生命ナノシステム科学研究科生命ナノシステム科学研究科
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木原生物学研究所の博士後期課程3年 永田博基さんの論文が植物系の学術誌に掲載

2022.02.28
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Plant Journalに論文掲載され、Research Highlightにも選出

木原生物学研究所の博士後期課程3年の永田博基さんが主著者の論文「イネ胚乳発生時におけるMITEトランスポゾンの転写産物量の時系列変化」が2022年2月5日(土)にPlant Journalにオンライン掲載されました。
また、Research Highlightにも選ばれました。
論文著者
生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程3年
植物エピゲノム科学研究室(指導教員:木下哲教授)所属
永田博基(ながた ひろき)さん

掲載雑誌
Plant Journal

論文タイトル
「Temporal Changes in Transcripts of Miniature Inverted-Repeat Transposable Elements during Rice Endosperm Development.」
和訳:イネ胚乳発生時におけるMITEトランスポゾンの転写産物量の時系列変化
掲載された論文の内容に関して、主著者である永田さんに解説していただきました。

<研究内容>

トランスポゾンは「動く遺伝子」として知られ、通常はDNAメチル化によって不活性化されています。イネの胚乳には、デンプンなどの貯蔵物質が蓄えられるため、我々日本人は主食として活用しています。また、胚乳では、DNAのメチル化が大きく低下することも知られています。したがって、胚乳では多くのトランスポゾンが活性化されることが想定されていましたが、どのようなトランスポゾンが発現し、どのような役割を果たしているかはその詳細は不明でした。
そこで本研究では、胚乳発生過程におけるトランスポゾンの大規模発現解析を行いました。その結果、イネゲノム中に散在するYourenと呼ばれる短いトランスポゾンが胚乳発生過程で協調的に発現していることが明らかになってきました(図1)。
(図1)イネゲノムに散在するYourenが胚乳発生過程で協調的に発現している様子
これは、YourenにCCAATモチーフと呼ばれる配列が保存されていることが原因の一つとして考えられ(図2)、センス方向のみ転写が見られることとも一致しています(図1)。近年さまざまな生物種において、トランスポゾンが遺伝子の発現制御を介して多様な生命現象に関与することが明らかになりつつあります。今後さらなる解析によって、なぜこのような協調的な発現がおきるのか解明されることを期待しています。
(図2)胚乳発生時の発現パターンやDNA配列の保存性、発現量

永田博基さん&指導教員 木下哲教授のコメント

永田博基さん
多くの方々のご助力をいただいて、本研究成果をまとめることができました。この場を借りて御礼申し上げます。

指導教員 木下哲教授
学生筆頭の論文として素晴らしい成果だと思います。

問い合わせ先

横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp


 

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