国際教養学部 金山 泰志准教授が近代日本の対中国感情に関する著書を出版
2025.03.06
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近代日本の対中国感情 なぜ民衆は嫌悪していったか
国際教養学部 金山 泰志准教授が、著書「近代日本の対中国感情」を出版しました。日本の近代化が進んだ明治維新以降、欧米をモデルに発展を遂げた日本は、中国を蔑視の対象とし、その感情は戦争を経る中でさらに強まっていきました。本書は、明治から昭和戦前期にかけての民衆による中国への感情の軌跡をたどります。
世論調査がない時代、民衆に広く読まれた少年雑誌に着目し、古代中国への憧憬とは対照的に、同時代の中国に対する差別的な感情がどのように表現されていたのかを、100点以上の図版をもとに解説しています。歴史の中に埋もれた感情の変遷を浮き彫りにし、日本人が中国に対して抱いてきた思考と意識を明らかにする1冊です。
金山 泰志准教授より出版に際してコメントをいただきました。
今から約20年前、私は横浜市立大学に入学し、日本近現代史のゼミで研究を始めました。今回の著書のテーマである「近代日本人の中国観(対中国感情)」に興味を持ったのも、この頃です。
卒業論文では「日本人が中国をどのように教えてきたのか」をテーマに、戦前の教科書や教育雑誌を用いて研究しました。本格的に研究に取り組み始めたのは学部3年の秋頃で、優秀なゼミ仲間に刺激を受けながら学びました。歴史学の面白さを知った私は、大学院進学を決意し、教育だけでなく少年雑誌・講談・演劇・映画・ラジオといったメディアにも視点を広げ、研究を続けました。
この研究が20年後、新書という形で実を結んだことは感慨深く、母校に戻った今、こうしてご報告できることを大変嬉しく思います。
本書では、日清戦争(1890年代)から日中戦争(1930年代)にかけての日本民衆の対中国感情を追いました。同時代の中国人に対するネガティブな感情(敵愾心、嘲笑、嫌悪など)と、孔子や関羽といった偉人へのポジティブな感情(尊敬、親しみなど)が併存していたことを、実証的かつ通史的に論じています。
現在の日中関係を理解し、相互関係の問題を問い直すための一助にもなるのではないかと考えています。「文化的背景に基づいた多様性の理解」を目指す横浜市立大学の学生さんにも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
まえがき
https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/126438.html
世論調査がない時代、民衆に広く読まれた少年雑誌に着目し、古代中国への憧憬とは対照的に、同時代の中国に対する差別的な感情がどのように表現されていたのかを、100点以上の図版をもとに解説しています。歴史の中に埋もれた感情の変遷を浮き彫りにし、日本人が中国に対して抱いてきた思考と意識を明らかにする1冊です。
金山 泰志准教授より出版に際してコメントをいただきました。
今から約20年前、私は横浜市立大学に入学し、日本近現代史のゼミで研究を始めました。今回の著書のテーマである「近代日本人の中国観(対中国感情)」に興味を持ったのも、この頃です。
卒業論文では「日本人が中国をどのように教えてきたのか」をテーマに、戦前の教科書や教育雑誌を用いて研究しました。本格的に研究に取り組み始めたのは学部3年の秋頃で、優秀なゼミ仲間に刺激を受けながら学びました。歴史学の面白さを知った私は、大学院進学を決意し、教育だけでなく少年雑誌・講談・演劇・映画・ラジオといったメディアにも視点を広げ、研究を続けました。
この研究が20年後、新書という形で実を結んだことは感慨深く、母校に戻った今、こうしてご報告できることを大変嬉しく思います。
