先端医科学研究センター先端医科学研究センター
search

AMED補助事業により「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開発及び同測定方法の社会実装に向けた研究」開始

2020.05.21
  • TOPICS
  • 研究
  • 病院
  • 医療

日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業により「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開発及び同測定方法の社会実装に向けた研究」を開始します

横浜市立大学では、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(経済産業省補正予算「ウイルス等感染症対策技術の開発事業」)として「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開発及び同測定方法の社会実装に向けた研究(研究代表者:学術院医学群 臨床統計学 主任教授 山中竹春)」を開始します。

本年3月に、本学学術院医学群 微生物学 梁 明秀教授を中心とする研究グループは、ELISA法とイムノクロマト法を用いて、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)に罹患した患者さんの血清中に含まれる抗ウイルス抗体(IgG)の検出に成功し、診断法の確立や試薬キットの開発を進めています。

今回採択された研究課題は、この抗体検出技術を用いて、本学と東ソー株式会社、関東化学株式会社が協働で実施するもので、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体を「定量的」かつ「大規模」に測定することが可能となるシステムの開発を行います。具体的には、①高感度、特異的に検出できる研究試薬およびシステムの開発(高性能化)、②高い検査効率及び大量測定の実現(スループット化)、ならびに③臨床検体の測定を通じた本抗体検出法の実用化を柱として、3つの課題をシームレスに実施することにより、開発した測定システムが速やかに社会に導入されることを目指します。本事業の成果によりそのシステムを社会実装するフィージビリティが示されれば、将来的には、疫学研究の実施やパンデミックに備えた更なる技術革新等が可能になることを期待しています。

現在、SARS-CoV-2に対する新しい検査法、特に抗体検査についてその臨床的意義や、信頼性に関する知見、科学的根拠がいまだ十分ではありません。抗体検査法の性質や特徴を科学的に検証するとともに、感染後の時間経過にともなう検査結果の変動やその解釈に関する確実な理解は、本検査法の利点を最大化し、実臨床に役立てるために極めて重要です。本研究課題においても、これらの重要な問題を明確化し、評価方法に関する考え方などを整理していきます。

2020年3月9日プレスリリース
 

研究課題

事業名:  日本医療研究開発機構(AMED) 令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業
課題名:「新型コロナウイルス抗体検出を目的としたハイスループットな全自動免疫測定方法の開発及び同測定方法の社会実装に向けた研究」

研究体制

代表機関:        公立大学法人横浜市立大学
代表研究者:     横浜市立大学学術院医学群 臨床統計学 主任教授 山中竹春
分担研究機関:  東ソー株式会社、関東化学株式会社

実施予定期間

令和2年5月15日から令和3年3月31日

研究開発の概要

東ソー株式会社は、既に事業展開している全自動化学発光酵素免疫測定装置(AIA-CL)の新規項目として、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検出用の試薬開発を行います。短期間での製品開発と社会実装につなげることを目標とし、将来的に体外診断用医薬品としての製品化を目指します。

本学は、このシステム開発のための基盤的研究として、抗原の選定や品質試験、全自動測定系に最適な抗原の作製法の探索などを行い、かつ、本学附属病院や他の医療機関等の臨床検体からのデータ収集や、科学的・社会的意義の高いデータ解析を実施します。さらに、本測定システムで得られた抗体価の結果に基づいた、COVID-19発症や重症化、治療効果予測、感染防御能との相関等についても検証します。

関東化学株式会社は、本測定システムにおいて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検出用の試薬に用いる抗原タンパク質を安定的に生産する方法の確立を目指し、試薬原料(抗原タンパク質)の供給体制を整えます。

参考

日本医療研究開発機構(AMED)「令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業」について
COVID-19の世界的な流行を受け、簡易・迅速かつ分散的なウイルス検査、感染拡大防止に向けたシステム、重症患者等に向けた治療機器等の開発への期待が高まっていることを踏まえ、この度、感染症の課題解決につながる研究開発や、新型コロナウイルス感染症対策の現場ニーズに対応した機器・システムの開発・実証等の支援を実施するものです。

経済産業省令和2年度補正予算「ウイルス等感染症対策技術の開発」事業について
新型コロナウイルス等の感染症対策のための医療機器・システム等の社会実装を⽬指し、課題解決につながる研究開発や、新型コロナウイルス感染症対策の現場のニーズに対応した機器・システムの開発・実証等を⽀援するものです。


お問合わせ先

研究・産学連携推進課長  山﨑 理絵
E-mail:kenkyupr@yokohama-cu.ac.jp


  • このエントリーをはてなブックマークに追加