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消化器病センター外科/ 下部消化管グループ

患者さんへ

大腸肛門疾患、主に悪性腫瘍、大腸がん(結腸がん、直腸がん、肛門管がん)、GIST、NET(神経内分泌腫瘍)などに対する手術治療、化学療法・放射線療法を多く行なっています。大腸がんに関する専門領域の知識と技術を基に、根治性の追求と低侵襲性に加えて術後の生活の質(QOL: Quality of life)を考慮し、個々の患者さまのご希望に応えることを目標にしています。
特徴としては、

  1. 大腸がん治療総数では全国ランキング7位、神奈川県においては1位であり、多くの患者さんの治療にあたっています。
  2. 腹腔鏡手術、ロボット支援下手術を積極的に取り入れ、体に優しい手術を行っています。(ロボット手術のプロクター(指導医)は2名、内視鏡外科学会技術認定医(大腸)は4名在籍しており、大腸がん手術の約99%に腹腔鏡手術、ロボット支援下手術を施行しています)。
  3. 可能な限り肛門を温存します(下部直腸癌に対し,90%の症例で肛門温存手術を行っています)。
  4. 閉塞性大腸がんや局所進行直腸がんに対して、集学的治療を行っています。
  5. 直腸がんに対して、積極的にロボット支援下手術を行っており、根治性を担保し術後の機能(排尿・性機能)を最大限に温存しています。
  6. 2022年4月から結腸がんに対するロボット支援下手術が保険適応となり、積極的に導入しています。 

主な対応疾患と診療内容

直腸癌

可能な限り肛門温存手術を目指しています。下部直腸癌に対し、90%の症例で肛門温存手術を行っております。
また根治性を担保することや、術後の排尿・性機能を最大限に温存しています。
低侵襲手術を目指し、腹腔鏡手術に加え近年はロボット支援下手術を積極的に行っています。特に進行下部直腸がんに対する側方リンパ節郭清も、腹腔鏡やロボット支援下に行っております。局所進行直腸がんに対しては、根治性を高めることや機能温存を目指す目的で、放射線治療や化学療法を周術期に行う集学的治療を当科で行っております。

直腸癌に対するロボット支援手術

直腸癌に対するロボット支援手術の特徴や有効性を、動画でわかりやすくお伝えしています。

結腸癌

低侵襲性を求めて積極的に腹腔鏡手術、ロボット支援下手術を行っています。また閉塞性結腸癌や進行性結腸癌に対しては根治性を求めて、閉塞に対してのステント治療後の手術や、人工肛門造設後の手術、また術前に化学療法を施行してからの手術など集学的治療を行うことで高い根治性を目指しています。

進行再発・転移性大腸癌

手術だけでなく化学療法や状況に応じては放射線治療も考慮に入れながら治療にあたっていきます。化学療法は基本的には大腸癌治療ガイドラインに沿った治療が基本となりますが、現在ではゲノム検査等も積極的に取り入れ、その結果も考慮に入れながら、患者さんにとって最もメリットがある治療プランを患者さんと相談しながら検討していきます。またその間の患者さんのQOLを保てるように副作用対策にも重点を置き、医師に加え薬剤師や看護師も治療に携わり、生活の質を保ちながら最大限の治療効果を引き出すことを目指しています。当科では外科医が化学療法を行うことで、化学療法中に手術が検討できる症例では積極的に手術を行うことで根治を目指すなど、様々な選択肢をもって総合的な治療を行っていきます。

主な検査・設備機器

最新鋭腹腔鏡手術機器

 腹腔鏡という直径約1cmの細長いカメラをお腹の中(腹腔)に入れ、そのカメラからの映像をモニターに映して、そのモニターを見ながら行う手術のことです。利点として、
(1)おなかの傷が小さいこと、
(2)手術後の痛みが少ないこと、
(3)お腹のなかの環境に与える影響が少ないために手術後の胃腸運動の回復が早く、術後早期から食事が摂取できること、
(4)入院期間が短く、仕事や家庭への復帰が速やかなこと、
(5)腹腔鏡の近接、拡大視効果により、肉眼では見えにくい細い神経の温存など、より繊細な手術ができること、などが挙げられます。
近年では多くの施設で、患者さんにとって身体への影響が少ない「腹腔鏡手術」が選択されるようになってきています。腹腔鏡手術の低侵襲性は多くのエビデンスが報告されおり、我々も確かな技術と経験を持ったスタッフが腹腔鏡手術を行っております。
現在まで約5000例以上の腹腔鏡手術をおこなっており、腹腔鏡下大腸切除術の教育・修練施設として若手外科医の指導、育成にも積極的に取り組んでいます。
現在までに10名以上の日本内視鏡外科学会技術認定医(大腸)を輩出し、各々が横浜市立大学附属病院、横須賀共済病院、藤沢市民病院、NTT東日本関東病院、国立病院機構横浜医療センター、済生会南部病院などで責任者として大腸の診療にあたっています。
現在、当科では年間500件以上の手術(大腸がんの原発切除は300件以上)を行っており、5名の内視鏡外科学会技術認定医のもと大腸がん手術の約99%に腹腔鏡手術(ロボット支援下手術を含む)を施行しています。

