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デジタルネイティブ世代の視点で新聞社のブランディングを高める広告を制作!

2024.10.24
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実践を通じて学び、地域と共に歩むマーケティングの集中講義「企画立案型実習A(神奈川産学1)」


2024年7月4日から7月10日に、国際商学部の柴田典子教授*1が担当する、集中講義「企画立案型実習A(神奈川産学1)」が実施されました。この講義では、横浜を中心に神奈川の地域経営課題をテーマに、参加した学生たちが主体的に企業からの課題に対して、解決策を考えます。地域企業の経営問題や地域の活性化を図るため、フィールドワークやグループワークを通じて、地域の実情を理解し、具体的な提案をプレゼンテーションすることで、理論と実践の融合を体験する講義です。
講義の特徴と概要
今回の講義のテーマは「広告物の制作を通じて、マーケティングとブランディングを学ぶ」。課題は、「新聞を読まない世代による神奈川新聞社のブランディング広告の制作(新聞広告)」です。
実習に先立ち、新聞を普段手に取らない学生たちが新聞広告を制作するという課題に挑むため、1週間前から新聞を試読する準備期間が設けられました。学生たちは毎日新聞を手に取り、実際に読み、記事の構成や広告のデザイン、内容に触れることで、新聞メディアに対する理解を深めました。
最初に、基礎講義として地域の経営課題を解決するために、必要なマーケティングの基礎やブランドの概念を学びました。ただし、座学による講義は最小限にとどめ、学生が主体的に情報を収集・分析する機会を設けるようにしているのがこの講義の特徴です。また、学生ならではの視点を持ちながら、理論を学んだ上で、実践的に学びを深めることができる環境が準備されています。今回の集中講義では、ブランディングやマーケティングの専門家をお招きし、指導をいただきながら、6つのチームに分かれて新聞広告の制作に取り組みました。
2日目、株式会社DCC 代表取締役 辻本 佳生さんによる講義
講義は、全7日間で構成され、初日は、柴田教授によるオリエンテーションと基礎講義が行われ、講義の目的や実習テーマの説明などがありました。

2日目は、株式会社ディー・シー・シー(DCC)*2 専務取締役の渡邉宜彦さんによるプロモーションと新聞広告についての講義、3日目は、同社代表取締役 辻本 佳生さん(クリエイティブ・ディレクター)によるブランディングと広告の事例紹介、さらに新聞広告制作のレクチャーが実施されました。
4日目はフィールドワークとして神奈川新聞社を訪れ、新聞社の業務内容と現状についての講義と、実際に新聞記事が作られている現場を見学しました。編集の工程を間近で体験し、ニュースが形となるプロセスを学ぶ貴重な機会となりました。神奈川新聞社統合編集局の高橋融生さんとクロスメディア営業局の佐藤英仁さんから講義をいただき、新聞社の役割や実際の記者の仕事などを知り、新聞の重要性を実感し、広告制作に生かす具体的なヒントを得ることができました。
4日目、神奈川新聞社でのフィールドワークの様子
6日目、グループワークの様子
そして、5日目のグループワークを通じて、チームのメンバーとアイデアを出し合うなど協力し、6日目と7日目のプレゼンテーションに臨みました。
6つのチームが、それぞれ15分間でプレゼンテーションを行い、広告に込めた思いを発表しました。どのチームの広告も学生ならではのアイデアがつまった素晴らしい内容でしたが、最終的に神奈川新聞社とDCCの講評を受けて、1つの広告が選定されました。

選定された広告はこちらです。9月30日の神奈川新聞朝刊の紙面に実際に掲載されました。

学生たちが挑んだ神奈川新聞社のブランディング広告
今回の講義では、学生たちは実習を通じて、マーケティングとブランディングの理論を学びながら、神奈川新聞社の広告制作に挑戦する機会を得ることができました。「新聞を読まない世代の視点による神奈川新聞社のブランディング広告」という今回の課題は、現代の若者が新聞に対して抱く印象や利用状況を考慮し、新たな視点で効果的な広告を制作することを目的としています。学生たちはまず、ターゲットとなる世代の特性を分析し、どのようなメッセージが響くのかを探求しました。リサーチを通じて、SNSやデジタルメディアに親しむ彼らの視点から、新聞の魅力を再発見するためのアイデアを出し合いました。特に、視覚的な要素を重視し、若者に親しみやすいデザインを心がけることで、広告のインパクトを高めることを目指し、幅広いアイデアが提案されました。
実習の成果を発表、各チームが独自のデザインを展開
Aチーム「挑戦状」
地域性と信頼性を重視し、高齢者とその孫世代のつながりを強化することで若年層からの支持を獲得することを目指しました。地域と人、人と人、世代を繋ぐ神奈川新聞を提案し、地域社会の絆を深めることをテーマにしたデザインを展開しました。
Bチーム「触れるって愛だ。」
紙媒体ならではの良さと情報の正確性を強調し、新聞に込められた愛を前面に出すことで、広告を見た人々の心を温かくすることを目指しました。優しさを感じさせるデザインによって、読者の感情に訴えかけるアプローチを採用しました。
Cチーム「新聞は裏切らない」
SNSで流行している構文やあおり文を用いて、まず読者に広告を読んでもらうことを狙いました。新聞の優位性である正確さと信頼性を強調し、広告が情報を邪魔せず快適に受け取れる点をアピール。Z世代の流行に合わせたデザインを取り入れました。
Dチーム「しんぶんしん」
神奈川新聞の強みである公平・公正な報道を活かし、明日が少しでも良くなるように取り組む姿勢を示しました。インパクトとユーモアのあるデザインを通じて、読者に親しみやすさを感じさせ、信頼を築くことを目指しました。
Eチーム「それは、毎朝届く花束。」
新聞の新しい考え方を提案し、新聞の価値を再構築することを目指しました。ターゲットを若者に設定し、新聞紙で作った花束のデザインを通じて、相手を思いやる姿勢を表現し、神奈川新聞のロゴカラー「朝」を思わせるさわやかな青を使用しました。
Fチーム「かなしん、まるで〇〇。」
神奈川新聞の特徴と魅力を強調し、全国紙との差別化として、地元神奈川への寄り添いをアピールしました。「かなしん、まるで○○。」というキャッチコピーを用いて、見た人に想像を促し、興味を引くことを目指しました。デザインは、読者が思い浮かべる大切な人のような存在をイメージさせ、親しみやすさを感じさせることを意識しています。
Eチームの学生たち
新聞広告に選ばれたEチームの学生たちの感想
石川いしかわ 理央 りおさん:
1週間というとても短い期間の中で、チームで意見を出し合いながら広告を作成することは大変でしたが、満足のいく作品が完成し、選出いただけたことをとても光栄に思います。
伊与久いよく 桃花 ももかさん:
広告制作に取り組むのは初めてでしたが、短期間での完成に向けて多くの悩みもありました。しかし、メンバーと協力しながら完成させた作品が選ばれ、とても嬉しく思っています。

