• 中文
  • English


{

HOME  > 診療科・部門案内  > 眼科

眼科

診療の特徴・特色

 大学病院としての高度な治療を通して、患者さんの視機能に少しでも多くの光明を与えることを目的としています。横浜市内および神奈川県全域より多くの患者さんが訪れるさまざまな眼疾患の基幹病院です。

受診方法

お申込みいただける方
医療機関からの予約または患者さん・ご家族からの予約
※紹介状をお持ちの方は、初診受付時間内であれば当日受診が可能です
初診受付日・時間
月~金 紹介予約制
※紹介状をお持ちの方は、初診受付時間内であれば当日受診が可能です
(初診受付時間 平日 8:00~10:30)

すでに網膜剥離の診断を受け現在他院で治療中、または治療後の経過がご心配で病状についてご相談になりたい患者さんにつきましては紹介状がなくても可能です。この場合、受診を希望される方は、当院眼科外来までお問い合わせください。事前の予約が必要となります。また、初診時は選定療養費が発生します。
  お問合せ:045-261-5656(代表)眼科外来
  受付時間:平日 9:00~17:00

専門外来紹介① 黄斑サージカル

20年以上の手術経験と、学術誌や講演会で公開しているさまざまな科学的知見をブレンドして、患者さんに一流の手術を提供し、できるだけ満足してもらうよう、たゆまず心がけています。
基本的に、網膜硝子体分野で手術を必要とするすべての疾患を対象としています。

網膜剝離

現在、網膜剝離の罹患率は7千人に1人と、とても増加しています。その理由は強度近視眼の増加です。当科では網膜剝離の手術を年間300件ほど行っています。初回手術での復位率は96%、3段階以上の視力改善率は80%以上です。再生医療研究の治験や最新の手術テクニックを応用して、復位だけでなく、視力を回復させる手術をめざしています。

黄斑上膜

黄斑上膜は高齢化に伴い急速に増加しています。
当科では年間180件以上の手術を行っていますが、少しでも満足していただけるERM手術をめざし、腹臥位は術後の一晩だけ、入院は7日間以内です。光毒性をゼロに抑えた3Dデジタル硝子体手術がこれを可能にしています(Horigome Y, Kadonosono K; Retina. 2022)。教室では独創的なERMのOCT 画像解析研究を行っています(Hubschman JP, Kadonosono K,et al; BJO, 2020.Murase A, Kadonosono K, et al; IOVS, 2021)。このため約40 %は術前視力が(0.9)以上の早期手術です。

黄斑円孔

黄斑円孔は5千人に1人が発症します。当科では年間80件程度の手術を行い、その99%で円孔の閉鎖を可能にし、視力改善率は90%以上です。術後腹臥位は数日間、入院は7日間以内です。手術しても閉鎖しない難治性黄斑円孔には、私たちが開発した網膜自家移植手術(Grewal DS, Kadonosono K, et al; Ophthalmology,2019. Tanaka S, et al; RETINA, 2020) がとても有効ですので、どんな難治例でも対応します。

黄斑下出血

加齢黄斑変性や動脈瘤破裂による大量の黄斑下出血は高齢者に多く発症し、治療にとても苦慮します。このような患者さんには私たちの開発した組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA) 網膜下注入や空気注入が有効です(Kadonosono K, et al; Ophthalmology, 2015) 。術後は光線力学的療法との併用療法で、黄斑メディカルチームがフォローします。

増殖糖尿病網膜症(PDR)

最近PDR が増加していますが、これはCOVID-19 の流行による診療の遅延が原因と思われます。ご存知のように、PDR の手術は硝子体手術の中でも極めて難しい手術になります。当科では大学病院のメリットを最大限に生かし、内分泌糖尿病内科と総合的なPDR 診療の行える環境を整えています。抗VEGF治療や最新の3D デジタル化25G - 27G 硝子体手術、PDR 治療の最新情報を取り入れ、高い治療成績をめざしています。年間手術件数は約100件(1型糖尿病は約20%)、平均視力改善率は70~80%です。

