene」を研究。

生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程1年の福山大輔さん(大気環境質量分析研究室)が、2022年11月16日(水)~18日(金)に茨城県つくば市にあるつくば国際会議場にて開催された第27回大気化学討論会において「高分解能衝突誘起解離質量分析法を用いたα-pinene気相酸化体のOn-line官能基解析」について発表し、数多くの演題の中から学生優秀発表賞を受賞しました。
また、福山さんは、本学の博士後期課程の研究と学生生活を両面からサポートする事業「データ思考イノベーティブ人材フェローシップ学生」の対象でもあります。

※フェローシップについてはこちらをご確認ください。
受賞者
生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程1年
大気環境質量分析研究室
福山ふくやま  大輔  だいすけ
(令和4年度フェローシップ事業採択者)

大気環境質量分析研究室・主宰教員
関本奏子准教授

発表題目
高分解能衝突誘起解離質量分析法を用いたα-pinene気相酸化体のOn-line官能基解析

—今回受賞した発表の研究内容について福山さんに解説していただきました。

私の研究対象であるα-pineneは、主に松やヒノキなどの針葉樹から大気中に放出されているモノテルペンと言われる化学物質であり、人を癒す効果があるとして、日用品の香りやアロマオイルの香りに利用されています。この物質は大気中で酸化されることでPM2.5のような微粒子の発生源になり、この微粒子はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告から、地球環境に影響を与えることが知られています。さらにこの微粒子は人体への影響も懸念されているにも関わらず、これらがどのような粒子であるかは詳しく分かっていません。そこで私はこの微粒子生成の最初の過程であるα-pineneの大気中での酸化反応に着目して研究を行っています。「質量分析」という物質の質量を測定する手法を用いて、α-pineneの酸化物には、どのような質量の酸化物がどのような官能基(パーツ)を持っているのかを調べる研究しています。
衝突誘起解離(CID)法という、酸化物を壊しその壊れた断片(ピース)を組み合わせることで元の酸化物の情報を得る、パズルのような手法を用いて、酸化物の官能基(パーツ)と酸化物を壊したときに検出される断片(ピース)の間にパターンがあることを見出しました。このパターンを応用することで、微粒子の発生源となる大気中に生成するα-pineneの酸化物がどのような官能基(パーツ)を持っているのかを予測することが可能になりました。
今回の発表では、大気観測や衛星などを用いているマクロな視点の研究者の参加が多かったため、ミクロな視点で進めている私の研究を伝えるために、研究の背景や実験の原理をより丁寧に発表させていただきました。

<福山さんのコメント>

このような賞を頂けて、非常に光栄です。今回の学会参加を通して、自分の研究をいかに分かりやすく丁寧に、且つ重要なポイントを押さえて発表することの難しさと、それがきちんと伝わったときの嬉しさを実感することができました。本研究を進めていくにあたり、丁寧にそして親身になって、ご指導していただいている関本奏子准教授には大変感謝しております。さらには、手厚いご支援をしていただいているデータ思考イノベーティブ人材フェローシップの担当者の方をはじめとして、研究の助言をいただいた先生方、研究室の後輩や家族、周りの方たちにも大変感謝しております。皆様に支えられてこその今回の賞だと思うので、恩返しができるように、感謝の気持ちを忘れず、これからも精進していきたいと思います。

<関本奏子准教授のコメント>

福山くん、この度の受賞、大変おめでとうございます!福山くんは当研究室で博士前期(修士)課程を修了した後、就職し、今年度から博士後期課程の学生として戻ってきました。 
今回の研究では、高分解能マススペクトルで検出される150程度のモノテルペン酸化体それぞれのCIDスペクトルを正確に読み解くという、化学の知識に加え緻密さと忍耐強さが要求されますが、この素養は修士課程の頃から見て取れました。当時は博士後期課程の進学を勧めたこともありましたが、一度就職をすることで自分を見つめ直し、研究の面白さ・楽しさを改めて認識する時間を経ての進学は、福山くんのこれからの人生において確固たるモチベーションになると確信しています。
今後も様々なことにチャンレンジしながら、自然現象の理解を楽しんでください。研究者としての成長も期待しています。

問い合わせ先

 横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp
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