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授業を通じて「横浜」を盛り上げる。マーケティング&ブランディングを実践的に学ぶ授業

2023.10.23
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話題のバスケットボールチームのポスターを考える

国際商学部の授業科目「企画立案型実習A(神奈川産学1)」(担当教員:柴田典子准教授*1)は、神奈川県内のさまざまな企業や自治体と連携して、マーケティングとブランディングを実践的に学ぶことができる短期集中講義です。

海賊帽の形自体が船首をイメージエンブレム。横浜市の市花である「バラ」が入っている。
今年の8-9月に行われた「FIBA バスケットボールワールドカップ 2023」では、日本チームの劇的勝利や五輪出場決定で日本全体が盛り上がりました。そのメンバーの1人でもある河村勇輝選手が所属するバスケットボールチームは、この横浜にあります。
YOKOHAMA B-CORSAIRS/横浜ビー・コルセアーズ(以下、ビーコル)は、日本のプロバスケットボールチームであり、B.LEAGUE B1に所属し、横浜市をホームタウンとして2010年に設立されたチームです。
神奈川県横浜市都筑区にある横浜ビー・コルセアーズ本社

地域の全世代に愛される企業イメージの認知・浸透

今回の授業では、このビーコルとタッグを組み、チームの認知拡大に向けたポスター制作を、授業を通じてマーケティング&ブランディングを学びながら学生たちが考えていきます。ビーコルから提示されたポスターのテーマは「地域の全世代に愛される企業イメージの認知・浸透」です。
授業は6日間15コマ+約1週間のフィールドワークというスケジュールで実施されました。昨年度までは新型コロナウイルス感染症の影響もあり、一部オンラインなどでしたが、今年度は対面での実施ということもあり、よりグループで過ごす時間も増え、1つの作品をみんなで作り上げていくグループワークの醍醐味を感じられます。
授業では、マーケティングやブランディングに関する基礎講義を担当教員の柴田准教授が担当し、実際のプロモーションやポスター制作については、ご協力いただいている株式会社ディーシーシ—(DCC)*2の辻本佳生代表取締役、渡邉宜彦専務取締役より講義していただきます。
3日目の講義からはグループワークが開始され、それぞれテーマに沿ったポスター作りができるようにアイデアを出し合い、作品を考えていきます。 ちょうど 3日間の講義が終わった折り返し地点から、フィールドワークが始まります。フィールドワークでは、横浜市都筑区(横浜市営地下鉄センター北駅)にある横浜ビー・コルセアーズ本社を訪問しました。
横浜ビー・コルセアーズ セールス部主任 工藤浩司様
ここで直接、会社案内・チームの紹介・地域に向けた活動内容などをご紹介いただくとともに、学生たちの質問に答えてもらいました。講義を担当していただいたのは、横浜ビー・コルセアーズ セールス部主任の工藤浩司様です。
実際の試合映像の視聴を交えながら、チーム設立・運営の苦労、SDGsへの取り組みや地域への還元活動など貴重なお話を教えていただきました。特に運営の裏側のお話など、普段は聞くことが出来ない貴重なお話を伺う事ができ、学生たちは、真剣に耳を傾けていました。話を聞いたことで、考えていたアイデア(ポスターデザイン)の路線が大きく変更になったチームもあったようです。
フィールドワーク終了後は、グループに分かれてポスター制作に着手。授業の最終2日間はプレゼンテーションとなるため、それまでにデザインを完成させるため急ピッチで制作が進められていきます。今回のフィールドワークを通して、デザインのテーマである「地域の全世代に愛される企業イメージの認知・浸透」をさらに意識して、デザインやポスターに入れる言葉(キャッチコピー)に“意味”を持たせていきます。担当教員の他、授業に協力いただいている制作会社様からのアドバイスもいただき、デザインのブラッシュアップをしていき、いよいよプレゼンテーションに臨みます。
株式会社横浜ビー・コルセアーズ 白井英介代表取締役

授業の集大成。それぞれのチームが個性豊かなデザインを提案

最終プレゼンには、講義を担当してくださった株式会社DCCの辻本佳生代表取締役、渡邉宜彦専務取締役の他、フィールドワークを担当してくださった株式会社横浜ビー・コルセアーズ 工藤浩司様もオンライン参加してくださいました。そして、何といっても、株式会社横浜ビー・コルセアーズの白井英介代表取締役もオンライン参加で2日間にわたるプレゼンを見届けてくださることになり、学生たちが非常に緊張してこのプレゼンに臨みました。

