当科のご紹介
リウマチ膠原病センターは整形外科医と内科医で構成されています。
主に関節リウマチを対象疾患とし、地域との連携を深めながら診療・研究・教育に取り組んでいます。
当院リウマチ膠原病センター整形外科(リウマチ整形)は関節リウマチ診療に特化した整形外科医集団です。日本では関節リウマチ診療を整形外科医が中心となって担ってきた伝統があり、当リウマチ整形でも仕事の多くは関節リウマチの薬物治療となっています。実際の関節リウマチの薬物治療では、標準治療薬であるメトトレキサート(MTX)をはじめ、様々な薬剤を経験豊富な整形外科医がそれぞれの患者さんの状態に応じて使用しています。また最近注目を集めている生物学的製剤・JAK阻害薬の使用も積極的に行なっており、延べ約600例超の経験があり、今後はその臨床実績をさらに伸ばしていこうと考えています。また適切な薬物治療を行っても制御できない関節炎などには関節注射を積極的に使用しており、日常生活動作の改善のため、近隣の医療機関とも連携したリハビリテーションの指示、各種の装具や杖など生活補助具の処方などを行っています。
手術治療では年間平均で約100件の関節リウマチの手術を行なっております。正確な統計はありませんが学会発表等での状況から考えると、この手術数は全国でも上位3施設には入ると思われる数となっています。人工膝・股関節をはじめ、肩・肘・手指・足趾関節に対しても人工関節や各種の手術を積極的に行なうようにしており、特に足趾関節手術は全国的にみても、かなり多くの症例数を行なっています。さらに当院には日本リウマチの外科学会の事務局が置かれており、診療教授の持田勇一が学会の代表理事を務めており、日本のリウマチ外科の牽引役となっています。
学会活動も積極的に行っており、日本整形外科学会、日本リウマチ学会を始め、海外の諸学会での発表も行っております。
リウマチ膠原病センター内科では約2,000名の患者さんを外来で診療しています。すべての患者さんの診察に十分な時間を確保し最善の医療を安全に提供するために病診連携を積極的に行っています。病状が安定した患者さんは近隣のリウマチ専門医へ逆紹介させていただいています。当科では関節リウマチをはじめとするリウマチ膠原病全般の診断・治療を行っています。また他施設で治療に難渋する重症症例を積極的に受け入れています。個々の患者さんにとって最適な治療を行うために他科の専門医と協力しながら診療を行っています。治癒の難しい病気ですが治療をしながら発病前の状態まで戻れることを目標に治療させていただきます。
患者さんへ
リウマチ膠原病が疑われる方、病状が安定しない方、主治医と違う専門医の診察を希望される方など、どなたでも受診いただけます。受診の際には紹介状をお持ちいただくことが必要となっています。今おかかりの施設の担当医に紹介状の作成を依頼してください。病状が安定した際には近隣のリウマチ専門医へ逆紹介をさせていただく場合もございます。
リウマチ整形では診療の基本が薬物治療となり、地域の開業の先生方から関節リウマチの診断・初期治療や生物学的製剤の導入など、高度な治療のご依頼を多くいただいております。関節リウマチの患者さんに対して単に検査データだけでなく、各関節の状態まで十分に考慮した薬物治療を提供いたしますので、関節リウマチの疑いがある患者さんにおかれましては是非一度当院リウマチ整形の受診をお勧めします。また関節リウマチ以外の膠原病や呼吸器疾患、肝臓、腎臓等の合併症のある患者さんに関しても当該科と連携を取りながら診療を行っています。
一方、手術治療に関しては当院リウマチ整形では最新の手術手技・機材等を揃えて様々な病態に対応し、下肢関節手術が専門の持田勇一(診療教授)、上肢関節手術が専門の針金健吾(助教)が中心となり手術治療を行っています。関節リウマチの手術は年々様々な発展を積み重ねてきており、市中のどの病院でも高い専門性を持った手術が可能である訳ではなく、むしろ関節リウマチの手術治療は高い専門性を持った施設で集中的に行うような治療の集約化・センター化が近年の流れとなっています。また特に専門性の高いリウマチの手指関節変形に対しては関節リウマチの手の病変をおもに扱う「リウマチの手外来」も開設しています。お気軽に受診予約していただけると幸いです。
セカンドオピニオン外来も行っています。
主な対応疾患
関節の痛みをとることはもちろん、関節の破壊が進行しないように炎症をコントロールすることが大切です。日常生活での活動性を最大限維持できるよう、疾患の活動性をおさえる薬物治療を早期から積極的に行ない、必要な場合は手術治療・リハビリテーションを行なっています。
診断では関節リウマチの適切な診断ができるよう、各種の特別な血液検査やX線検査を行なっています。特に発症早期の関節リウマチの診断が確実にできるよう心がけています。
薬物治療では特に関節リウマチ治療の国際的な標準治療薬であるメトトレキサ-ト(MTX)を薬物療法の中心とし、良好な治療成績をおさめています。効果が不十分な方には生物学的製剤を投与しており、生物学的製剤は全体の20%ほどの患者さんで使用しています。また薬剤の副作用予防も積極的に行っており、鎮痛剤使用による消化性潰瘍やステロイド骨粗鬆症、感染症の発現などを最小限にする努力をしています。
また、当科では関節超音波検査を診断や病勢のモニタリングに利用しています。
関節リウマチのみならず、主にリウマチ内科が診療を行う各種膠原病では、さまざまな骨・関節病変を呈することが少なくありません。そのような関節病変に対しては関節注射が有効なことも多く、またリハビリテーションや各種の生活補助具の処方なども行います。さらに必要に応じて手術治療を行うことがあります。
膠原病の患者さんで関節の状態が気になる方は担当のリウマチ内科医へその旨を伝えて、リウマチ整形に併診をしていただくようご希望いただければと思います。
