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【海外の学生ボランティア事情1】シンガポールにおける日本人学生ボランティア状況 〜メトロポリタンYMCAを事例に〜

学生スタッフVolunch夏休みボランティアレポート1

「メトロポリタンYMCAジャパニーズセクション」でのボランティア・リーダー活動

  • 日 時:2014(平成26)年~2015(平成27)年 
  • 場 所:シンガポール メトロポリタンYMCAジャパニーズセクション

 私は2014年から2015年の1年間、シンガポールのメトロポリタンYMCAジャパニーズセクションにて「ボランティアリーダー」[i]として活動した。この団体の活動内容は、シンガポールの各地を訪れ、自然散策やスポーツ活動等[ii]を行う「Outdoor Kids/ Youth club」、「P.E. for Mather & Child(親子体操教室)」、「Gymnastics for Kids or Youth(体操教室)」、「Swimming (スイミング教室)」や「Basketball(ユースバスケットボール教室)」などのプログラムを年間を通じて3期間に分けて[iii]実施している。私が参加した「Outdoor Kids/ Youth club」のプログラムでは、ボランティアリーダー1人又は2人に対して約6人の子どもたちと1つのグループとして行動する。したがって1回のプログラムに約30人の子どもたちと、YMCAの日本人スタッフやボランティアリーダーが参加する。活動後には、日本人スタッフとボランティアリーダーでその日の反省会を行うため、考え等を共有することができる。私はこのプログラムで様々な活動に参加したが、その中で印象に残った活動を紹介したい。

子どもが滅多に体験できない活動を

 2015年1月24・25日の2日間、ジュロン・バードパークにて子ども達と過ごした。“子どもが滅多に体験できないことをしよう”、という目的のためにYMCAスタッフがバードパークの職員と交渉をし、ペンギンの水槽の前でテントを協力して張って、皆で一晩過ごした。また、飼育員から鳥類についての話を聞いたり、クイズを解いたりなど、遊んだり、学んだり盛りだくさんの2日間だったこともあり、子どもたちはとても楽しかったそうだ。他にも、公園で包丁の使い方を教えてもらったり、メンバーと協力してうどんやカレーを作る活動もあった。

参加メンバーの感想

 一緒にボランティアリーダーとして参加したメンバーに、ボランティアに参加したきっかけや学んだこと等を聞くことができたので、紹介したい。
 
「どのように小さい子をサポートすることができ、どう接すればいいか知りたかったので、YMCAのプログラムに参加した。実際にシンガポール動物園、バードパークでの散策やクッキングまた一泊するキャンプ活動に参加したが、このボランティアでは、ただ子どもをサポートするだけではなく、子どもが自分でできるかを見守ることも大切だと学んだ」(M)

 また、学生Kは、現在バンクーバーで勉強しているため、日本語学校で日本語を教えるボランティアに参加した体験と比較している。

「幼児や小学生くらいの子どもたちがシンガポールでどのように暮らしているのか、自分がどのようにサポートできるのか単純に興味を持ったのと、子どもは好きだけれど、接するのは得意ではなかったため挑戦してみようと思い、参加することを決めた。常に手を差し伸べることだけが子どもの成長に繋がるのではなくて、陰から見守って本当に助けを必要としている時に手を差し伸べることが子どもの成長を助けるのだと学べた。バンクーバーは現地校しかなく日本語を話せない子どもが多い。日本語学校に通う子どもでさえ、思うように意思表示等ができないことが多い。しかしシンガポールのインターナショナルスクールは母国語教育にも力を入れているので、本当の意味でのバイリンガルになれる環境が整っている。母国語の大切さ、海外にいても日本人としてのアイデンティティを保つ難しさと大切さを学び、本当のバイリンガルは二つの言語で自分を自由に表現できることかなと感じた」(K)

臨機応変・柔軟に考えることの大切さ

 私はYMCAで子どもと行動を共にして、時にはリーダーシップを発揮したり、見守ったりなど臨機応変な対応が必要だということ学んだ。さらに学んだこととして物ごとを柔軟に考えることの必要性が挙げられる。現在、安全面等で厳しい規制ができ始めている。そのために子どもの遊び場が減少するなど「自由」とは言い難い現状がある。例えば、ペンギンの水槽の前で一泊することは、柔軟性がないと実現できなかっただろう。つまり、マニュアル通りではなく、体験してみたいことを行う場を設けること、またそのアイデアを出すことが重要だと改めて学んだ。

 最後に、在星日本人の学生の多くがYMCAジャパニーズセクションの様々なプログラムでボランティアに参加している。友人からの誘いや在住者のための雑誌等からの情報により、ボランティアリーダーが成り立っている。プログラムに参加する子どもたちだけでなく、彼らをサポートするボランティアリーダーもまた、学ぶ点が多くあるため、相互に助け合っていると言えるだろう。
[i] Japanese Programmes (閲覧日2017/08/10).
[ii] Japanese Class (閲覧日2017/08/10).
[iii] Japanese Class (閲覧日2017/08/10).

■レポート執筆者:学生スタッフVolunch  北垣 璃乃

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