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ヒューマニティー(ひとびと)を観る新たな医療人材を育成する 「Street Medical School 2020」を開講

2020.07.29
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ヒューマニティー(ひとびと)を観る新たな医療人材を育成する 「Street Medical School 2020」を開講

YCUコミュニケーション・デザイン・センター×東京デザインプレックス研究所

横浜市立大学先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター(以下、YCU-CDC)は、病を診ることが中心である従来医療を拡張し、ひとびとを観る「新しい医療」の創造を目指したStreet Medical®とよばれる活動を推進しています。これらの活動の担い手を育成すべく、社会人向けデザイナー育成機関「東京デザインプレックス研究所」(以下、TDP)と共同で、昨年度に続いて2020年度第Ⅱ期「Street Medical*1 School」(以下、SMS)を開講します。
SMS2019 第Ⅰ期生 成果発表会の様子 於 日比谷ミッドタウンBase Q
第Ⅰ期プログラムとなる2019年度の受講者22名は、課程を修了後、薬剤耐性菌問題を楽しく学習できるエデュテイメントプロダクト「AMR*2対策×ボードゲーム」や、近視の早期発見を促す「ハイブリッド・イメージ*3・ポスター」、病院食を楽しいものに変換するカトラリーセット等、8つの解決策を提案するに至っています。
この度、2020年度第Ⅱ期SMS受講生の募集に対して日本全国からたくさんのご応募をいただき、厳正なる審査のもとで選抜された21名の受講生と第Ⅱ期プログラムを開始する運びとなりました。今年度は、デザイナー志望者、医学生、看護師、薬剤師、言語聴覚士、理学療法士、医学系大学院生、様々な職種に従事するビジネスパーソンなど、昨年以上に多様なバックボーンを持つ受講者たちが集まっています。

このメンバーで、クリエイティブ分野のトップランナーからなる講師陣の講義から刺激を受け、医療・健康課題のワークショップ、文献調査やフィールドワークなどのアクティブ・ラーニングを重ねながら、受講生自ら、医療・健康分野の未踏課題をグラフィック、プロダクト、スペース、ウェブなどを駆使した多様なクリエイティブ手法で解決する新規アイデアを生み出していきます。


※取材について
7月31日(金)19:00~20:00の初回講義日に、オンラインでの取材が可能です。オンライン授業にご招待いたしますので、ご希望の方は下記アドレスまでご連絡ください。また講義終了後、運営メンバーへのご質問等にオンラインで回答させていただきます。

取材お申し込み   E-mail:ycu_cdc@yokohama-cu.ac.jp


2020年度第Ⅱ期SMS概要

○実施期間  2020年7月31日(金)~2020年12月末日 (毎週金曜日19時~開催)

○場所 「新しい生活様式」に合わせてオンラインでの開催

○カリキュラム概要

YCU-CDCとTDPにより厳選したクリエイターからなる講師陣による講義、ワークショップ・フィールドワークなどを実施しながら、受講生が自らStreet Medical®の趣旨に沿った「企画」を現場に実装することを目標としています。

講義: YCU-CDCセンター長である武部貴則によるStreet Medical®についてのイントロ講義を皮切りに、著名な建築家(岡部修三氏upsetters architects 主宰)、新進気鋭のクリエイティブディレクター3名(富永勇亮氏Whatever IncProducer / CEO、橋田和明氏HASHI Inc Creative Director / PR Director、佐藤ねじ氏株式会社ブルーパドル代表/プランナー/アートディレクター)を講師陣に迎え、世界で活躍するクリエイターがどのようにアイデアを創出しているのかを学びます。またYCU-CDC助教の西井正造より、医学部でも習う機会の少ない「医療とその周辺の世界の在り様」に関するミニ講義を行い、医療現場でクリエイティブ介入を行う際の留意事項などを学びます。

ワークショップ講義は行わず、ワークショップのみの回を複数回設けます。①社員食堂において健康行動を誘発するには、②緑内障の早期発見を促すためには、③新興・再興感染症対策に向けた「新しい生活様式」の定着を促す新しい情報発信の在り方とは、等をテーマにして、アイデアをカタチにしていきます。

調査: 講義とワークショップで培った知識やノウハウを用いて、受講生自ら課題を設定し、その介入策を考案するために、先行事例・先行研究等の文献調査や、現場でのフィールドワークなどを行いながら、成果発表会に向けて準備を進めていきます。

成果発表会の実施: 2020年11月末(予定)にStreet Medical Talksと題した受講生の成果発表会を開催いたします。今回は、新型コロナウイルス対策も踏まえて、オンラインでの開催も視野にいれています。ここで評判の良かったアイデアについては、試作まで進め、社会実装を目指していきます。

※スクールのウェブサイト: https://streetmedicalschool.com/



用語説明

*1 Street Medical®: 従来の医学(Medical)の学術体系に限らず、「実生活の環境(Street)」での知識・技術・アイデア・ノウハウを、積極的に医療の再定義に活用しようというスタンスを表現した言葉

*2 AMR: 微生物(細菌やウイルス)に対して薬が効かなくなることを「薬剤耐性(Antimicrobial Resistance)」と呼び、AMRと略される

*3 ハイブリッド・イメージ(Hybrid Image)高周波のイメージと低周波のイメージを合成して遠くから見た場合と近くから見た場合で違うイメージが見えるように作成された画像で、視力によって見えるものが変わる
※本スクールの「カリキュラム開発研究」についてはJSPS科研費(JP20K02972)、感染症対策に向けた情報発信のための調査については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)令和2年度感染症研究開発ELSIプログラム「『新しい生活様式』の具現化に向けたコミュニケーション・デザイン調査研究(JP20ta0127003h0001研究代表者:西井正造)」の支援を受けて実施します。 