本書では、日清戦争(1890年代)から日中戦争(1930年代)にかけての日本民衆の対中国感情を追いました。同時代の中国人に対するネガティブな感情(敵愾心、嘲笑、嫌悪など)と、孔子や関羽といった偉人へのポジティブな感情(尊敬、親しみなど)が併存していたことを、実証的かつ通史的に論じています。
現在の日中関係を理解し、相互関係の問題を問い直すための一助にもなるのではないかと考えています。「文化的背景に基づいた多様性の理解」を目指す横浜市立大学の学生さんにも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
まえがき
https://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/126438.html

著者 金山 泰志
発行所 中央公論新社
発行日 2025/2/21
発行所 中央公論新社
発行日 2025/2/21
<目次>
はじめに
第1章 日清・日露戦争の明治期—同時代中国への蔑視
1 反中感情の高揚、激化する敵愾心—日清開戦
2 メディアを覆う蔑視、対朝鮮感情との類似と差異
3 蔑視から嫌悪、悪人へ—北清事変、日露戦争の時代
第2章 「一等国」意識の大正期—「負」の象徴と「日中親善」の声
1 悪人、滑稽の定着と道徳心—中華民国の成立と戦間期
2 世界での「負」の感情—映画・漫画のなかの中国
第3章 満洲事変・日中戦争の昭和期—慢心と嘲笑
1 頻出する「小癪な」の意識—降伏しない中国への感情
2 滑稽と東洋道
おわりに
はじめに
第1章 日清・日露戦争の明治期—同時代中国への蔑視
1 反中感情の高揚、激化する敵愾心—日清開戦
2 メディアを覆う蔑視、対朝鮮感情との類似と差異
3 蔑視から嫌悪、悪人へ—北清事変、日露戦争の時代
第2章 「一等国」意識の大正期—「負」の象徴と「日中親善」の声
1 悪人、滑稽の定着と道徳心—中華民国の成立と戦間期
2 世界での「負」の感情—映画・漫画のなかの中国
第3章 満洲事変・日中戦争の昭和期—慢心と嘲笑
1 頻出する「小癪な」の意識—降伏しない中国への感情
2 滑稽と東洋道
おわりに

<著者略歴>
金山 泰志
1984年:神奈川県に生まれる。
2007年:横浜市立大学国際文化学部日本アジア文化学科を卒業。
2013年:日本大学大学院文学研究科日本史専攻博士後期課程を修了。博士(文学)を取得。
2018年:同朋大学文学部専任講師に就任。その後、准教授を務める。
2024年:横浜市立大学国際教養学部准教授に就任。
その他:日本学術振興会特別研究員を務めた経歴を持つ。
専門分野:日本近現代史。
著書:
『明治期日本における民衆の中国観』(芙蓉書房出版,2014年)
共著:
三谷博他編『響き合う東アジア史』(東京大学出版会,2019年)
森覚・大澤絢子編『読んで観て聴く近代日本の仏教文化』
(法蔵館,2024年)他多数
論文:
「近代日本の麻雀受容と日本人の対中国感情」『風俗史学』(2022年3月)
「近代日本の中国料理受容と対中感情」『日本史研究』(2022年7月)他多数
※上記内容は本書刊行時のものです。
金山 泰志
1984年:神奈川県に生まれる。
2007年:横浜市立大学国際文化学部日本アジア文化学科を卒業。
2013年:日本大学大学院文学研究科日本史専攻博士後期課程を修了。博士(文学)を取得。
2018年:同朋大学文学部専任講師に就任。その後、准教授を務める。
2024年:横浜市立大学国際教養学部准教授に就任。
その他:日本学術振興会特別研究員を務めた経歴を持つ。
専門分野:日本近現代史。
著書:
『明治期日本における民衆の中国観』(芙蓉書房出版,2014年)
共著:
三谷博他編『響き合う東アジア史』(東京大学出版会,2019年)
森覚・大澤絢子編『読んで観て聴く近代日本の仏教文化』
(法蔵館,2024年)他多数
論文:
「近代日本の麻雀受容と日本人の対中国感情」『風俗史学』(2022年3月)
「近代日本の中国料理受容と対中感情」『日本史研究』(2022年7月)他多数
※上記内容は本書刊行時のものです。