実際の発表順で少し紹介していきたいと思います。
<Aグループ>
キャッチコピー「育てる ビーコる」
キャッチコピーからも分かるように、バスケットボールというスポーツだけではなく、「地域を育てる」ということ意識して制作したことが伝わるものでした。講評でも、誰が見ても嫌な思いをしない作品で、短時間という事を考えるとここまでよく仕上げたと好評をいただく一方で、写真のサイズ感や空間、ロゴマークや視認性については改良の余地ありとコメントをいただいていました。
<Eグループ>
キャッチコピー①「びゐこるの波にのらないか」
キャッチコピー②「明日の体育 プロが先生だって」

1つ目は和のテイストで、バスケ感があまり無い作品で逆に独特な感じで好きだといった意見を講評でもらいました。
2つ目は、学生らしい発案で社会貢献を推すという内容になっており、ギミックが効いた案で面白く、なかなかプロでも思いつかない、などの意見がありました。2つともに独創的な作品となっており、グループカラーが出ていました。
<Bグループ>
キャッチコピー「あなたはビーコルのほんの一部しかしらない」
「あっ!ヨッチーを使ってくれている!」とYCUの広報課スタッフからしたら少し嬉しくなるポスターでした。全体的に爽やかなムード(白と青の色合い)で構成されており、世代を超えた発想で「良く出たな」という印象だったと講評を受けていました。 ただ、船が豪華客船に見えてしまうので、ビーコルのイメージ「海賊船」に変更した方が良いという意見はごもっともでした。
<Cグループ>
キャッチコピー「Be local Be Loved B-CORSAIRS 横浜から未来のスターを」
ポスターに海外の雰囲気が漂いスタイリッシュな作品は目を引きました。
講評でも配置関係などが良いのと、短期間で絞り出したキャッチコピーにしては全てを表しているといった意見の他、ロゴについてはレギュレーション*3と合っていないのではないか、SDGsも足りないものがあると思う、などプロならではの目線での講評をいただいていました。
<Dグループ>
キャッチコピー「そんなに怖いか、新時代が」
いきなり有名なアニメの曲からプレゼンがスタートし、「皆さん今、このポスターを見て『かっけぇ』って思いましたよね?」と自信満々にプレゼンしていた姿が印象的でした。講評では、伝えたいことが強調されているだけではなく、色の使い方などは凄く統一感あって良い。ロゴや全体的なスペースやサイズ感の統一などさらに見直すると良いなどの言葉をいただいていました。
<Fグループ>
キャッチコピー「びーこる(辞書)」
どこかで見覚えがあるなと人々の目を引く(立ち止まって見てみてしまう)デザインで、辞書という考えは大学生ならではの発想だと思いました。講評でも、数あるポスターの中で、「差別化」という目的は成功しており、使われている文言にユーモアな要素をもっと取り入れたり、書体などを変更する事でさらに面白い作品に仕上がるのではないかと意見をいただいていました。
各チームの発表の後には、1つずつ丁寧に、皆さんから講評をいただき、ここからの最終提出までに作品をブラッシュアップしていくようです。
最後に、白井英介代表取締役から「とことん思考してアウトプットするということを学生のうちから出来ていることが非常に素晴らしい。これからの若者たちのスキルに期待したいと思えた2日間でした。」とコメントをいただきました。学生たちは授業を通して、企業の話を聞き、実際に提案までするというマーケティング&ブランディングを実践的に学ぶことができ、この経験こそが非常に貴重な財産となります。
担当教員の柴田准教授は「ポスター制作はクリエイティブな仕事で、生まれつき能力を持っている人がやるものだと思っていませんか?実は、知識や経験から出来るものであり、インプットがなかったらアウトプットはできないのです。皆さんはこの1週間の間に、大量のインプットをしてきたからこそ、素敵なアプトプットが出来たのだと思います。」と締めくくりました。
学生たちの多くからは「疲れたけど、すごい楽しくて充実した1週間だった」という意見が多く出ていました。大量のインプットをして、アウトプットが出来たからこそ、疲れたという感想が出てくるのだと思います。
最終的には、6チームから9つのポスターが生まれ、その中からビーコルに1つ選んでいただく予定でしたが、ビーコル側の意向もあり、今回は全てのポスター案を掲示するという事になりました。ポスターは「日吉駅」「あざみ野駅」「たまプラーザ駅」に期間限定で掲示されています。
用語説明
1 柴田典子准教授:
横浜市立大学国際商学部/国際マネジメント研究科准教授
2002年に横浜市立大学に着任。マーケティング論(主にブランド論、消費行動分析)が専門。国際商学部、国際マネジメント研究科でマーケティング関連科目を担当。研究テーマは、消費者行動における自分らしさ。

2 株式会社ディーシーシ—:
広告・WEB・空間と、デザインと名の付くすべてをプロデュースしている制作会社。
https://dcc-co.jp/

3 レギュレーション:
規則や規制・制限・禁止事項などの意味で使われるますが、広報に関してはコンテンツ作成をするにあたって守らなければならないルールや規約のこと。
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