大学院生 高久 大輝さんが、日本物理学会第80回年次大会で学生優秀発表賞を受賞！

生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程2年（橘研究室所属）の高久 大輝さんが、2025年9月16日（火）～19日（金）に広島大学 東広島キャンパスで開催された日本物理学会第80回年次大会において、「架橋したタンパク質結晶の特異な材料特性」について発表し、学生優秀発表賞を受賞しました。

受賞者
生命ナノシステム科学研究科
物質システム科学専攻
高久　大輝たかく　だいきさん

指導教員
生命ナノシステム科学研究科
橘　勝教授（物質システム科学）

受賞内容
日本物理学会第80回年次大会
学生優秀発表賞

発表題目
架橋したタンパク質結晶の特異な材料特性 

今回の発表内容について高久さんに解説していただきました。
タンパク質結晶^＊１は従来、創薬に向けたタンパク質分子の立体構造解明に用いられてきました。しかし、非常に脆く壊れやすく、取り扱いが困難であったため、その解決策として架橋^＊２が用いられてきました。タンパク質結晶に架橋を施すことで定性的に壊れにくくなることは知られていましたが、材料の観点から見た研究はほとんど行われてきませんでした。この力学特性を詳細に評価することでタンパク質結晶の新規材料化や、材料科学への新たな知見の提供につながると期待されます。そこで私は、架橋タンパク質結晶の力学特性の評価を行いました。結果として、架橋による高強度化のみならず、従来の材料にはない特性まで観察されました。発表ではそれらの詳細な試験結果と変形メカニズムにおけるモデルの提案について報告しました。今後は、架橋タンパク質結晶の更なる特性の探索とメカニズムの解明を目指します。

高久　大輝さんのコメント
このたびはこのような賞をいただくことができまして、非常に嬉しく思います。受賞することができたのは、橘先生と鈴木 凌先生を始めとした、橘研究室の皆様の手厚いサポートがあったからこそだと思います。この場を借りて感謝申し上げます。また、今回の発表を機に自身の研究の課題点や改善点が明らかとなりましたので、今後ともより一層研究に力を入れ、より良い研究成果へと昇華できるよう精進してまいりたいと思います。

指導教員　橘　勝教授のコメント
このたびは、日本物理学会という歴史ある学会での受賞、本当におめでとうございます。今回の発表は、米国物理学会が発行する学術誌『Physical Review Materials』に掲載された研究内容でしたね。こうした素晴らしい成果は、科学技術振興機構(JST)「次世代研究者挑戦的研究プログラム（SPRING） 」や、日本学術振興会(JSPS)「特別研究員（DC2）」に採択され、充実した支援のもとで研究に打ち込めたことが大きな力になったのではないでしょうか。今後のさらなる活躍を楽しみにしています。

用語説明
*1 タンパク質結晶 : 巨大で複雑なタンパク質分子が規則正しく並ぶことで構成される結晶
*2 架橋 : 高分子科学において高分子間に架橋剤となる分子が入り込み新たに結合を作ることで、材料の特性を変化させる化学処理