生命ナノシステム科学研究科生命ナノシステム科学研究科
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大学院生 谷口萌花さんが、第67回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウムで若手奨励賞を受賞!

2024.12.05
  • TOPICS
  • 学生の活躍

スピントロ二クスに応用が期待される材料の構造と磁気的性質の関係性を発表

社会人大学生である、生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程3年(物質システム科学専攻)の谷口 萌花さん(法政大学生命科学部教務助手)が、2024年9月1~3日に高知工科大学 永国寺キャンパスで開催された第67回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウムにおいて、窒素原子を含む黒鉛状炭素材料*1における合成条件が材料の局所構造と磁気的性質に与える影響についての最近の研究成果を発表し、若手奨励賞を受賞しました。
谷口萌花さん
受賞者
生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程3年
(物質システム科学専攻)
谷口たにぐち 萌花 もえか さん

指導教員
生命ナノシステム科学研究科
橘 勝 教授(物質システム科学専攻 )

受賞内容
第67回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
若手奨励賞

発表題目
Effect of synthesis methods on the structural and magnetic properties of N-doped graphitic carbon materials
(日本語訳: 窒素含有黒鉛状炭素材料における合成条件が構造および磁気特性に与える影響)
今回の発表内容 について谷口さんに解説していただきました。
ナノ炭素材料*2は、窒素など異種元素を炭素位置に置換することにより、その物性を大きく変化させることが可能であることが知られています。これらの材料の磁気的性質はかねてより研究が行われていますが、材料中に混在する微量の強磁性不純物*3により正しい磁性の評価が困難であることや、磁性をもたらすと考えられる局所構造の構築が困難であることなどが課題でした。今回の研究では、強磁性不純物を含まない化合物から窒素原子を含む黒鉛状炭素材料を合成し、その局所構造と磁気的性質の関係を系統的に評価しました。次世代情報記録用デバイスとしての発展が期待されているスピントロニクス技術*4などへの発展が期待されます。

谷口 萌花さんのコメント
このたびは、名誉ある賞をいただき大変光栄に感じます。本発表を通じて炭素材料の専門家の方々に貴重なご意見をいただき、一層の学びと成長につながったと感じています。
この成果は、研究活動を支えてくださった橘先生をはじめとし、教務助手としてお世話になっております法政大学の緒方教授のご尽力あってのことだと感じています。日々のご指導ご鞭撻にこの場を借りて感謝申し上げます。

指導教員 橘 勝教授のコメント
谷口さん、若手奨励賞おめでとうございます。仕事をしながらの学ぶ“社会人博士”ということで、なかなか研究時間も取れず精神的にも体力的にも辛いこともあったと思います。そのような状況の中、今回のような立派な賞が取れたことは本当に素晴らしいことです。日頃の努力が実りましたね。私も大変嬉しいです。これを励みに学位取得に向けて、あと一踏ん張り頑張ってください。期待しています。


用語説明
*1 黒鉛状炭素材料:炭素原子が六角形状に並んだ構造を持つ材料。伝導性の高さや安定性の高さから、この材料をベースとした新規材料の開発が進んでいる。
*2 ナノ炭素材料:炭素原子のみから構成されている炭素材料のうち、10-9mスケール の構造を持つもの。ナノサイズになることで、新しい特性が期待できる。
*3 強磁性不純物:不純物として、鉄などの強磁性を持つ材料が混入するもの。炭素材料を合成する際に使用した材料が除去しきれずに残ることが問題視されている。
*4 スピントロ二クス技術:電子の持つ電荷と磁気スピンを同時に利用することで現れる現象を明らかにし、工学的に利用すること。
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