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生命ナノシステム科学研究科 阿部満理奈さんが2022年度PF-UA学生論文賞を受賞!

2023.03.24
  • TOPICS
  • 研究
  • 学生の活躍

「タンパク質結晶の微小なねじれの観測」に関する論文が評価!

生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程3年の阿部 満理奈さん(橘研究室所属)が2022年度PF-UA学生論文賞を受賞し、2023年3月13日(月)~3月15日(水)につくば国際会議場で開催された「2022年度量子ビームサイエンスフェスタ(第40回PFシンポジウム/第14回MLFシンポジウム)」で授与式および受賞講演が行われました。

本賞は、全国共同利用施設の高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光施設(PF)を利用した博士後期課程学生がfirst authorとして発表した論文を対象とし、その中から優れた成果に贈られる賞になります。2022年5月にPNAS誌に発表した成果が高く評価されました。
受賞者
生命ナノシステム科学研究科 
物質システム科学専攻 博士後期課程3年
阿部あべ  満理奈 まりな さん

指導教員
大学院生命ナノシステム科学研究科 橘 勝教授

講演題目
「Existence of twisting in dislocation-free protein single crystals」
(日本語訳:タンパク質結晶の微小なねじれの観測)
発表内容
—今回受賞した論文の研究内容について阿部さんに解説していただきました。

本研究では、創薬研究で重要なタンパク質結晶が微小にねじれていることを世界で初めて発見しました。観測されたねじれの大きさは1 μmあたり10-6~10-5 °程度であり、非常に小さいです。このねじれの大きさは1 mの結晶に換算すると1~10 °となります。このため、光学顕微鏡などの一般的な手法では観察できません。当研究グループが長年にわたって開発してきたデジタルX線トポグラフィ技術を駆使することによってはじめて観察可能となりました。
また、結晶の品質は結晶内のねじれの大きさに強く依存することが明らかになりました。ねじれの制御によるタンパク質結晶の品質向上が期待されます。そして、その先には従来難しかった新規創薬の可能性があります。
さらに、結晶のねじれは非対称な分子形状に起因していることが明らかになりました。結晶のねじれはタンパク質結晶のみならず、非対称な形状の分子によって構成される結晶において、共通の性質であると考えられます。本研究は材料科学から構造生物学まで幅広い分野に新たな知見を与える研究成果です。

阿部満理奈さんのコメント

本賞は今年度より新たに創設されました。記念すべき第一回目の受賞論文に選出して頂き、大変嬉しく思います。また、受賞講演の時間を設けていただき、光栄に思います。博士課程での研究生活はちょうどコロナ禍であり、学会が中止や延期になることも多かったため、外部に発表できる機会が限られていました。そのような中で、投稿論文を専門家の先生方に評価していただけて、胸がいっぱいになりました。今回の受賞は日頃から論文のご指導をいただいた橘勝先生、鈴木凌先生や研究活動を支えてくれた家族、研究室メンバーなど多くの関係者の皆様のご支援があってこそだと感じております。心より感謝申し上げます。

指導教員 橘 勝教授のコメント

阿部さん、論文賞おめでとうございます。有終の美を飾ったという感じですね。YCU Student Awardをはじめとして発表賞、学会賞、招待論文も執筆するなど、本当に素晴らしいと思います。これも日頃の阿部さんのサイエンスや研究に対する真摯な取り組みによるものと思います。4月からは国も進めている博士号取得者の企業への就職になりますが、期待も大きいと伺っています。日本の復活を担う女性研究者として活躍することを期待しています。

問い合わせ先

 横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp
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