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「横浜フランス映画祭2024」ボランティア活動レポート

会期を3月に変更して開催された国内最大のフランス映画祭

■日時:3月18日(月)~24日(日)
【マーケット】3月18日(月)19日(火)、9:00~18:00
【映画祭本イベント】3月20日(水・祝)~24日(日)
【マスタークラス】3月23日(土)①12:00~13:30 ②15:00~16:15 ③17:00~18:30

■場所:横浜みなとみらい21地区他
【マーケット】
歌舞伎町タワー17階JAM17 SPAC EAST
【映画祭本イベント】
オープニングカクテル/ウェスティンホテル横浜
レッドカーペット/桜木町駅前広場イベントスペース
上映会場/横浜ブルク13
【マスタークラス】
①東京藝術大学 横浜キャンパス 馬車道校舎
②③横浜市立大学みなとみらいサテライトキャンパス

■主催:ユニフランス
 共催:横浜市、在日フランス大使館、アンスティチュフランセ日本

■ボランティア学生数:37名

■イベントの規模:上映動員:2,953人,レッドカーペットイベントギャラリー:約9000人,マスタークラス:709人(メディア含む)
ボランティア等スタッフ49名(学生含む総数)

フランスのパッションを身近で体験

  2024年で31回目を迎えたフランス映画祭は、日本未公開の最新フランス映画を携えて、フランスから多くの映画人たちが集まるイベントです。2024年は桜の開花を待つ3月を会期として、映画商談マーケットを含む7日間にわたり、横浜みなとみらいを拠点に開催されました。

 本学では、ボランティア支援室からのボランティア募集のほか、国際教養学部(フランス文化論)の平松先生からの呼び掛けのご協力もあり、37名の学生が参加、延べ30のシフトに分かれて、ゲストの誘導や観客の受付・案内、会場設営、影アナウンス(影アナ)、インフォメーション対応などの活動を行いました。

 国内にいながら、フランスからの映画人たちに直接出会うことができ、生の声を聞きながら映画祭という文化イベントの普及に関する運営業務を体験しました。

■「オープニングカクテル」では、ウェスティンホテル横浜ボールルームを駆け回ることに

 3月20日(水・祝)、17時過ぎから桜木町駅前で予定されていた「レッドカーペット」に先立って、フランスからの映画人や俳優、日本の関係者約150名を招いたカクテルパーティがウェスティンホテル横浜のボールルームで開催されました。この会場の担当ボランティアは本学からは5名が参加。当初はエレベーターホールから会場への誘導や受付と言われていましたが、直前のブリーフィングで変更があり「レッドカーペットに移動する俳優や監督を会場で探して、指定の車に乗せて送り出してほしい」という指示を受けました。

 多くの着飾ったゲストたちが出入りする華やかなボールルームで、俳優や監督の顔写真リストを片手に該当人物を探し当て、その方に声をかけて1階玄関まで誘導し車に乗せるというのが与えられた使命です。

 しかしこれはフランス映画に精通していない学生にとっては、少々難しい仕事でした。与えられたのは顔写真と職業、氏名のみ書かれた19名の「登壇者一覧」(うち1名は役所広司さん)。実際のパーティに参加している姿とは乖離があり、年齢も不詳の人物を、混雑したパーティ会場で探し出し、指定の時間までに指定の車に乗せるというのは容易なことではありません。事務局のスタッフにもサポートしていただき確認しながら、英語で「Excuse me、Are you 〇〇?」と話しかけます。ボランティアの学生は皆たいへんな緊張感で、スマホに落とし込んだ写真リストを見ながら、パーティルーム内を探し回ることになりました。間違えてしまう場面もありましたが、俳優の中には笑顔で「髪型が似ているけど、それは僕じゃないよ(笑)。彼は確かあの辺にいて…」と言いながら一緒に探してくれる方も…。時間との戦いとなりましたが、中には自ら車に乗り込んでいた方もおり、スタッフからの連絡を確認しながら、どうにか時間内に全員を送り出すことができました。