最新鋭腹腔鏡手術機器

当科では直腸癌、結腸癌手術に対して積極的にロボット支援下手術を積極的に施行しています。腹腔鏡手術の一種ですが手術操作を手術支援ロボットを用いて行う手術です。
da Vinci(インテュイティブサージカル社製)はアメリカで開発された最新鋭の内視鏡手術支援ロボットで、当院には最新のda Vinci Xiが2台整備されており、腹腔鏡下手術同様に身体への負担が少なく患者さんにやさしい低侵襲手術を実現します。特に病変が肛門から近い下部直腸癌でそのメリットを最大限に発揮しますが、安定した手術が可能であるため結腸がん、直腸がん手術ともに当院では保険診療で施行可能です。

施設認定

  •  日本消化器外科学会専門医修練施設
  • 日本大腸肛門病学会認定施設

診療実績

下部消化管グループの治療件数(2023年まで年次別合計件数)

下部消化管グループの手術件数(2018年から2022年詳細)

 

 
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年

大腸癌原発切除NET、GIST含む
315件 274件 308件 347件 339件

内訳
 
164件(51.3%) 195件(61.9%) 168件(61.4%) 188件(61.0%) 204件(58.8%) 178件(52.5%)
直腸癌 120件(38.1%) 106件(38.6%) 120件(39.0%) 143件(41.2%) 161件(47.5%)

ロボット手術(ダ・ヴィンチ手術)

当科では結腸がん、直腸がん手術に対するロボット手術を積極的に施行しています。 ダ・ヴィンチ(手術支援ロボット)はアメリカで開発された最新鋭の内視鏡手術支援ロボットで、腹腔鏡下手術同様に身体への負担が少ない、患者さんにやさしい低侵襲手術を実現します。特に肛門に近い下部直腸癌でそのメリットを最大限に発揮します。当院で導入している手術支援ロボットはDa Vinci Xi(インテュイティブサージカル社製)という最新機種であり、2名のロボット手術プロクター(指導医)が在籍し、安全、確実な手術を実施しています。

腹腔鏡手術

「腹腔鏡手術」とは、腹腔鏡という直径約1cmの細長いカメラをお腹の中(腹腔)に入れ、そのカメラからの映像をモニターに映して、そのモニターを見ながら行う手術のことです。ロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)も腹腔鏡手術の仲間です。

腹腔鏡手術の低侵襲性(身体に負担が少ないということ)は多くのエビデンスが報告されています。我々も確かな技術と経験を持ったスタッフが腹腔鏡手術を行っており、現在まで約5000例以上の腹腔鏡手術をおこなってきました。現在、当科では約460件の手術(大腸がんの原発切除は300件以上)を行っており、4名の内視鏡外科学会技術認定医のもと、大腸がん手術の約99%に腹腔鏡手術、ロボット手術を施行しています。

経肛門的直腸間膜切除術 (taTME)

直腸がんの手術では、狭い骨盤内の操作が必要となりますが、特に狭骨盤の男性や、肥満症例、腫瘍が大きい症例では骨盤深部の操作難易度が高くなります。その解決方法の一つとして、「経肛門的直腸間膜切除術(taTME:Transanal total mesorectal excision)」という術式が有用である場合があります。taTMEとは、腹腔側と肛門側の両方から手術を行う方法です。

直腸がんに対する肛門温存手術

近年まで肛門に近い直腸がんに対しては、肛門も切除する「直腸切断術」が施行され、永久人工肛門となることを余儀なくされていました。当科では、今までであれば永久人工肛門となっていた肛門に近い直腸がんでも、一定の条件をみたせば、自分の肛門を残せる超低位直腸切除術、ISR(括約筋間直腸切除術)を積極的に施行しています。これらの手術では縫合不全を予防し、良好な肛門機能を温存するため一時的な人工肛門を造設しますが、約2-3か月を目途に一時的人工肛門を閉鎖する手術を行います。その後は、自分の肛門からの自然排便が可能となります。

直腸がんに対する術前治療(術前放射線化学療法)

進行した直腸がんに対して、原発腫瘍の縮小(局所の完全切除)、遠隔再発の抑制などを目的として、術前治療を実施した後に、手術を行う場合があります。術前治療によって腫瘍が非常に縮小したケースでは手術を行わず経過観察をする場合もあります。当院では術前治療を特定臨床研究としても行っており、その適応やメリット、デメリットを十分理解していただいた上で、患者さんと相談のうえ実施しております。