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夏休み恒例の人気企画 科学倶楽部「親子で楽しむ科学実験」

小学校ではやらないようなちょっぴり高度な実験に、子どもはもちろん保護者も夢中!

  • 日 時:2017(平成29)年7月30日(日)
  • 場 所:八景キャンパス(総研棟523、いちょうの館)
  • 主 催:科学倶楽部(部員23名)
  • イベント・ボランティア名:第6回親子で楽しむ科学実験(エクステンション講座)
  • イベントの参加者:親子21組(小学校4年~6年)
 
 横浜市立大学が市民向けに開講している『エクステンション講座』では、毎年夏休みに、学生団体・科学倶楽部による「親子で楽しむ科学実験」を行っています。普段は入れない大学内の実験室に入ることができたり、小学校ではやらないような高度な実験に触れることができる機会として、地域の親子に人気のプログラムです。
広い実験室で、1~2組に1人の部員がついて実験の指導にあたった。

3グループに分かれて、3つの実験を順番に実施

 この日の参加者は、小学校4年から6年生の21組の親子。グループに分かれて行う3つの実験と、部員によるデモンストレーション実験を楽しみました。3つの実験は各30分ずつで、グループごとに3か所テーブルを移動しながら行いました。部員がプロデュースした3つの実験は下記です。

実験1
望遠鏡をのぞいてみよう!
自分で望遠鏡を作り、それを使って遠くに貼ってあるヒント読み、答えを探します。
実験2
コロイドのカラフル実験
さまざまな溶液を使って混ぜて、色が変わる不思議な液体を作ります。
実験3
火のないところで目玉焼き?!
いつもおうちで作っている目玉焼きを、火を使わずに作ってみます。

 各グループでは、担当の学生が講師役になり、まず実験の手順を説明していきます。生徒たちの手元には、わかりやすい写真と共に手順が書かれた、記入式の「実験書」が、保護者の方々の手元には、丁寧に語句の説明が記載された「保護者用冊子」が配られ、実験中親子は隣り合った席に座って、講師の解説を聞きながら作業を進めました。
(左)オリジナルの記入式「実験書」と「保護者用冊子」、(右)部員によるデモンストレーション。

望遠鏡では“さかさま文字”に焦点を合わせるのに苦戦

 望遠鏡を作る実験では、凸レンズを2枚組み合わせて、遠くにあるものを大きく見ることができる「ケプラー式望遠鏡」を作りました。使う材料は牛乳パック3枚、老眼鏡のレンズ、筒形虫めがね、黒い紙3枚と色紙2枚。望遠鏡には「ガリレオ式」と「ケプラー式」があり、「ガリレオ式」は双眼鏡やオペラグラスに使われている一般的な望遠鏡ですが、「ケプラー式」は像がさかさまに見えることが特徴で、天体望遠鏡などに使われています。今回の実験では、でき上がったあと黒板に貼ったクイズのヒントを探すのですが、普段見慣れないさかさま文字を、焦点を合わせながら確認するのに悪戦苦闘している親子や、お父さんのほうが熱中してしまい、子どもに「僕も早く見たい!」とせがまれるという微笑ましい親子の姿もありました。
(左)親子で一緒に「こうかな?」「ちがうよ、こっち!」(右)さて、黒板に貼られたヒントは読めたかな?
(左)小さい瓶にこぼさないように溶液を注ぐ(右)実験の結果は、「実験書」にメモ

カラフルな色の変化に驚きの声が!

 鉄の水溶液に溶液を加えることで、色が変化します。「コロイドのカラフル実験」では、黄色の塩化鉄水溶液に、下の3種類の溶液を入れて、色の変化を観察しました。

  • 鉄+サリチル酸ナトリウム水溶液→褐色
  • 鉄+ヘキサシアノ(Ⅱ)酸カリウム水溶液→濃緑色
  • 鉄+チオシアン酸アンモニウム水溶液→赤色
 次に、最初に作ったコロイド溶液をセロファンシートに入れて「透析」の実験をしました。コロイドとは粒子が大きく、また溶液に広がる速度が遅く結晶になりにくい物質のことで、煙、牛乳、ゼリーなどもコロイドの一例です。目に見えない小さな穴がたくさん開いているセロファンシートにコロイド溶液を入れると、粒子の大きいコロイドは穴を通り抜けることができず、イオンなどの小さな粒子のみ通り抜けるので、コロイドとイオンを分離することができます。これは「人工透析」という名で医療の分野で行われている精製法です。この実験は、液体が飛び散ると危険なので、専用の実験用保護めがねをつけて行ってもらいました。普段と違う本格的な装備に、子どもたちも最初は少し緊張気味のようでした。
(左)あれれ、火を使わないのに卵の白身が固まってきたよ!(右)実験の結果は、ここでも忘れずに「実験書」にメモ。

火を使わないのに、きれいな目玉焼きができた!

 紙コップ①に燃料の酸化カルシウムを入れ、100mlのビーカーにすっぽり入れます。もう一つの紙コップ②にアルミホイルを載せてフライパンを作り、うずらの卵を割ります。①にスポイトでひたひたになるくらいの水を入れたら、卵を乗せた紙コップ②を紙コップ①の上に素早く移し替えます。しばらくすると、紙コップ①の中の燃料と水が反応して水酸化カルシウムが発生するときに「生成熱」という熱を発し、その熱で卵が焼けます。見る見るうちに火が通って固まっていく卵に、子どもたちは大喜び!ただ、紙コップも熱くなるので、子どもたちがやけどをしないように、学生も注意深く見守っていました。
(左)会場を移して、液体窒素の実験!(右)マシュマロを入れると、”揚げ物”のようにパチパチ。

クイズの後は場所を移動して、いちょうの館でデモンストレーション実験 ~思いがけない「サプライズ」に子どもたちは大喜び~

 3つの実験を終えたところで、スライドを使いながら、学生たちによるクイズタイム。司会の学生による4つの質問に、次々に手をあげて答えていく子どもたち。「目玉焼き」実験は特に人気のようでした。学生もところどころに笑いネタを入れながら、楽しい交流タイムとなりました。

 その後は会場をいちょうの館に移して、学生による液体窒素を使った楽しいデモンストレーション実験。液体窒素を使って、一瞬で金槌のように硬くなるバナナや、パリパリになるレタス、弾まないスーパーボールに驚きの声が!また最後は凍らせたマシュマロを試食して、その食感に大喜びでした。

参加した保護者の方からは、

「自分は科学に関わっていましたが、娘はあまり興味がないようなので、妻が申し込みをしてきました。今日一緒に参加できて良かったです。娘にも科学が好きになってほしい(小6女子の父)」

「市の広報を見て知りました。娘は目玉焼きが面白かったと言っていました。もともと理科が大好きな子なので、ぜひ“理系女”にさせたい(小4女子の母)」という声がありました。

 毎年恒例となった「親子で楽しむ科学実験」。関わる科学倶楽部の学生も「実験の楽しさを知ってもらえれば、という気持ちでやっています。ぜひこの機会をきっかけにして、いろいろなことに興味を持ってもらえればいいと思います」というように、内容も年々ブラッシュアップを重ね、より楽しめるように、安全に工夫されてきました。この後8月11日には舞岡教室でも実施されました。
(左)最後は、参加した小学生全員に表彰状を授与(右)科学倶楽部の面々。ポーズは「フレミングの左手の法則」。

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