■直前の降雨もあり激寒の桜木町駅前で、歩行者の誘導や案内を担当

 映画関係者の皆さんは、順次ウェスティンホテルを車で出発し、5分程度をかけて桜木町駅前のイベントスペースに移動しました。車から降りて順番にインタビューに答えながらレッドカーペットを歩き、集まった市民に向けて手を振り笑顔を見せて会場を盛り上げてくれました。

 現地で活動したボランティアの学生は10名。開始直前ににわか雨が降り気温が下がったため、指定のTシャツの上からコートを着込んでの対応でした。歩行者が集まってしまい、立ち止まる人も多かったのですが、なるべく立ち止まらずに移動するように呼びかけて誘導しました。少し離れたところにはライブビューイングエリアがあったので、そちらに案内する、ライブ配信用のQRコードをお知らせするなど、会場の混乱を避けるための活動を担いました。

 辺りが暗くなってきた18時過ぎには大トリとして、今回のフランス映画祭の特別アンバサダーでもある役所広司さんが登場!『PERFECT DAYS』の主演により、第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞し、直前の第96回米アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートされたこともあり、日本を代表する俳優の一人としてレッドカーペットを歩きました。参加したボランティアの学生にとっては、すぐそばでその姿を見てコメントを聞くことができ、とても貴重な経験となりました。

■上映時には、注意事項等をアナウンスする影アナウンス(影アナ)に緊張の場面も

 レッドカーペットの終了後は、桜木町駅前にあるコレットマーレ6階のブルク13でオープニング上映と舞台挨拶があり、こちらでは配布物の準備やゲストの受付対応、観客の誘導、上映前に諸注意などを伝える影アナウンスなどを担当した学生もおり、緊張感のある貴重な体験となったようです。

 またその後21日(木)から24日(日)までの12作品の上映でも、同様にゲストによる舞台挨拶や上映後の監督による解説時のマイクランナー、受付対応や誘導、抽選サイン会の対応など、活動は多岐にわたりました。

 今回のフランス映画祭では、映画祭のオリジナルTシャツが配布されましたが、23日(土)と24日(日)の上映を担当した学生とマスタークラスを担当した学生は、平松先生が用意してくださったYCUオリジナルTシャツを着用して活動してもらったこともあり、ヨコイチ生の活躍を来場者にアピールすることもできたのではないでしょうか。

■アットホームな雰囲気で開催された、みなとみらいサテライトキャンパスでの「マスタークラス」(2コマ)

 横浜映画祭2024ではメイン会場のほか、3月23日(土)には来日ゲストによる学生や一般市民に向けたセミナー形式のトークイベント「マスタークラス」が3つ企画され、うち2つは本学のみなとみらいサテライトキャンパスで実施されました。マスタークラスのボラランティアに参加した4名は会場の誘導・案内で活動し、また俳優や監督とも近くで接することができました。

 15:00~16:30開催の「フランスの若手俳優がキャリアと映画を語る」では、今年のオープニング作品となった『愛する時』主演で、フランスでトップの実力と人気を誇るスター、ヴァンサン・ラコストさんが登場。生い立ちから家族のこと、映画に関わるようになった時のこと、そして自身の俳優人生についてなど、映画俳優としてのキャリアを語ってくれました。

 17:00~18:30の「海外から見る“日本”」では、本映画祭出品作で伊原剛志さん主演『日本のシドニー』のエリーズ・ジラール監督、今映画祭の特別アンバサダーである役所広司さん主演の『PERFECT DAYS』の高崎卓馬プロデューサーと、本学卒業生でもあり株式会社ファーストリテイリング取締役でもある柳井康治プロデューサーの3人による、海外に発信する“日本”についての鼎談でした。ジラール監督には、なぜ日本を舞台にしたのか、日本の印象や日本独自の価値観などを、また柳井康治プロデューサーにはヴィム・ヴェンダース監督との出会いから<TOKYO TOILET PROJECT>の撮影について。そして高崎プロデューサーには、『PERFECT DAYS』の撮影秘話に至るまで、この場でしか聞けない貴重なお話を聞くことができました。一般市民の方や本学の学生も参加しており、全員で集合写真を撮るなど、会場はたいへん盛り上がりました。