網膜中心動脈閉塞症(CRAO)

突然視力を失う代表的な疾患です。当科では、血栓溶解剤を直接網膜動脈に投与することで、視機能を救う治療を行っています。これは、私たちが開発した術式になります。

専門外来紹介② 黄斑メディカル

黄斑メディカルは黄斑疾患全般(加齢黄斑変性、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜静脈分枝閉塞症など)の診断と内科的治療を中心に行っています。当初は医師2名で担当していましたが、紹介患者数の増加や、抗VEGF 薬・光線力学的療法などの治療件数の増加に伴い、現在では柳靖雄客員教授、井上麻衣子、伊藤亜里沙、北嶋瑶子らが中心となって診療にあたっています。黄斑メディカルで主に行っている治療と研究は以下の通りです。

加齢黄斑変性の内科的治療

加齢黄斑変性の抗VEGF 薬治療は年間4千件以上施行しています。これは全国でもトップ10に入る件数
です。治療成果も数多く報告しており、たとえばアフリベルセプト(アイリーア) の短期治療成績や3年にわたる長期治療成績、視力予後因子などに関する解析を行っています(Maruyama-Inoue M, et al; RETINA,2018. Ito A, et al; PLoS One, 2020 など)。また、新しい抗VEGF 薬ブロルシズマブ(ベオビュ)を新規患者さんやアイリーアからのスイッチングに積極的に使用し、良好な治療成績を得ています。ポリープ状脈絡膜血管症に対しては、抗VEGF 薬と光線力学的療法を併用することもあります。2022年よりファリシマブ(バビースモ)も使用可能になっています。

眼科イメージング機器を用いた黄斑疾患の病態解析

ここ数年の眼科イメージング機器の発展は著しいものがあり、近年では非侵襲的に血流動態をとらえて画像化するOCTアンギオグラフィー(OCTA)が開発されています。当科では加齢黄斑変性におけるOCTAの有用性をテーマに研究を行っており、2015年には国際多施設共同研究として、加齢黄斑変性の診断ツールとしての位置づけについて検討しました(InoueM, et al; IOVS, 2016)。また、このようなイメージング機器を用いた研究から生まれた新しい疾患概念であるpachychoroid 関連疾患について、抗VEGF薬と光線力学的療法の併用療法が有効であることを報告しました(Kitajima Y, et al; Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol,2020)。

その他

上記のほかにも、網膜色素変性症や網膜ジストロフィなどの遺伝性疾患の診断、網膜静脈閉塞症に対する抗VEGF 薬治療などを行っています。また、理化学研究所や京都大学と連携した加齢黄斑変性の遺伝子 研究、OCTを用いた新たなpachychoroid 関連疾患の研究、抗VEGF 薬の治療成績など、多岐にわたる研究を行い、学会にも積極的に発表しています。

専門外来紹介③ 白内障

関東労災病院部長の佐藤新兵先生をお招きし、月曜日の午前中に白内障外来、午後に白内障手術を行っています。白内障手術に至る理由は、加齢や糖尿病、アトピー、薬剤などさまざまですが、当クリニックでは散瞳不良や成熟白内障といった難症例、眼振を伴う場合でも、基本的に点眼麻酔による無縫合手術を行っています。また、チン小帯脆弱などで眼内レンズの囊内固定が困難な場合には、無縫合フランジ法による強膜内固定も施行しています。患者さんのご希望によっては全身麻酔での手術も行います。眼内レンズは単焦点レンズを基本とし、1D を超える角膜乱視がみられる場合には乱視用レンズの使用を検討します。患者さんがとくに希望される場合は、選定医療(手術費用は保険適用、眼内レンズ費用は自費)になりますが、多焦点レンズも取り扱っています。多焦点レンズの適応可否は患者さんのご希望だけでなく、眼内の状態にもよりますのでご相談ください。日程は、①診察、術前検査、②術前説明(手術の約1週間前)、③手術、④手術翌日診察、⑤手術1週間後診察、を原則としています。手術は基本的には外来白内障手術ですが、患者さんの背景やご希望に合わせて入院手術も行っています。なお、両眼手術希望の患者さんについては、外来手術の場合は1眼目の手術の1週間後に2眼目の手術を行っており、入院手術の場合にはDPC (包括医療費支払制度)にかかわる医療保険の制約上、1眼目の手術から2週間以上あけて2眼目の手術を行っています。現在の手術待ち日数は約1か月です。
このほか、患者さんと相談のうえで、浅前房眼に対する緑内障発作の予防のために白内障手術を施行することもあります。

