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インドネシアとの高度看護実践と研究のコラボレーション—見て、触れて、学ぶ交流研修プログラム—

2026.02.16
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附属病院遠隔ICU見学を終えて 附属病院遠隔ICU見学を終えて
横浜市立大学では2020年度からインドネシアのハサヌディン大学の学生を招聘し、科学技術振興機構(JST)のさくらサイエンスプログラムを実施しています。本年度は、「日本の先端医療である「遠隔ICU」における高度看護実践と研究のコラボレーションを見て、触れて、学ぶ交流研修プログラム」をテーマとして、医学部看護学科看護生命科学領域が主体となり、看護学科国際担当と協働して企画・運営しました。本プログラムでは、ハサヌディン大学から学生10名と教員1名を招聘し、日本の先端医療および高度実践看護を多面的に学ぶ機会を提供しました。
市民総合医療センターでの討議 市民総合医療センターでの討議
【附属2病院見学】
周麻酔期看護師の役割と先端医療・遠隔ICUの見学
横浜市立大学附属病院では手術室を見学しました。見学に先立ち、麻酔科の後藤教授より、日本および世界における周麻酔期看護師および麻酔科医の歴史についてご講義いただきました。本学が国内で2番目に周麻酔期看護師養成コースを設立し、本年で10年目を迎えることについても紹介され、招聘者にとって日本の周麻酔期看護師教育の歩みを理解する機会となりました。招聘者は、周麻酔期看護師が麻酔科医と協働しつつ専門職として高度に自立して手術を支える姿に強い感銘を受けていました。
 
また、ダビンチ手術支援ロボットによる手術見学では、招聘者全員が高い関心を示しました。インドネシアではダビンチによる手術が導入されたばかりであり、日本の高度医療技術を将来の将来像として具体的に捉える貴重な機会となった様子でした。加えて、集中治療室では、高木部長より遠隔ICUの現状や今後の展望、意義に関するご説明いただき、実際に遠隔ICUを見学する機会を得ました。見学中には招聘者から途切れることなく質問が寄せられ、遠隔ICUに対する関心の高さが伺えました。
続いて、横浜市立大学附属市民総合医療センターでは、周麻酔期看護師が行う術前外来を見学しました。看護師と医師が手術の約2週間前にアセスメントを実施することで、手術延期が減少している現状について説明を受け、日本の医療における体系的で質の高いプロセスに、招聘者は深い感銘を受けていました。見学後には、インドネシアにおけるヘルスケアの現状と課題について活発な意見交換が行われました。その中で、「ヘルスケアは文化と歴史の積み重ねであり、個人の小さな行動から始めることが重要である」との助言が共有され、相互に医療への理解を深める貴重な対話の場となりました。最後に、三次救急の現場を見学し、ECMO対応救急車や、CT・MRIをはじめとする高度医療機器が集約された環境を実際に視察しました。招聘者にとって、日本の救急医療システムの実際を理解する大変有意義な経験となりました。
 
合同講義&ワークショップ 合同講義&ワークショップ
【YCU看護学科の学生との合同講義&ワークショップ】
両国における先端医療・高度実践看護の相互理解と共有、課題解決に向けたディスカッション
両国の先端医療および高度実践看護に対する理解を深めることを目的として、まず日本と海外の講師より、それぞれの国における先端医療の現状と、日本の高度実践看護に関してご講義いただきました。
講義後の質疑応答では、両大学の参加者から多くの質問が寄せられ、活発で実りある議論が展開されました。
 
続いて、両大学の学生は3つのテーマ(両国における医療の現実と課題、両国における先進医療の現状と課題、両国における高度実践看護の現状と課題)に分かれ、グループディスカッションを実施しました。各グループは、テーマに関連する現状と課題を整理したうえで、その解決策について討議を深めました。その後、ディスカッションの成果を全体に向けて発表する機会が設けられ、参加者間で知見を共有する貴重な場となりました。プレゼンテーション終了後、YCU看護学科の2年生を中心として参加者全員でフェアウェルパーティーを開催しました。パーティーでは、英語を用いた連想ゲーム大会が行われたほか、日本のお菓子や折り紙を取り入れたおもてなしにより、交流を深める和やかな雰囲気となりました。また、招聘者のみなさまには、インドネシアの伝統ダンスをご披露いただき、学生・教員ともにその迫力と美しさに魅了されました。パーティーの最後には、赤瀬看護学科長より、ハサヌディン大学の参加者一人一人に修了証と記念品が贈呈され、本プログラムを温かく締めくくる時間となりました。
 
【看護棟の見学・看護研究の紹介】
 招聘者の中には大学院生も含まれていたことから、該当者は看護生命科学領域の大学院ゼミに参加しました。招聘者による研究紹介では活発な討議が交わされ、両国の大学院生が取り組んでいる研究への理解を深めるとともに、研究の発展可能性について考える貴重な機会となりました。
続いて行われた看護棟の見学では、母性看護学・小児看護学・基礎看護学・老年看護学の各実習室に加え、看護学科実験室を視察しました。各実習室では領域ごとの特徴がはっきりと示されており、招聘者は施設の充実度に感銘を受けるとともに、そこで展開される実習内容にも強い興味を抱いていました。
特に、看護学科内に実験室が設置されている点については驚きを示し、看護研究における基礎研究の位置づけや意義について理解を深める機会となりました。その後、看護生命科学領域および成人看護学領域からは、化学療法の副作用に着目した研究、クリティカルケアに関する研究、AIやエコーを活用した研究などが紹介されました。いずれの研究内容にも招聘者は強い関心を示し、日本での大学院進学を希望する学生が現れるなど、非常に盛り上がりのある交流となりました。
 
【都内の遠足】
日本の都市文化および科学技術への理解
最終日には東京スカイツリーの展望台および回廊を訪問し、東京の街並みを一望しました。初めて目にする景観に強い感動を示す学生もおり、日本の都市文化への理解を深める機会となりました。続いて訪れた日本科学未来館では、移動の途中で、招聘者は海岸にゴミが見られないことに驚き、日本の環境意識の高さを感じ取っている様子が見られました。館内では「世界をさぐる」「未来をさぐる」ゾーンを中心に見学し、展示を通じて科学技術と社会・未来とのつながりについて理解を深めていました。これらの体験は本プログラムのテーマである「体験を通じた学び」を体現する内容であり、招聘者が高い関心と積極性をもって参加していたことが伺えました。
今回のプログラムを通して、招聘者は日本の先端医療を目の当たりにし、日本の医療が持つ体系的で質の高いプロセスに強い感銘を受けている様子でした。また、招聘者の中には将来的に日本での就学を希望する声が聞かれました。さらに、教員からはJoint Degree Programの設立を望む意見も寄せられ、本プログラムは非常に実りある内容であったと考えます。 

看護生命科学領域 福田真佑

国際担当 鈴木佳奈

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