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大学院生 折山 拓海さんが、第54回結晶成長国内会議で講演奨励賞を受賞!

2026.03.31
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X線の高次反射を用いたFerritin結晶の完全性の評価

生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻 博士前期課程2年の折山 拓海さんが、2025年11月11日(火)~13日(木)に石川県 金沢商工会議所会館で開催された、第54回結晶成長国内会議(JCCG-54)において「X線の高次反射を用いたFerritin結晶の完全性の評価」について発表し、講演奨励賞を受賞しました。
受賞者
生命ナノシステム科学研究科
物質システム科学専攻
博士前期課程2年
折山 拓海おりやま たくみさん

指導教員
生命ナノシステム科学研究科
物質システム科学専攻
橘 勝教授

受賞内容
第54回結晶成長国内会議(JCCG-54)
講演奨励賞

発表題目
X線の高次反射を用いたFerritin結晶の完全性の評価
今回の発表内容について折山さんに解説していただきました。
結晶の完全性はX線回折を用いて評価することができます。格子欠陥*1を含まない完全結晶では、動力学的回折*2というX線の多重散乱現象が起こることが知られています。近年、巨大で複雑な分子からなるタンパク質結晶*3においても、動力学的回折が観測され、完全結晶が作製可能であることが示唆されました。しかし、タンパク質結晶における動力学的回折現象は、これまで低次反射のみで実験が行われてきました。低次反射では結晶全体の平均的な周期性を見ているのに対して、高次反射では原子スケールの精度での周期性の情報が得られます。つまり高次反射では結晶の完全性をより高精度で評価することができます。そこで本研究では、先行研究において動力学的回折が観測されたタンパク質結晶である、Ferritin(フェリチン)結晶の高次反射における完全性を評価しました。その結果、高次反射では動力学的回折から予測される振る舞いから大きく外れることがわかりました。これはフェリチン結晶では、結晶全体の平均的な周期性は保持されているものの、原子スケールでの周期性は乱れていることを示唆しています。解析の結果、その起源が、分子の配向のずれや微小ひずみによるものであることを明らかにしました。
折山 拓海さんのコメント
結晶成長の専門家たちの集まる学会で賞を受賞することができ、大変嬉しく思います。結晶成長に関するさまざまな分野の専門家たちとの議論を通して、多くの視点からのアドバイスをいただくことができました。今回受賞できたのは橘勝先生、鈴木凌先生の日々のご指導や研究室メンバーとの議論の成果と考えています。今まで3年半、ご指導ありがとうございました。卒業後も社会人として努力を続けてまいります。

指導教員 橘 勝教授のコメント
奨励賞、おめでとうございます。難しい研究テーマでもあり、途中なかなか自信が持てない時期もあったことと思いますが、最後まで諦めることなく取り組み、このような賞を受賞できたことを大変嬉しく思います。その後も、追加実験を含め、論文投稿に向けて粘り強く努力していましたね。研究室で得た経験は、今後必ずいかされると思います。今後のさらなる活躍を期待しています。
用語説明
*1 格子欠陥:結晶とは原子や分子が周期的に規則正しく配列したものである。それらの周期性の乱れや規則性の乱れのこと。
*2 動力学的回折:入射X線が結晶中で多重散乱を起こす回折現象。シリコンやゲルマニウムなど、格子欠陥のない完全結晶で観察される。
*3 タンパク質結晶:タンパク質分子が周期的に規則正しく配列した結晶。
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