縦隔腫瘍
縦隔腫瘍には発生する部位、疾患の性質や周囲への浸潤の有無などで非常に多くのバリエーションがあります。当院では良性~境界悪性腫瘍に対する胸腔鏡手術、ロボット手術から、周囲の臓器や大血管に浸潤した進行腫瘍に対する開胸手術までいずれの縦隔腫瘍にも対応可能であり、特に周囲臓器への浸潤がない場合は基本的に胸腔鏡手術またはロボット手術を行う方針としています。
いずれも通常は手術前日に入院、術後3~6日間で退院となります。
1.胸腔鏡手術、ロボット支援下縦隔腫瘍切除術
胸腔鏡手術やロボット支援下手術は通常の胸骨正中開胸の手術と比較し、傷の小ささや胸骨という骨を切らずに済むという痛みや美容的なメリット以外にも異物である胸骨ワイヤーの留置を回避できる、術後骨髄炎のリスクを軽減できるなどの感染面でのメリットもあり当院ではなるべく胸腔鏡手術またはロボット手術を選択する方針としています。特にロボット支援下手術は、進行期を除く前縦隔腫瘍でその効果を発揮します。当院では最大9.6cmの成熟奇形腫(図A)や最大8.0cmの胸腺腫(図B)などの巨大縦隔腫瘍であってもロボット支援下手術により切除でき、胸骨正中切開を回避することができた症例を経験しております。他院で胸骨を切開すると言われた方も、ぜひ一度、ご相談ください。


2.胸骨正中切開手術
周囲の臓器や大血管に浸潤した進行腫瘍に対しては当院では胸骨正中開胸下での手術を行っております。大静脈などの重要血管に浸潤している腫瘍に対しても心臓血管外科と共同で大血管切除・再建術を行っております。他院で手術困難とされた方も一度、ご相談ください。