上原うえはら 由衣 ゆいさん:
ディスカッションを通じて、自分の意見をわかりやすく伝えることや、班員の意見を汲み取ることの難しさを実感しました。この貴重な経験からの学びを、今後のゼミ活動で活かしていきたいです。
國井くにい 寿哉 としやさん:
実際にマーケティングを考える貴重な機会を得られたと思います。消費者と新聞社の両方の視点からアイデアを出すのは非常に難しかったですが、フィールドワークを通じて新聞社の想いをお聞きしながらイメージを膨らませ、良い作品に昇華できたことを嬉しく思います。
駒走こまはしり 旬星 じゅんせいさん
単に広告を制作するだけでなく、新聞自体の「価値」を再構築する方法を考えた一週間は、これまでの大学生活の中でも特に濃密で充実した時間でした。大変さもありましたが、その分本当に楽しかったです。
樋口ひぐち 凛 りんさん:
作品の選出を大変光栄に思います。デザイン制作は難しかったですが、メンバーと共に良い作品を作り上げることができ、とても充実した1週間でした。
柴田典子教授からのコメント
本講義は、マーケティングとブランディングの本質を学ぶことを目的として実施しています。理論だけ、実践だけではなく、1週間という短期間でインプットとアウトプットを繰り返すことで理論と実務をつなぎ、体感をしながら学ぶ学修スタイルです。学生たちは、マーケティングの役割である、人々の生活を豊かにする価値を創出し、伝達する楽しさと難しさを同時に感じ、深い学びになったと思います。企業との連携による実習講義だからこその大変貴重な経験ができました。全面協力していただいた神奈川新聞社の皆様、そして、毎年デザイン制作の講師を担っていただいている㈱ディー・シー・シーの皆様に深く感謝しております。
株式会社DCC 辻本 佳生さんからのコメント
本プロジェクトに講師として参加させていただいたことに感謝申し上げます。
僕にとっての今回の産学連携は、地方新聞のブランディングという難しい課題に対し、ほんの1週間の講義とデザインワークで何ができるのか、どう伝え寄り添えば学生のポテンシャルを引き出せるのかを常に考えながら臨んだ時間でした。
学生たちはそんな僕の想いに、若者らしい熱意と斬新なアイデアで十分応えてくれました。柴田先生や私の講義を通じてブランディングの重要性を理解し、これから社会人になる学生の皆さんにとって有意義な体験ができたと感じていただけたのであれば、とても嬉しく思います。
この実習を通じて、学生たちはチームワークの重要性を体感し、創造力を発揮しながら広告を作っていました。DCCや神奈川新聞社の講義や現場体験を通じて、実際の業務に対する理解を深め、新聞の重要性を再認識していました。各チームの新聞広告のデザインは、地域社会とのつながりを感じさせるものであり、今後も展開していくのではないかと期待が寄せられる作品でした。今回の経験が、学生たちの今後のキャリアにおいても大いに役立つことでしょう。協力してくれた方々への感謝の気持ちを忘れず、地域と共に歩む姿勢を大切にしていきましょう。
参考
*1 柴田典子教授:
横浜市立大学国際商学部/国際マネジメント研究科
2002年に横浜市立大学に着任。マーケティング論(主にブランド論、消費行動分析)が専門。国際商学部、国際マネジメント研究科でマーケティング関連科目を担当。研究テーマは、消費者行動における自分らしさ。
*2 株式会社ディー・シー・シー(DCC):
広告・WEB・空間と、デザインと名の付くすべてをプロデュースしている制作会社。
https://dcc-co.jp/

「企画立案型実習A(神奈川産学1)」をもっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
授業を通じて「横浜」を盛り上げる。マーケティング&ブランディングを実践的に学ぶ授業
https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2023/20231023kikakuritsuanA.html
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