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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出用抗体に関する特許について~関東化学株式会社と共同出願及び実施許諾契約を締結~

2021.01.12
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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出用抗体に関する特許について ~関東化学株式会社と共同出願及び実施許諾契約を締結~

横浜市立大学と総合試薬メーカーの関東化学株式会社(本社:東京、代表取締役:野澤 学)は、共同で開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出用抗体に関する特許の共同出願を実施し、独占的実施許諾についての契約を締結しましたのでお知らせいたします。

以前より、本学大学院医学研究科 微生物学 梁 明秀教授らの研究グループは、関東化学株式会社と共同で、新興・再興感染症などに対するウイルス検出キットの開発研究を行ってまいりました。2019年12月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的流行(パンデミック)となり、新型コロナウイルス抗体検出技術の開発が喫緊の課題となる一方で、ウイルスの性状や病原性などの解析はなかなか進まず、医療現場で使用可能な迅速診断法は確立されていませんでした。
PCR法の遺伝子検査は、特別な装置が必要で時間も要することから実用性に課題が残っています。適切な感染拡大防止策を講じるためには、迅速な検査法により感染患者を発見し、感染率や感染経路を調査することが重要です。また、正確性、迅速性および簡便性を兼ね備えた検査としてSARS-CoV-2由来タンパク質に対する抗原抗体反応を利用した免疫学検査が求められています。
抗原検査は、PCR法と比較して検査が簡便で臨床現場で早期に検査結果が判明する利点があります。一方、キットの性能によっては感度や特異度が低いことが問題となります。より性能が高いキットを開発するためには、抗原を正しく認識し、結合力の高い高性能なモノクローナル抗体の開発が必要となります。

2020年4月に、梁教授を中心とした共同研究グループは、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成法により作製した高品質な抗原を用いて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を正確に検出できるマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ*1を複数株、樹立することに成功しました。本抗体を用いて、簡便かつ短時間に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)だけを正しく検出できるキットの開発研究を進めています。また、本研究成果について、本学は関東化学株式会社と同年6月に特許を共同出願し、さらに8月に独占的実施許諾についての契約を締結致しました。

対象特許

発明名称:「SARS-CoV-2に対する抗体、該抗体を用いてSARS-CoV-2を検出する方法および該抗体を含むキット」
出願人:横浜市立大学、関東化学株式会社
出願番号:特願2020-111984

実施許諾契約締結日:2020年8月24日

この抗体検出技術は、風邪の原因であるコロナウイルスに対する抗体には反応せず、特異的にSARS-CoV-2を検出可能です。本抗体を用いた検出キットが実用化されることで、PCR法などの遺伝子検出法と比べて臨床現場の負担が軽くなり、検査数の大幅増が期待できます。今後は海外展開も踏まえて、抗原検査のための基盤的な技術開発やキット開発における、産学連携活動を一層活発に進め、医療現場のニーズに応え、新型コロナウイルス検査の効率化が図られるよう、研究を推進してまいります。

*1 ハイブリドーマ:
抗体を作り出すB細胞と、無限に増え続ける能力を持ったミエローマ細胞を融合した細胞。この細胞は増殖しながら抗体を多く産生するので、モノクローナル抗体を多量に得ることができる。

2020年4月20日横浜市立大学プレスリリース
https://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/news/202004ryo_covid_1.html


<関東化学株式会社について>
関東化学は、国内有数の試薬メーカーです。試薬をベースに半導体用薬品、臨床検査薬、化成品の4部門で事業展開しています。お客さまに確かな価値を提供できる企業を目指します。https://www.kanto.co.jp/corp.html


お問合わせ先

本件に関するお問い合わせ
横浜市立大学研究・産学連携推進課
E-mail:sanren@yokohama-cu.ac.jp

特許のライセンスに関するお問い合わせ
関東化学株式会社技術・開発本部技術・開発部
E-mail:td-info@gms.kanto.co.jp




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