専門外来紹介④ 緑内障

緑内障クリニックでは、毎週水曜日午後に井上達也と勝部志郎が、第3木曜日午後には栗田正幸先生(元・小田原市立病院眼科部長、現・くりた眼科クリニック院長)を毎月第2,4金曜日の午後に東京大学名誉教授の新家眞先生をお招きし、疾患の診療や治療を行っています。
以下に当クリニックの特色をご紹介します。

従来型緑内障手術と低侵襲緑内障手術(MIGS)

点眼治療では眼圧コントロール不良な緑内障に対して、従来の外科的緑内障治療(選択的レーザー線維柱帯形成術、レーザー虹彩切開術、トラベクロトミー、トラベクレクトミー、Express手術、周辺虹彩切除術)に加え、MIGSとして前房内トラベクロトミーを行っています。点眼アレルギーが強い場合は、防腐剤フリーの点眼薬に変更するなど点眼調整を行ってから手術治療を行う場合もあります。

硝子体手術併用の緑内障手術(チューブシャント手術)

当院では硝子体手術を多数行なっており、網膜中心静脈閉塞症や糖尿病網膜症に続発する血管新生緑内障に対して、硝子体手術併用チューブシャント手術を行っています。水晶体動揺を伴う落屑症緑内障に対しては、眼内レンズ強膜内固定を行ってから硝子体手術併用チューブシャント手術を行う場合があります。

他科との連携

視神経乳頭所見、隅角所見、視野検査(ゴールドマン視野、ハンフリー視野)、眼圧、OCT所見などを総合的に判断し緑内障の診断をしておりますが、若い患者さんなどで他の疾患が疑われる場合は、頭部MRI検査で頭蓋内疾患のスクリーニングを行うことがあります。実際に下垂体腫瘍などの腫瘍性病変が見つかることもあり、その場合は当院脳神経外科などへ紹介しています。

その他の取り組み

眼圧がさほど高くない緑内障患者さんには、術後の点眼削減を狙って、MIGS(低侵襲緑内障手術)の一つであるiStent手術の導入を予定しています。今後も患者さんへの侵襲がより少ない治療をめざして、MIGSに積極的に取り組んでまいります。

専門外来紹介⑤ 角膜

当院客員教授でもある東邦大学医療センター大森病院の堀裕一教授をお招きし、毎月第2木曜日の午前中に角膜・オキュラーサーフェス(眼表面)疾患の診療や治療を行っています。
当クリニックでもっとも多い疾患はドライアイであり、軽度のものからシェーグレン症候群に合併するような重症のものまで、重症度に応じて人工涙液の点眼、涙点プラグ、人工血清点眼などによる加療を行います。角結膜感染症も多く、原因は細菌、真菌、ヘルペスウイルス、アメーバなどさまざまです。重症例では角膜潰瘍などにより視力障害を残すこともあるため、できるだけ早期の治療介入をめざしています。重度のアレルギー性結膜炎やスティーブンス・ジョンソン症候群、関節リウマチによる眼表面疾患などでは、当院他科と連携して治療を行っています。水疱性角膜症や角膜潰瘍、円錐角膜といった疾患に関しては、東邦大学大森病院に紹介してより精密な検査を受けていただき、そのうえで角膜移植やクロスリンキングなどの手術を行う場合もあります。

