生命ナノシステム科学研究科生命ナノシステム科学研究科
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量子物理化学研究室の坂上弘輝さんが、ANSCSE27でHONORABLE MENTION POSTER AWARD を受賞!

2024.09.27
  • TOPICS
  • 学生の活躍

従来の計算法では詳細解析が困難な、金属表面上での分子に対するH/D同位体効果を解析!

生命ナノシステム科学研究科量子物理化学研究室 特任助手の坂上弘輝さんが、2024年7月30日(火)〜8月3日(土)にChulalongkorn University(タイ・バンコク)で開催されたThe 27th International Annual Symposium on Computational Science and Engineering(ANSCSE27)においてポスター発表を行い、HONORABLE MENTION POSTER AWARDを受賞しました。
ポスターの前で説明をしている様子(奥が坂上さん)
受賞者
生命ナノシステム科学研究科 特任助手
(量子物理化学研究室所属)

坂上さかがみ 弘輝  ひろき さん


受入教員
生命ナノシステム科学研究科
立川 仁典 教授(量子科学・材料設計)

坂上さんは、データサイエンス研究科データサイエンス専攻3年生で、データサイエンス研究科の山崎 眞見 教授 (知能情報学)の指導のもと博士後期課程の研究も進めています。

受賞内容
The 27th International Annual Symposium on Computational Science and Engineering Conference 2024
HONORABLE MENTION POSTER AWARD

発表題目
Development of combined plane wave and localized basis sets method toward analysis of molecular adsorption on metal surface: a CH4/CD4 adsorption on Rh(111) surface
金属表面への分子吸着の解析に向けた平面波局在基底ハイブリッド法の開発:Rh(111)表面へのCH4/CD4分子吸着
今回の発表内容について坂上さんに解説していただきました。
私たちの研究グループは計算化学*1を用いた、金属表面上での原子/分子の高精度解析に向けた計算手法の開発を行っています。
今回の発表では、研究グループが実装した「Combined Plane wave and Localized Basis-sets (CPLB)法」を用いて、ロジウム表面へCH4/CD4分子*2が吸着した系に対して解析を行った成果を発表しました。具体的には、吸着した分子の構造や、電荷に対してH/D同位体効果*3を見出し、実験で観測されたH/D同位体効果のメカニズムを解明することができました。
坂上 弘輝さんのコメント
このたびは、海外学会での英語でのポスター発表において、ポスター賞をいただけたことを光栄に思います。自分の研究の成果が国際的な場において評価していただけることは非常にうれしく、また今後の研究活動の大きな糧になると感じています。この成果は、研究活動を支えてくださった立川仁典先生、山崎眞見先生をはじめとし、ポスターの添削や発表練習の手伝いをしてくださった高木牧人特任助教や博士課程の学生を主とした研究室メンバー皆さまのおかげだと強く感じます。ありがとうございました。
受入教員 立川 仁典教授のコメント
坂上弘輝さんの今回の受賞を大変うれしく思います。
坂上さんは、学部3年生の後期に研究室に配属されてから、金属表面上での分子に対するH/D同位体効果の理論計算を精力的に取り組んできました。また、私がデータサイエンス研究科に移籍したのに伴い、データサイエンス研究科データサイエンス専攻博士後期課程の1期生として活躍してくれています。今回の国際会議で発表した内容は、既に学術雑誌への投稿論文として報告しております。今後のさらなる活躍を期待しています!
用語説明
*1 計算化学:スーパーコンピューター等を用いて化学の問題を取り扱う分野。原子/分子に対してシミュレーションを行うことで、通常の実験では解析が困難な問題にアプローチできる。
*2 CH4/CD4分子:メタン分子(CH4)と、メタン分子の4つの水素(H)を重水素(D)に置き換えたもの。また、重水素(D)は、水素(H)原子の同位体で、質量が2倍である。水素(H)を重水素(D)に置き換えることで、物質のさまざまな性質が変わる。そのため、物理・化学・生物・医薬分野から非常に注目されている。
*3 H/D同位体効果:既存の分子の水素(H)を重水素(D)に置換した場合に見られる差異。
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