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【開催概要】市民講座「高機能な臓器を生み出す『臓器設計技術』の開発」

2017.11.15
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  • 講座・セミナー

「高機能な臓器を生み出す『臓器設計技術』の開発」

平成29年10月16日(月)開催概要

講師 :小島 伸彦(横浜市立大学 国際総合科学群生命環境コース准教授)

今回は、「高機能な臓器を生み出す『臓器設計技術』の開発」と題して、横浜市立大学 国際総合科学群 生命環境コース 小島伸彦 准教授が講演を行いました。
講演では、「細胞を使ったものづくり」について、3次元培養の必要性と生体内(インビボ)ではなく、生体外(インビトロ)で作成することにより、生体内の臓器よりも高機能な臓器設計や移植を前提とした専用設計が可能になることについて説明しました。また、細胞を使ったものづくりの一例として、人工肉をつくる研究について紹介し、臓器作成技術には医療目的以外の用途もあることについて紹介しました。
続いて、細胞を使った臓器作成の具体的方法について解説しました。従来の平面培養(2D)培養より、3次元培養はより生体内と近い機能をもつものが作成できるものの、ただ単に細胞を集めて3次元的に培養しただけでは、細胞間に酸素や栄養が行き渡らず、細胞の寿命が短くなるという問題点があります。そこで、小島研究室では、3次元培養する際に流路(生体内の血管に相当するもの)構造をもたせる技術を開発し、代謝機能や酸素・栄養の交換能を高くすることに成功しました。加えて、細胞の位置関係を制御できる技術や、コラーゲンなどを薄膜状に充填する技術の開発も行なっています。肝臓や膵島、骨髄といった臓器・組織が再構築可能となってきています。
こうした技術が発展し、実物に肉薄する機能の高い臓器作成が可能になれば、創薬の非臨床試験の段階でのヒトへの作用の正確な予測や個別化医療への応用も期待でき、製薬や医療のコスト削減にもつながること、将来的に臓器や体を自由に取り替えられる世界がやってくる可能性について紹介し、講演を締めくくりました。
質疑応答では、非常に多くの質問が寄せられました。受講生の方からは「再生医療が移植だけではない用途で行われていることを知り、さらに詳しく伺いたいと思った」、「夢もある反面、少し怖さも感じた」といった感想をいただきました。
今後も当センターの研究成果情報を講座やWEBサイト、広報物等を通じて皆さまに公表していきますので
何卒よろしくお願いいたします。
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