変形性膝関節症 人工膝関節置換術

変形性膝関節症の疾患情報

変形性膝関節症は40歳過ぎから発症されるとされており、高齢化がすすむ日本では3人に1人は罹患していると推定されます。
元気に歩けないことは健康寿命に多大な影響を与えており、メタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームといった様々な現代病に関連しているとされています。20、30代の若年者においても、スポーツや仕事等での怪我により、半月板、靭帯損傷を受傷されることで変形性膝関節症が進行し、治療が必要になることがあります。
治療法としてはお近くの整形外科クリニックでの消炎鎮痛処置、関節内注射、運動療法などの保存的療法が第一選択となりますが、3カ月程度保存的加療を行った上でも症状が改善しない患者さんや、半月板の損傷にて変形性膝関節症の進行が危惧される関節さんに対しては様々な手術療法を提案させて頂いております。また単純レントゲンのみでは、膝痛の原因が分からない事が多く見受けられるため、膝関節専門医よる診察、MRIなどの精密検査を勧めさせて頂きます。

変形性膝関節症の治療法

関節鏡手術

前十字靭帯損傷に対する再建手術、半月板部分切除術、縫合術に使用されます。
若年者のスポーツや外傷に伴う半月板損傷の治療方針とは異なり、変形性膝関節症に伴う半月板損傷に対しては、断裂した半月板により引っかかる症状がある場合や可動域制限を来たしている場合に部分切除術や縫合術の適応となることが多いです。

  • 関節鏡手術①
  • 関節鏡手術②
  • 関節鏡手術③
  • 関節鏡手術④

膝関節周囲骨切り術

人工膝関節を勧めづらい60歳以下の方や、筋力が保たれており、変形が軽度な60歳以上の患者さんには対してよい適応と考えております。当院ではもともと骨の形態異常を伴う患者さんの半月板損傷に対して関節鏡視下半月板修復術と同時に施行しております。
骨癒合を認める3カ月程度まで痛みが残存し、運動や痛み重労働は個人差がありますが術後6カ月程度から可能となることが多いです。進行した変形性膝関節症では症状の改善が困難であり、加齢と共に変形性膝関節症が進行し、将来的に人工膝関節が必要となる可能性があります。

膝関節周囲骨切り術膝関節周囲骨切り術

人工膝関節内側単顆置換術(UKA)

利点:人工膝関節全置換術(TKA)と比較して、皮膚を切開する傷も半分程度で済み、侵襲が少ない。TKAよりも健全な靭帯、骨を温存することができ、違和感が少なく患者さんの満足度が高いとされています。
入院期間がTKAより短くて済む(10日程度)。長期成績がTKAと比較して低いとされているので、比較的高齢者の患者さんに勧めることが多いです。

人工膝関節内側単顆置換術(UKA)人工膝関節内側単顆置換術(UKA)

人工膝関節全置換術(TKA)

利点:高度な変形に対しても対応可能であり、除痛効果と関節機能の改善に優れているとされています。術後20年以上経過しても90%を超える安定した長期使用が可能とされています。変形性膝関節症の手術治療の標準的な治療法であり、高い有効性が期待できます。
入院は10日から14日程度必要です。当院では最新の人工関節手術支援ロボット【ROSA Knee(ロザ・ニー)システム(米国Zimmer biomet社)】を導入しており、より精度が高いインプラントの設置が期待できます。

人工膝関節全置換術(TKA)人工膝関節全置換術(TKA)