■多くの感動と興奮の中で得ることができた貴重な学び

 今回のボランティア活動は「映画祭」という、多くの関係者が関わり、全世界に放映されるような一刻を争う緊張感のある現場でした。スタッフの細かい動きや指示を間近で見て聞いて、また俳優や監督の優雅な身のこなしや会話にも触れることができる、たいへん実りの多い活動になったと思います。
 参加した学生からも多くの感想コメントが寄せられています。

「映画上映におけるゲスト誘導、ビラ配り、影アナウンス、マイクランナーなどを行った。急遽来日できなくなった監督のメッセージの代読や影アナウンスなど、自分から名乗り出て、ゲストの前で話す役目をさせていただいた。貴重なイベントで、多くのゲストの前で話すことは緊張したが、原稿ではなくゲストを見ること、ゆっくりはっきり話すことを意識して話した。イベントがスムーズに進むように、1分単位で時間を守るようにすること、常に笑顔で対応することも心がけた。映画監督や主演女優による舞台挨拶のサポートや、映画を鑑賞することもでき、自分自身フランス映画祭を楽しむことができた」

「3日間、フランス映画祭に関わらせていただきました。初日のレッドカーペットは開始直前に雨が降って、15分ほど遅れて始まるなど予想外のこともありましたが、監督や俳優の皆さんが特設ステージでスピーチする姿を多くの人に届けられて、私自身も見届けることができてとても良かったです。また、アクシデントに見舞われても、イベント成功にむけて迅速に対応するスタッフの皆さんの姿はとても印象に残りました。社会人として、自分の「仕事」を強い責任をもって遂行する姿勢は数年後、自分が社会に出たときにそうありたいと願うものに感じます」

「ボランティアの経験をより深みあるものにするために、関連イベントについて事前に調べて関心を持っておくことをお奨めします。私はフランス映画を観たり、現場で挨拶できたらいいなと思っていたので「ボンジュール」と「メルシー」の発音を調べたりしました。事前に興味を持つと、なにより自分自身がワクワクしながら参加できます。当日だけでなく、ボランティアを決めたその日からぜひ楽しんでみてください!」

「フランス映画祭を運営する方、支える方、出演する方、楽しむ方など映画祭にかかわる方々と映画を通してたくさんの人とつながれる貴重な機会でした。指示があったことだけでなく、自分にできることを考えながら参加できたことは成長のひとつです。一番の大きな学びは、ひとりでは成し遂げられないことを成し遂げるために、お客様だけでなく一緒に作業する仲間にも配慮を忘れないことです。運営の方々にお忙しいなかでも声をかけていただいたこと、運営の方同士での相手を第一に考えた連携、一緒にボランティアとして参加した方が積極的にお客様とコミュニケーションをとっている姿など多くの場面から学ぶことができました」

「ボランティアのシフトにもよりますが、レッドカーペットや舞台挨拶、上映作品を見ることができ、とても楽しいです!また、大人の方々が大きなプロジェクトに向けて働いている様子を間近で見ることができ、こんな風に働きたいという将来のイメージが浮かんでくるかもしれません。何より本当に楽しいので、一度参加してみるといいと思います!」

 毎年開催時期が変更になっており、来年度のフランス映画祭はいつになるのか現時点では不明ですが、次回もまた多くの学生が楽しみながら参加できる活動として、引き続き紹介していきたいと思います。                             (ボランティア支援室コーディネーター 柳本)


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