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医学部YDCによる訪問授業レポート

小学生を対象に、身近な感染症について理解を深め ケーススタディで学びを深めてもらう授業を実施!

■日時:令和4年12月23日(金)、7:45~11:00(授業は8:45~10:20)
■訪問先:横浜市立並木第四小学校 5年生
■主催団体:医学部学生団体YDC Twitter Instagram
「市民の方への正しい医療知識の提供」を目標とし、「小・中学生向けの訪問授業」「イベント企画」を主な活動としている横浜市立大学医学部の学生団体。平成22年に発足し、現在部員は医学科、看護学科合わせて約70名。「キャリア教育」「医学教育」「保健・体育」「体験型授業」の4つを柱とし、それらを組み合わせながら授業を行っています。
■参加人数:医学部学生団体YDCメンバー/8名、小学生2クラス合同/計50名

◆ようやく、横浜市立小学校での訪問授業再開!

 平成23年から、市内の小・中学校で「医療教育」の訪問授業を続けている医学部学生団体YDCは、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴い、令和2年度はまったく活動ができず、令和3年度も動画制作と、アフタースクール事業を行う学校法人GODAIが運営する「G-kidz」での訪問授業の実施にとどまっていました。
 そして令和4年4月、世の中の状況や様子を注視しながら並木第四小学校での授業準備を開始し、一度は12月上旬の開催で決まったもののその後変更があり、ようやく12月23日に横浜市立小学校での訪問授業を再開することができました。

 本学の医学部は、カリキュラムの関係で学年によって試験や実習の時期が異なることもあって、実際に当日の授業に参加できた学生は1年生3名と5年生5名、うち3名が初参加でした。
 授業は1限と2限の2コマで、通常は「総合的な学習の時間」とのこと。当初は2クラス(1クラス/25名)別々に実施する予定でしたが、最終的には2クラス合同で体育館での実施となりました。

◆プロジェクターを使っての「授業」は3つのテーマ

 広い体育館を使用した授業は、50名の児童を前に、プロジェクターで舞台上のスクリーンに資料を投影しながら、3人の講師役学生によって3つのテーマで進められました。
 代表の藤井さんからの挨拶と授業内容の説明のあと、最初のテーマは「なんで私が医学部に?!」。
 看護学科1年生の鵜飼さんが、看護学科を選んだ理由と、看護体験を通じて「看護師になりたい!」という思いを強めた過程をお話ししてくれました。また、実際に現在はどんな場所でどんな授業や実習をしているのか、また医者を目指している同級生の様子も紹介してくれました。

 2つ目のテーマは「医療機関ってなに?」。5年生の須山さんが、大人でもなかなか理解が難しい医療機関の種類と使い分けについて、詳しく整理して伝えました。救急車や、大きな病院と診療所、夜間休日診療所との違いなどの解説、またそれぞれどういうときにどこを使ったらいいのか、「#7119」についてなど、知っておくべきことが満載の充実した内容に、児童たちの筆記も真剣です。

 3つ目のテーマは、5年生の松村さんによる、今まさにタイムリーな「感染症について」。児童からも歓声が上がるほどの楽しいイラストや画像を使用した資料をもとに、感染症を引き起こす4つの病原体の話や、それを防ぐ体の免疫の話、ワクチンの仕組み、感染症を防ぐ方法など、まさに今知っておくべき内容でした。

◆座学で学んだことを確認するためのグループワーク

 後半は、座学で学んだことを振り返るために、ケーススタディ(事例研究)をグループワークの形式で行いました。5人一組になり、病気やけがに合った医療機関を選ぶ練習です。
 以下のようなケースを提示し、それについて皆で話し合いながらチェックシートを埋めてもらいました。

<ケース>
 今日は祝日の月曜日。
 たかし君は家族で近所のショッピングモールにお出かけで来ました。大好きなおじいちゃん・おばあちゃんも一緒です。一日かけて、色々なお店やレストランを回りました。
 ところが、2日後、おばあちゃんが突然寝込んでしまいました。顔色が悪く、咳き込んでいて、なんだかぼんやりとしていて呼びかけても反応が薄いです。熱を測ったら・・・
 なんと「39.6℃」でした!!

