ヨコイチのご近所「野島海岸」の清掃活動を通して、身近な海の現状を知ろう!

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の解決に向けた、ファースト・アクション
■日時:令和4年4月29日(金・祝)
前半組10:00~11:30、後半組12:00~13:30
■場所:野島公園内野島海岸(横浜市金沢区)
■主催団体:横浜市立大学ボランティア支援室
■支援団体:横浜市野島青少年研修センター(https://yokohama-youth.jp/kenshu/)、海をつくる会(https://umikai.sakura.ne.jp/)
■Volunch:(運営サポート)山谷、浦田、室谷
■参加学生数:前半組/20名、後半組/14名
新年度明けの全学生向けボランティア・イベントを、ボランティア支援室独自にプロデュース!
新型コロナウイルスの感染拡大は、学生の課外活動に大きな影響を与えました。この2年間、多くの地域活動はストップし、ボランティア支援室が主催する活動も、ほぼオンラインで実施。学生は現場に行くことなく、人との交流もない日々を過ごしてきました。コロナ前は、ゴールデンウィーク中に新入生を中心に大型イベントへのボランティア参加が恒例化しており、それをきっかけに多くの新入生が学生生活の中でボランティアに興味を持ってくれていたという実績がありました。
そこで、少しずつ感染者減少の兆しが見え始めた2022年度の開始に向けて、ボランティア支援室では、密を避け感染対策をしながらも交流のできる活動ができないか検討し、短時間で完結し、SDGsにも貢献できる「海岸清掃活動」を企画しました。本学は海が身近にある環境ということもあり、学生が海洋ゴミ問題の現実に触れることで、SDGsへの関心を高め、日々の暮らしを見直すきっかけになれば、という目的もありました。
開催にあたっては、継続的に海岸清掃活動を行っている横浜市野島青少年研修センターの五十嵐さんに注意点や会場の様子など、情報共有していただきながら進めました。ゴールデンウィーク中は折しも大潮と重なって潮干狩りの絶好の日よりということもあり、どのくらいの人出があるのか、その中で清掃活動を危険なく実施するためにはなどなど、アドバイスもいただきました。
「海洋ゴミ問題」をテーマにした事前ワークショップで、活動の目標設定
今回の「1Day Volunteer」を、より効果的な活動にするために、交流を兼ねた事前ワークショップもセットにしました。講師として、長年海底・湖底清掃活動を続けている「海をつくる会」の事務局長で法政大学人間環境学部兼任講師や、他大学での兼任講師をしていらっしゃる坂本昭夫さんに、横浜の海のお話や、海洋ゴミ問題、マイクロプラスチックなどのお話をしていただきました。
プラスチックは今や私たちの生活になくてはならないものですが、多くの問題もあります。
①分解しない
②紫外線によって劣化&微細化したプラスチック製品の、原材料であるレジンペレットやマイクロプラスチックは、化学物質を吸着しながら海を漂い、海岸に流れ着いて、海岸の汚染につながる
③野島海岸には潮の流れの関係で、マイクロプラスチックが非常に多く漂着する
④添加されている物質(可塑剤など)が溶け出し、その人体への安全性
これらについての40分の講義でした。その後のグループワークは当日活動するグループで分け、自己紹介などの交流と、感想の共有、活動当日の目標設定を行いました。学生からは「講義を聞いてマイクロプラスチックについて初めて知った」という声も多く、当日の活動に俄然興味津々となった学生も多かったようです。
願いむなしく大雨の中の活動に…。それでもほとんどの学生が参加

お天気は残念でしたが、前半・後半通して34名の学生が参加してくれ、びしょびしょに濡れながらも、精力的に活動してくれました。
横浜市野島青少年研修センターの、五十嵐さんによる現地レクチャー

かろうじて全行程を終えることができた前半組は10時から1時間半のプログラム。五十嵐さんの現地レクチャーと注意事項などの説明、その後30分のゴミ拾いを行い、最後はグループごとに拾ったゴミの検証と感想共有を行って、各班に発表をしてもらいました。
一方、後半組は12時集合でしたが、雨が降り出したため、とても残念でしたがゴミ拾いを20分に短縮し、グループワークをやめて1時間弱で解散とさせていただきました。

それは、活動を通じて前半組・後半組それぞれにLINEのオープンチャットを開設し、活動をしながら拾ったゴミの写真や、感想などのコメントをリアルタイムでアップしてもらったことです。広い海岸に広がっての活動だったため、瞬時に写真やコメントを皆で共有できる仕組みはとても有効でした。特に後半組はグループワークができなかったのですが、帰宅の道々で感想や、この課題の解決方法などを各自にアップしてもらい、オンライン上で共有することができました。
ゴミ拾いで集まったもの

清掃活動では、グループごとに軍手とトングと“ふるい”を配布し、拾ったゴミを「燃えるゴミ」「缶・ビン・ペット」「プラゴミ」、そして「レジンペレットやマイクロプラスチック」に分別してもらいました。マイクロプラスチックは“ふるい”でより分けてもらいました。
集まったものは、それはさまざまなものがありました。ペットボトル、お弁当の食べ残し、お菓子の袋などに混ざって、お酒が入ったままの瓶やジャンパー、不思議な生物(アメフラシ?)など、多種多様・種々雑多なものを発見!それをLINE上で皆が共有しながら、野島の海の現実に向き合う活動となりました。

「様々な学年の方と交流ができ、楽しい活動になりました」
「初めてのボランティアで少し不安でしたが、とても充実した時間でした」
「悪天候の影響で、予定より短い活動となってしまったのは非常に残念でしたが、今回の活動で多くのことを学ぶことができました。同じ大学の学生や、ボランティアの方々などとの交流もでき、本当に良かったです」
「今日はありがとうございました!充実した、あっという間の時間でした」
「自分にとって非常に有意義で発見の多い時間でした」
という感想が寄せられ、雨天でも楽しんでもらえた様子に、スタッフもほっとしました。

坂本さんの事前ワークショップでもお話があったように、野島海岸は、東京湾に対して、湾奥や相模湾に向かって海路が繋がっているため、満潮・干潮の潮の流れにより、近隣の海岸よりも多くのマイクロプラスチックが流れ着いているという報告があるとのこと。参加した学生も、この多さにお手上げ状態で、それに対するたくさんのコメントが寄せられました。
「マイクロプラスチックゴミがたくさん海岸にあって驚きました。“ふるい”を使って地道に拾うのは大変で、とても拾い切れる量ではありませんでした。私たち人間が海岸をこの状況にしてしまったということを、一人ひとりが考える必要があると感じました」
「とにかくマイクロプラスチックの量がえげつなかったです。取っても、取っても、ぜんぜんなくなる気がしなかったです。今まで自分は一目で分かるような大きなゴミばかり気にしていたので、今回の清掃でマイクロプラスチックの恐ろしさを思い知りました」
「マイクロプラスはとても小さく、拾っても、拾っても、拾っても、出てきたので、プラゴミを出す根本を解決する必要性を改めて感じました」
「日頃からなるべくゴミを出さないよう心がけ、清掃ボランティアにも参加する」
「砂浜に落ちていたマイクロプラスチックは、とてもじゃないが私たちが拾って回収などできるような量ではなく、もはや拾うことにとまどいさえ感じてしまった。完全な回収は不可能だという実態を目の当たりにした私たちは流出自体をゼロにするため行動していかなければならないと思った」

ボランティア支援室コーディネーター 柳本