お問い合わせ

診療科・部門案内

消化器病センター

直腸癌(外科/ 下部消化管グループ)

直腸癌について

近年まで肛門に病変が近い直腸癌に対しては、肛門も一括して切除する「直腸切断術」が施行され永久人工肛門となることを余儀なくされていました。
 しかし最近ではこのような症例でも、術前治療や手術治療の発展によって肛門温存ができるようになった症例も存在します。全例ではありませんが一定の条件をみたせば自分の肛門を残せる超低位直腸切除術、ISR(括約筋間直腸切除術)が行われるようになり、肛門温存が可能な症例も増えています。これらの手術でも一時的には縫合不全の予防や、良好な肛門機能を温存するため人工肛門を造設しますが、吻合部や肛門機能に問題のないことを確認して一時的人工肛門を閉鎖する手術を行います。一時的人工肛門閉鎖後は自分の肛門からの自然排便が可能となります。

直腸癌の最新の治療戦略

手術治療

直腸癌の手術は狭い骨盤内での手術が必要となるため、特に肛門に近い腫瘍の場合は手術難易度が高いといわれています。また肛門を温存する場合は機能温存のために特に繊細な手術が必要となります。
現在当院では、手術支援ロボット (da VInci Xi)を用いて直腸癌手術を行っております。
実施にあたっては2名のロボット手術プロクター(指導医)が中心となり、確実、安全な手術を実施しております。
ロボットを用いた手術の実際については、下記動画で詳しく説明していますので、ご参照ください(閲覧にはYoutubeへのログインが必要な場合があります)。

肛門温存手術

近年まで肛門に近い直腸がんに対しては、肛門も切除する「直腸切断術」が施行され、永久人工肛門となることを余儀なくされていました。当科では、今までであれば永久人工肛門となっていた肛門に近い直腸がんでも、一定の条件をみたせば、自分の肛門を残せる超低位直腸切除術、ISR(括約筋間直腸切除術)を積極的に施行しています。これらの手術では縫合不全を予防し、良好な肛門機能を温存するため一時的な人工肛門を造設しますが、約2-3か月を目途に一時的人工肛門を閉鎖する手術を行います。その後は、自分の肛門からの自然排便が可能となります。

側方リンパ節郭清

進行下部直腸がんでは、7-15%程度の患者さんで側方リンパ節転移を認めるとされています。側方リンパ節郭清は、下図のように重要な構造物が密集したエリアを郭清する必要があり、一般的に、高難度手術とされていますが、当科ではロボット手術を用いた正確な側方リンパ節郭清を行っています。

術前治療

局所進行直腸癌に対しては①原発腫瘍の縮小(局所再発の予防)、②ダウンステージ、③微小転移の制御(遠隔再発率の低下)などを目的として、術前放射線化学療法や術前化学療法を行い手術へと繋げていきます。直腸癌に対して術前治療を施行することによって、直腸癌が消失することもあります。消失した場合は患者さんと十分に話し合った上で、手術を施行せずに経過観察を行うという選択肢もあります。術前治療には適応があり、担当医とご相談ください。

経肛門的直腸間膜切除術 (taTME)

直腸がんの手術では、狭い骨盤内の操作が必要となりますが、特に狭骨盤の男性や、肥満症例、腫瘍が大きい症例では骨盤深部の操作難易度が高くなります。その解決方法の一つとして、「経肛門的直腸間膜切除術(taTME:Transanal total mesorectal excision)」という術式が有用である場合があります。taTMEとは、腹腔側と肛門側の両方から手術を行う方法です。