この場合は次のどれを選べばいいでしょうか?

1.救急車を呼ぶ
2.夜間・休日診療所に行く
3.クリニックに行く
4.自分で処置する
5.様子を見る

 チェックシートには「時刻、場所、人、起きた状況、会話、症状、歩けるか、症状の長さ、自分で処置したか」という項目があり、皆で話し合って埋めてもらいます。その後、最終的に上記の1~5から選んで、班ごとに発表してもらいました。

◆結果も大事だが、その過程を大切に!

 今回授業後に取ったアンケートでは「みんなで意見を出し合って考える時間が、すごく楽しかった」という感想が13名からありました。
 この3年間、新型コロナウィルスの感染症拡大で、このように皆で頭を突き合わせて話し合う、という機会が少なかったからかもしれません。また、各グループには学生がファシリテーターとして入り、子どもたちの意見を引き出していたのですが、このように先生でも親でも同級生でもない、普段ほとんど関わりのない大学生と接する機会は、貴重な時間だったのではないでしょうか。どのグループでも、子どもたちは学生にくっついて、じゃれ合って、楽しそうにおしゃべりしている様子が見られました。

 その後の発表では、すべてのグループの代表がはきはきと答えてくれました。しかしそれよりも、そこに至る皆での話し合いの過程、その時間が楽しく、大切だったということを子どもたち自身も感じており、それがアンケートに反映されていたのだと思います。

 そのほかには、
 「知らなかったことや#7119のことを家族にも教えてあげたいです」
 「知らなかったことが知れて面白かったです。さらにたくさんの人が夜でも頑張っている事が知れて憧れました」
 「私は6人家族で一人がかぜをひくとみんなかかっちゃうので、医療機関の使い分け方を生かしたいと思いました。感染症の予防法も知れてよかったです」
 「『人のためになる仕事がしたい』というのが共感しました。感染症のことがいろいろ分かって良かったです」
 という意見などがあり、授業の目的でもある「市民の方への正しい医療知識の提供」、そして医療従事者を増やすためのキャリア教育の一面も、達成できたのではないでしょうか。

◆訪問先となる、小・中学校を募集中!

 医学部学生団体YDCでは、新型コロナウイルスの感染症拡大前は年間5~8回の訪問授業を行っていたこともあり、この3年間の活動自粛を経て、令和5年度はまた授業数を増やしたいと考えています。

 並木第四小学校の担当の先生からは
 「とてもためになるお話が聞けたと思います。中には、大病院と小さなクリニックの役目を理解していなかった児童もいたと思いますが、実際にお話を聞いてわかったことがたくさんあったと思います」という感想をいただきました。
 大学生だからこそ、子どもたちと良い距離感で接することができ、子どもたちにとっても「憧れの存在=ロールモデル」となりうるのです。

 今回、授業初参加の学生もいた中で、代表の藤井さんは
 「今日は<ケース>を2つ用意していて、その場の流れや、子どもたちの話合いの状況で2つやることも検討していました。でも、思いのほか話し合いが盛り上がっていたので1ケースにじっくり取り組んでもらいました。このように、その場の状況で柔軟に授業を組み立てることも可能です。また、この2~3年で医学科だけでなく看護学科の学生が増えたので、子どもと関わる視点も少し広がりました」とのこと。また「小学校とのコネクションがないのが課題。来年度はもっと授業を増やしたい」とも。

 授業をご検討の小・中学校様がいらっしゃいましたら、「横浜市立大学ボランティア支援室」までぜひご一報ください。学生団体とおつなぎします。
 
 横浜市立大学ボランティア支援室
 Tel:045-787-2444
 Mail:voluntee@yokohama-cu.ac.jp

ボランティア支援室コーディネーター 柳本 薫 

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