坂グループ
植物遺伝資源科学部門
坂 智広 教授 木原生物学研究所は、コムギ約6,000系統とトウガラシ約400系統の広範で貴重な遺伝資源を保有しています。本グループでは、これらを類型的に増殖・管理・評価して有用形質の遺伝子を探索し、画期的品種開発や地域ブランド創生に向けた遺伝資源の活用と遺伝育種学的研究をしています。また植物遺伝資源の収集・維持管理、評価と解析の植物ゲノムと育種への応用に向けた植物遺伝資源科学研究を通じ、地域・国際社会へ貢献と、国際舞台で活躍できる若手人材の育成を行っています。 |
研究内容
植物遺伝資源の多様性と有用形質の育種的利用のための遺伝学的研究
地球上には多種多様な生物が生態系の調和を保ちながら共存しています。 生命の歴史30億年以上の時間をかけて、大きな環境変化にも適応して進化してきました。 生物の進化と多様性の保全に直目し、 世界の食料危機と地球規模環境変動を緩和しながら、人類がいかに地球環境との調和の中で生きていくかを考えるSDGsに貢献する植物遺伝子源の研究です。染色体(ゲノム)に記録された生物の歴史を研究し、 環境変動に適応するコムギやトウガラシの近縁野生種や在来作物遺伝 資源や有用遺伝子の育種利用研究をしています。
地球温暖化・気候変動に対する頑健な根系形成能力をもつコムギ遺伝資源の開発
環境変動に適応して持続的食料生産をするためには、 作物のもつ遺伝的能力を最大限に発揮させかつ生態系に調和させ ながら、不良土壌や乾燥地での生産性を安定させることが重要に なります。コムギの遺伝的多様性(G)が、生育する環境(E)に適応して、最大の能力を発揮させる栽培管理技術(M)の相互作用G×E×Mにより発揮され、 それぞれの緩衝効果で持続性をもたら す研究開発を展開しています。 コムギの「頑健な根系」を表現型として捉えVA菌根菌の共生の関与を明らかにし、有効なコムギの遺伝子型やバイオスティミュラント資材の効果の有無について研究を進めています。
グローカルなネットワークを通じた国際連携と地域貢献研究
自然と物質の“二つの循環を調和'’させた、グローカルな社会ネットワークの実現を考え、学びと研究成果を地域に役立てることでSDGsへの貢献をする研究教育を目指しています。都市農業や生物の多様性を 学びながら、舞岡の里山で栽培したビール大麦やパン小麦を使い、持続可能な食料生産について学んでいます。麦わらをストローや暮らしのアイテムまで余すことなく活かして、海洋プラスチック問題にも目を向け、 陸や海の豊かさとそこをつなぐ街の豊かさを考えています。