■横浜市立大学先端医科学研究センター
コミュニケーション・デザイン・センター■

へルスケア分野のコミュニケーション課題解決を目指す、世界初の医科学研究機関におけるクリエイティブ研究拠点です。医科学研究の拠点においてクリエイティブ研究のための持続可能な開発体制を構築し、コミュニケーションの力を使って、ひとびとの健康や幸福に寄与すること、ひいては、超高齢社会に対応した新たな社会のあり方を提案することを目指しています。

http://y-cdc.org/
■東京デザインプレックス研究所■

東京デザインプレックス研究所は、「東京発コンテンポラリーデザインの複合型教育機関」として2012年に創立(2020年7月現在5000名の学生が在籍)。講師にはトップクリエイター/現役デザイナーが集結し、少人数制・実践形式による授業を展開。国内最先端プログラムは、全11専攻・72コース/昼間部・夜間部・土日集中クラスで編成されており、大人(社会人・大学生・フリーターなど)を対象としたデザイン専門校です。

https://www.tokyo-designplex.com/



■Street Medical School主宰■
〇武部貴則
横浜市立大学 先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター長特別教授
2011年横浜市立大学医学部医学科卒業。再生医学研究者として、2013年に世界で初めてiPS細胞から血管構造を持つヒト肝臓原基を創る。2019年より現職。病のみならず、人を観るための医療実現に向けた起点となる考え方であるストリート・メディカルを提唱。医学部在学時より、コミュニケーション・デザインの視点を取り入れた医学研究手法を考案・実践し、メタボを直感的に自覚できるアラートパンツや、登りたくなるインセンティブが付与された階段アナザーステップなどをクリエイターとのコラボで実現。2018年には、医学系研究機関としては世界初となるコミュニケーション・デザイン研究拠点YCU-CDCを設立し、その後、ヘルスモックラボ、ストリートメディカルスクール等の立ち上げに貢献。国際的な広告祭であるカンヌライオンズ、スパイクスアジア等での招待セミナーを実施。主な受賞に、神奈川県文化未来賞、永瀬賞、WIRED Audi INNOVATION AWARD、日本学術振興会賞等がある。

 
 Street Medical School講師(一部抜粋)
〇岡部修三
2005年慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 環境デザインプログラム 修士課程修了。2004年よりupsetters architects 主宰。「新しい時代のための環境」を目指して、建築的な思考に基づく環境デザインと、ビジョンと事業性の両立のためのストラテジデザインを行う。
2014年よりブランド構築に特化したLED enterprise 代表、グローバル戦略のためのアメリカ法人 New York Design Lab. 代表を兼任。JCDデザイン賞金賞、グッドデザイン賞、iFデザイン賞など、国内外での受賞歴多数。著書に「upsetters architects 2004-2014,15,16,17」(2018年、upsetters inc.)、共著に「ゼロ年代11人のデザイン作法」(2012年、六耀社)、「アーキテクトプラス“設計周辺”を巻き込む」(2019年、ユウブックス) がある。
〇富永勇亮
立命館大学在学中の 2000 年に AID-DCC Inc. 設立に参画、COO として在籍、2014 年 4 月 dot by dot を設立。2018 年から PARTY New York のプロデューサーを兼務、2019 年 1 月に同社と合弁、Whatever Inc. を設立、代表に就任。2019年8月に東北新社と共同出資しWTFCを設立、CSOに就任。広告、インスタレーション、ミュージックビデオ、IoT、ファッション、TV などメディアを横断したプロデュース活動を行い、カンヌライオンズ、SXSW、文化庁メディア芸術祭、The Webby Awards などを受賞。Lyric Speakerを開発するCOTODAMAへの出資、AI×ブラインドテイスティングで好みの日本酒がわかるサービス“YUMMY SAKE”への出資、テクニカルディレクター集団BASSDRUMへ出資、社外取締役を兼務、クリエイティブコミューン “WHEREVER”を運営するなど、クリエイター同士のゆるやかなネットワークをつくる事がライフワーク。7/28にFemtechグッズなど「未来の日用品」をコンセプトにしたセレクトショップNew Stand Tokyoを乃木坂にオープンした。

〇橋田和明
1980年東京都北区赤羽生まれ。2002年、東京大学経済学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局を経て、2006年に博報堂ケトルの設立メンバーに。2018年10月、HASHI inc.を立ち上げ、PR視点で統合キャンペーンをつくるクリエイティブディレクターとして幅広い業務に従事。クリエイターオブザイヤー・メダリスト、ADC賞、カンヌライオンズなど多数受賞
〇佐藤ねじ
株式会社ブルーパドル代表。アートディレクター/プランナー。1982年生まれ。愛知県出身。名古屋芸術大学デザイン科卒業。デザイン事務所を経て、2010年に面白法人カヤック入社。2016年7月に独立し、株式会社ブルーパドルを設立。デジタルコンテンツの企画・デザイン・PRを仕事にしつつ、「空いてる土俵」を探すというスタイルで、様々なジャンルの「ブルーパドル」を発見することを使命としている。代表作に『ハイブリッド黒板アプリKocri』『貞子3D2 スマ4D』『しゃべる名刺』『Sound of TapBoard』など。文化庁メディア芸術祭、Yahoo!インターネットクリエイティブアワード、グッドデザイン・ベスト100など受賞多数。

お問合わせ先

(YCU-CDCの取組について)

横浜市立大学先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター
センター長・特別教授  武部  貴則    
                  助教  西井  正造   
E-mail:  ycu_cdc@yokohama-cu.ac.jp
Tel. 045-350-4760

(取材対応窓口、資料請求など)
横浜市立大学 研究・産学連携推進課   研究企画担当
E-mail: kenkyupr@yokohama-cu.ac.jp
Tel. 045-787-2527   

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