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医学部YDCによる訪問授業レポート

【医学部YDC】感染対策は万全! 子どもたちと対面で「今ならでは」「医学生ならでは」の授業を実施

■日時:令和3年8月6日(金)、12:00~15:00(授業は13:00~14:30)
■訪問先:G-kidz アフタースクール(横浜市都筑区 センター南)
■主催団体:医学部YDC 
「市民の方への正しい医療知識の提供」を目標とし、「小・中学生向けの訪問授業」「イベント企画」を主な活動としている横浜市立大学医学部の学生団体。2010年に発足し、現在部員は医学科看護科合わせて約70名。「キャリア教育」「医学教育」「保健・体育」「体験型授業」の4つを柱とし、それらを組み合わせながら授業を行っています。
■参加人数:YDCメンバー25名、G-kidzの子どもたち38名(上記訪問先リンク参照)

◆「何ができるか」を模索した令和2年度

 平成23年から市内の小中学校で「医療教育」の訪問授業を続けている、医学部学生団体YDCですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、令和2年度は全く活動ができませんでした。そこで何ができるかをメンバーで話し合った結果、令和3年前期には、今まで授業で行った「薬物乱用防止教室」や、子どもたちの治療に従事する「医師へのインタビュー」、またタイムリーな「コロナと闘う医療従事者の様子」等の動画を制作し、DVDに保存して、今まで訪れた小・中学校に寄贈する活動を行いました。
 そんなYDCですが、令和3年度は何とか授業を実施したいというメンバーの強い気持ちから訪問先を開拓し、8月6日(金)、学校法人GODAIが運営するアフタースクール「G-kidz」で、小学生38名に向けて2年ぶりに訪問授業を行うことができました。
 折しも神奈川県は8月2日(月)から第4回緊急事態宣言に入ったタイミングでしたが、徹底した感染対策を行い、メンバー25名が参加して予定どおり開催しました。

◆授業への思いが募った準備期間

 YDCの4~6年生以外のメンバー14名は、ほとんどが初の授業ということで、小学生役を設定して何回も模擬授業のリハーサルを繰り返してきたそうです。「将来は小児科を目指したい」「子どもと関わることが大好き」というメンバーも多く、皆、当日をすごく楽しみにしていたとのことで、1時間前には集合して、備品の確認やグループごとの打ち合わせを念入りに行いました。
 一昨年まで行ってきた訪問授業は、主に小学校3~4年生を対象としていましたが、今回はほとんどの子が1~2年生ということで、授業の内容を見直したそうです。
 G-Kidzの永瀬さんも、「コロナがあってそれが長引いており、子どもたちは漠然とした不安を持っています。今回YDCさんにお願いしたのは、現場の話をしてほしいということでした。医療現場ならではのリアルな話を聞くことで、不安な状況の中でも頑張っている現場を知ることができ、子どもたちの将来の道につながってくれれば、ということをお伝えしました」と話してくださったように、皆で制作した上記の動画も織り交ぜながら、“体験”を重視したプログラムを、G-kidzの担当の方と事前に何度も打ち合わせをしながら組み立ててきました。

◆タイムリーな動画で、子どもたちに「現場」を紹介

 開始時間の13時になると、会場となったアリーナ内に学生が並び、子どもたちを拍手で迎え入れるところから始まりました。リーダー・石原さんの挨拶のあとは、コロナ禍ということもあり注意事項をしっかりと説明。その後プロジェクターを使って小児科の西村先生のインタビュー動画と、「コロナ禍での医療従事者の闘い」の動画を上映しました。
 院内での実習を経験している医学部生による動画は、現場の様子を詳しく映し出し、「医師へのインタビュー」ではなぜ医者になったか、医者になって良かったことなどを、「コロナ禍での医療従事者の闘い」では、新型コロナウイルスに罹患した重症患者を受け入れるための防護服の紹介や、ダイヤモンドプリンセス号に乗船し日本の患者第一号に対応した、横浜市立大学附属病院救急科・小川史洋先生のお話などを上映しました。医学部生ならではのコンテンツ満載で、小学生も目を丸くして聞き入っていました。

 G-kidzの担当・永瀬さんは「この映像は特に印象的でした。『死』に関するお話は敏感にならざるを得ない。でも現実に起こることなので、避けられない事実です。タブーではないが軽はずみに伝えるのではなく、不安をあおるでもなく、その先にある命の話を伝えていただきたいとお話しました。学生さんが作られた先生へのインタビュー映像には、とても自然に『死』の話が入っており、子どもたちもいろいろなことを感じたのではないでしょうか」と話してくださいました。
 上映の後は座学の授業です。「救急車の呼び方・熱中症」をテーマに、YDCが今までいろいろな学校で伝えてきた内容を低学年向けにブラッシュアップしたもので、先生役の学生が、わかりやすく、また低学年が興味を持てるように具体的に解説していきます。途中、子どもたちに手を挙げて答えてもらうなど、参加型・双方向の授業に、子どもたちは集中し、引き込まれていました。

◆子どもたちの将来につなげたい、貴重な「3つの体験」

 授業のあとは5分の休憩をとり、いよいよ「体験」コーナーです。細長いアリーナを「AED」「救急車」「熱中症」の3つのテーマに分け、各グループ学生2〜3名と小学生4〜5名で実際に体験する時間です。
 「AED」グループは人型模型にAEDを装着し、通電させて使い方を体験しました。装着が終わった次の「離れて!」というテレビでよく見るあのシーンに、子どもたちは興奮気味。恐る恐る触っている子もいましたが、学生のお手本を見ながら正しい使い方を学びました。
 「救急車」のグループは、患者に扮した学生が倒れているところに、声掛けをし、実際にスマホを使って電話をかける練習。電話でのやりとりを体験しました。
 「熱中症」も、患者に扮して倒れている学生に応急手当を再現。その後は経口補水液の飲み比べの時間もありました。この日も真夏日。皆のどが乾く時間帯でもあったので、ちょっとうれしい、お楽しみ体験ができたようです。
 また、この体験授業ではクイズを取り入れて、「授業に沿ったミニクイズ5問」+「医療知識5問」の合計点による賞品付の表彰式も行うなど、笑顔があふれたプログラムでした。
 子どもたちにとってもYDCメンバーにとっても、新型コロナの感染拡大下にあって、楽しく貴重な時間となったようです。

■担当者のコメント

〇G-kidz :永瀬さん
「なかなか体験できないけれど、知っておけばいざというときに子どもでもできることがある、ということも教えていただけました。子どもだから何もできない、ではなく、知ることは大事。3つの実体験を通して、子どもにだってできることはあるのだ、ということをわかってくれたのではないでしょうか」。

 〇YDC代表:石原 寛子さん(医学部医学科 5年)
「現在新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、今日の授業では、うがい手洗いなど小さなことだけれどみんなが協力してくれているので、病院は助かっているよ!という感謝を子どもたちに伝えたいと思っていました。医学生とふれあうことで、医療や医療従事者の話を身近に感じ、将来の仕事として興味を持ってくれればうれしいです。今までは3~4年生対象だったので、低学年向けの今回は少し不安がありましたが、集中して楽しく参加してくれたことが何よりよかったです」。
 (コーディネーター・柳本)

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