膀胱がん
膀胱がんの疫学
膀胱がんの罹患数は様々な癌腫の中にあって、男性で第10位、女性で第16位となっており、男性で約4倍ほど多いと言われています。喫煙は最大の危険因子とされ、喫煙者は非喫煙者と比較して2.58倍のリスクがあると言われています。痛みなどの症状を伴わない肉眼的な血尿が発見の経緯となることがほとんどです。
膀胱がんの検査
尿細胞診、膀胱鏡、造影CT、MRIなど
膀胱がんの治療法
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)
全身麻酔もしくは腰椎麻酔下に尿道から膀胱内に内視鏡を挿入し、がんを電気メスやレーザーにて切除または焼灼する治療法です。切除した検体を病理検査に提出し、がんがどのくらいの深さまで到達しているかを調べ、その後の経過観察または治療法を決定します。がんが粘膜にとどまらずにさらにその下の間質まで及んでいるときは、もう一度TURBTを行って、がんが残っていないか調べる必要があります。がんが筋層まで及んでいる場合はTURBTでの根治は難しいため、膀胱摘除術などの手術療法が必要になります。膀胱がんはたとえ粘膜にとどまっていたとしても、がん細胞が別の場所に生着するまたは新たな細胞ががん化する、などにより繰り返し再発することが特徴で、術後も定期的に外来で膀胱鏡を行い、再発の有無を調べる必要があります。
ロボット支援下膀胱全摘除術
膀胱がんが、間質に広がっている場合や筋層まで及んでいる場合(浸潤性膀胱がん)は、TURBTによる根治が期待できないため、化学療法を何回か行った後に、膀胱全摘除術を行うことが一般的です。膀胱を摘除したあとは腎臓から流れてくる尿を体の外に出す必要がありますが、回腸導管、尿管皮膚瘻、新膀胱など様々な尿路変更術があり、どの方法にするかは膀胱がんの場所などで決まります。当院では2018年1月にロボット支援膀胱全摘術を導入し、7月からは保険診療としてこの手術を行っています。当院では膀胱摘出から尿路変更までをすべてロボット手術で行っており、国内でも経験の多い施設と言えます。ロボット手術の導入により出血量や術後の痛みが減り、術後の回復も早くなり、それまで体力的な問題などで手術をお勧めしづらかった方にも安全に膀胱全摘術をご提供できるようになりました。浸潤性膀胱がんに対する根治療法は手術療法ですが、転移がある方や、他の病気などにより手術が難しい方には相談の上、放射線療法や抗癌剤による薬物療法をご提案しています。
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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ロボット支援下膀胱全摘 症例数 | 4 | 8 | 23 | 21 | 29 |