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【開催概要】市民講座「双極性障害の翻訳後修飾異常」

2018.03.08
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  • 講座・セミナー

「双極性障害の翻訳後修飾異常」

平成30年2月9日(金)開催概要

講師:五嶋良郎(横浜市立大学 医学群薬理学教授)

今回は、「双極性障害の翻訳後修飾異常」と題して、横浜市立大学 医学群 薬理学 五嶋良郎 教授が講演を行いました。
講演では、双極性障害をはじめとする気分障害の種類および主な症状、医師に相談なく処方された薬の服薬を中止することの危険性についてまず説明し、現時点では"うつ"の生物学的指標がわかっておらず、同じ"うつ"でも一人一人状況が異なることが解説されました。続いて、躁病に効くと言われているリチウムがどこに効くのかを解明した五嶋教授の研究内容の紹介が行われました。五嶋教授らはサンフォード・バーナム・プレビス医学研究所(米国、サンディエゴ)のEvan Snyder博士らと共同で、双極性気分障害の患者さんのiPS細胞の解析から、collapsin response mediator protein2 (CRMP2) というタンパク質の翻訳後修飾異常を発見し、リチウムを投与することでCRMP2のリン酸化(翻訳後修飾)が抑制されCRMP2のリン酸化のバランスが正常に戻ることを発見しました。この発見が、リチウムよりも副作用が少ない薬を探す手がかりとなったこと、また、リチウムの効果がない場合の治療方法のヒントとなることを述べ、講演を締めくくりました。
質疑応答では、非常に多くの質問が寄せられました。受講生の方からは「リチウムを服用していますが、その効果が理解できた」といった感想をいただきました。
今後も当センターの研究成果情報を講座やWEBサイト、広報物等を通じて皆さまに公表していきますので
何卒よろしくお願いいたします。
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