専門外来紹介⑥ ぶどう膜

毎月第1木曜日の午前中に元・横浜市立大学眼科講師、現・吉野町眼科院長の中村聡先生に診療を担当していただいています。ぶどう膜炎は多彩な症状を呈し、継続的な治療が必要となることが多い疾患です。また、白内障や緑内障などを併発し、迅速な外科的治療が必要となることも稀ではありません。当院では、ぶどう膜炎に対して通常の眼科診察に加え、採血検査、蛍光眼底造影検査、前房水PCR検査やCT検査・MRI検査などによる全身検索を行い、的確な診断と治療に努めています。ベーチェット病やサルコイドーシスなどでは、病態に応じてリウマチ膠原病内科や呼吸器内科、神経内科などと連携して精査・治療にあたります。点眼薬や内服、入院での点滴加療のほか、網膜硝子体専門の施設として、緊急性の高い外科的治療にも対応します。

専門外来紹介⑦ 神経眼科

佐伯眼科クリニックの今津幸典先生をお招きし、毎月第4木曜日の午後に診療を行っています。初診の際は初診医が診察し、その後、専門外来の予約をお取りしています。対象疾患は、視力や視野に異常をきたす視神経疾患、甲状腺眼症・重症筋無力症などの視神経に障害をきたしうる疾患、斜視などの疾患です。病歴や眼所見などから鑑別疾患を推定し、診断のための検査を選択し、施行していきます。眼科一般の検査や、視野検査、眼球運動検査で診断に至らない症状に関しては、血液検査やCT・MRIなどの画像検査、全身検査などを組み合わせて原因疾患を特定していきます。
治療は、疾患に応じて外来や入院でのステロイドパルス療法などを行います。神経内科、内分泌内科、脳神経外科領域など他科にかかわる疾患が原因として考えられる場合には、当該科での追加精査や加療を依頼し、協力して治療にあたります。斜視に関しては、眼位のズレや外眼筋の動き、両眼視機能や屈折検査などの検査を行い、斜視のタイプを判断したうえで患者さんと相談し、プリズム眼鏡での矯正や手術加療などの治療方針を決定していきます。手術は月に1件程度、主に局所麻酔の日帰り手術を行っています。

専門外来紹介⑧ 小児眼科

第3水曜に元藤沢市民病院 眼科部長、現大船いのうえ眼科院長の井上克洋先生に診療を担当していただいています。子どもは成長していく過程でものを見る力を獲得していきます。その過程において、なんらかの理由で視力の発達が不十分となった場合、生涯にわたり大きな視覚障害を残すことがあります。したがって小児期の眼の病気は早期発見と早期治療が非常に大切です。しかし小児眼科の分野は診察や診断が難しく、専門的なスキルを持つ医師は全国レベルでも少ないのが現状です。小児眼科外来では、0歳児からのさまざまな眼疾患を専門的に診察します。近視、遠視などの屈折異常やそれらに起因する弱視、内斜視や外斜視などの眼位異常の患児を早期に診断し、アイパッチや眼鏡などを用いて綿密に管理します。井上先生は長年、小児の斜視手術も専門的に手がけており、手術のご相談も承っております。お子さんの場合、視力や立体視などの検査が難しいことがよくありますが、当院では熟練した視能訓練士が丁寧に時間をかけて検査や眼鏡処方を行っています。

患者さんへ

 当院眼科では、地域の眼科クリニックでの治療が困難と判断され、緊急の処置を要すると判断された病状の患者さんの診察をしております。
 まずはお近くの眼科で診察をお受けになり、当院での治療が必要と判断された場合に、当院宛の紹介状をお持ちになって受診をされますようお願いいたします。

 病状が軽症の場合や、通院にて病状が安定してきた場合には、地域の眼科クリニックをご紹介させていただきます。また、診察の状況によっては大変お待たせする場合がございます。あらかじめ、ご承知をいただきますようにお願いいたします。

その他

 地域医療機関との機能分担を重視しています。
 治療終了後の患者さんの多くは、医療病診連携に基づき、治療経過に応じて紹介元の担当医の先生方のところに、お戻りいただくようになります。また、横浜病診連携の会を毎年主催し、地域医療機関との交流を積極的にはかるようにしています。

関連リンク

ページトップへ