悪性胸膜中皮腫
悪性胸膜中皮腫は、胸壁の内側や肺の表面をおおう膜(胸膜)から発生する悪性腫瘍で、そのほとんどがアスベスト(石綿)を吸い込んだことが発生の原因となっています。ただし、アスベストを吸い込んだ方が必ず発症するわけではありません。また、アスベストを吸い込んでから発症するまでの期間が30~40年と非常に長いことが特徴です。
胸の痛みや咳など症状でレントゲンを撮影した際に、胸に水が溜まっている(胸水)ことを指摘されて発見されるのが一般的です。しかしその診断は難しく、多くの患者さんで最終的には胸壁の内側の壁の一部を採取し(胸膜生検)、顕微鏡検査での診断を要します。また、発見されたときにはすでに進行しており、ほとんどが手術治療の適応とならないことも特徴の1つです。
当院では呼吸器内科と連携し、診断のための胸腔鏡下胸膜生検や、極早期で発見された上皮型悪性胸膜中皮腫に対する集学的治療の一環である根治手術(胸膜全切除術・胸膜肺全摘術)を行っております。
通常は手術前日に入院、診断のための生検は術後2~3日間で、治療のための手術は術後10~20日で退院となります。