皮疹や関節痛、腎障害、精神神経症状など全身の様々な臓器に炎症を起こす自己免疫疾患です。
出現する症状は患者さんによって様々ですが、出現する症状や重症度に応じてステロイドや免疫抑制薬を使用します。疾患そのものによる臓器障害と治療薬の副作用による臓器障害の両方が最小限になるように治療を最適化することが重要です。全身性エリテマトーデスに対しても生物学的製剤が臨床応用されています。
新薬の承認をめざす臨床治験も国内外でさかんに行われており、当院もそのいくつかに参加しています。
皮膚をはじめ全身の臓器が線維化により硬くなる自己免疫疾患です。
四肢の血流障害による皮膚潰瘍、間質性肺炎、肺高血圧症、逆流性食道炎などの合併症に対して、皮膚科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科の専門医と連携して治療を行います。
一部の症例では免疫抑制剤や生物学的製剤の投与を行っています。
皮膚と筋肉に炎症が起きて皮疹や筋肉痛、筋力低下が生じる自己免疫疾患です。
皮膚症状がある場合を皮膚筋炎、そうでない場合を多発性筋炎とよびます。
ステロイドによる治療が中心となりますが、間質性肺炎を合併する場合には免疫抑制薬を含めた強力な治療が必要になります。発症に悪性腫瘍の合併が関係していることもあり、悪性腫瘍の検索が必要です。また、悪性腫瘍が合併している場合には悪性腫瘍の治療で筋炎が改善することがあります。筋症状に対しては、治療開始早期からのリハビリテーションも重要になります。
血管炎症候群は、全身に分布する血管に炎症が生じ発症する病気の総称です。
具体的には、高安動脈炎・巨細胞性動脈炎・顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などの病気があります。全身の血管の大きさはさまざまであり、疾患によってどの部位の血管障害が生じやすいかが異なってきます。障害を受ける臓器は、皮膚、神経、腎臓、肺、消化管、心臓などです。
炎症をコントロールすることが重要であり、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬で治療します。
リウマチ性多発筋痛症は50歳以上の中高年に多くみられ、70~80歳でもっとも頻度が高い病気です。首から両肩、腰、太ももなどのこわばりや痛み、微熱を主な症状とします。
ステロイド剤がよく効く疾患で基本的には治療後の経過は良好です。数年の治療で治療薬が不要になることもありますが、時に病気の再発が見られることもあります。
一部の患者さんで巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を合併することがあります。
乾癬性関節炎とは、皮膚疾患の1つである乾癬に、関節の炎症を合併する病気です。
乾癬性関節炎の関節症状は、主に指先や手首、膝、足首などに生じ、指全体の腫れや痛み、関節の変形をきたします。多くは皮膚症状を伴い、皮膚に対しての治療に加えて関節の炎症を抑える治療も必要です。関節リウマチの代表的な治療薬であるMTXや消炎鎮痛剤、免疫抑制剤、生物学的製剤などで治療します。皮膚科と連携して皮膚に対して外用療法、光線療法なども併用します。
対応疾患・診療内容の詳細
主な検査・設備機器
超音波装置を用いることにより、関節リウマチや乾癬性関節炎などにおける関節炎の有無や程度を侵襲なく詳細に調べることができます。通常の診察よりも正確な評価ができますので最適な治療方針の決定に役立ちます。当科のスタッフは全員が超音波検査を診療に組み込んでいます。
主に強皮症の早期診断に用いる検査です。爪の甘皮の毛細血管を観察します。外来中に行える簡便な検査です。通常の診察で診断が難しい症例で早期診断に役立つ情報が得られます。
施設認定
- 日本リウマチ学リウマチ教育施設
- 日本整形外科学会専門医研修施設・関連学会
診療実績
関節リウマチ | 559 |
---|---|
全身性エリテマトーデス | 240 |
全身性強皮症 | 130 |
皮膚筋炎・多発性筋炎 | 67 |
血管炎症候群 | 95 |
リウマチ性多発筋痛症 | 68 |
乾癬性関節炎 | 50 |
リウマチ整形・内科の合計
関節リウマチ | 536 |
---|---|
全身性エリテマトーデス | 231 |
全身性強皮症 | 126 |
皮膚筋炎・多発性筋炎 | 64 |
血管炎症候群 | 82 |
リウマチ性多発筋痛症 | 68 |
乾癬性関節炎 | 35 |
リウマチ整形・内科の合計
関節リウマチ | 935 |
---|---|
全身性エリテマトーデス | 246 |
全身性強皮症 | 126 |
皮膚筋炎・多発性筋炎 | 71 |
血管炎症候群 | 78 |
リウマチ性多発筋痛症 | 86 |
乾癬性関節炎 | 43 |
リウマチ整形・内科の合計
関節リウマチ | 1673 |
---|---|
全身性エリテマトーデス | 247 |
全身性強皮症 | 128 |
皮膚筋炎・多発性筋炎 | 79 |
血管炎症候群 | 73 |
リウマチ性多発筋痛症 | 107 |
乾癬性関節炎 | 47 |
リウマチ整形・内科の合計
関節リウマチ | 1640 |
---|---|
全身性エリテマトーデス | 240 |
全身性強皮症 | 135 |
皮膚筋炎・多発性筋炎 | 73 |
血管炎症候群 | 71 |
リウマチ性多発筋痛症 | 119 |
乾癬性関節炎 | 37 |
リウマチ整形・内科の合計


その他、シェーグレン症候群、ベーチェット病、RS3PE症候群、強直性脊椎炎、IgG4関連疾患、成人発症スチル病、若年性特発性関節炎などの診療実績あり。