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野﨑昭人准教授らがまとめた「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン(改訂第3版)」が日本輸血細胞治療学会誌で公表されました

2024.07.09
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横浜市立大学附属市民総合医療センター輸血部 野﨑昭人准教授、奈良県立医科大学松本雅則教授らの研究グループがまとめた「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤*1の使用ガイドライン(改訂第3版)」が、日本輸血細胞治療学会誌に掲載されました(2024年6月25日)。

本ガイドラインは、日本輸血・細胞治療学会ガイドライン委員会アルブミン製剤の使用ガイドライン小委員会で、野﨑准教授が委員長・筆頭著者としてまとめたものです。

本ガイドラインの発表が、本邦でのアルブミン製剤の適切な使用に繋がることが期待されます。
表1 本ガイドラインを要約してまとめたアルブミン製剤を使用する主な病態とその推奨度
本ガイドラインの概要

本ガイドラインでは、「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0」[1] に準じて、エビデンスレベルおよび推奨の強さを決定しました。そして、推奨文は、エビデンスレベルと推奨の強さを組み合わせて記述しています。

今回の改訂第3版では、2017~2022年に出版されたアルブミンに関する国内外の文献1,775件より、一次スクリーニングおよび1件のハンドサーチ文献の追加を経て218件が選択され、二次スクリーニングおよび1件のハンドサーチ文献の追加を経て106件が評価対象文献とされました。その後、個々の論文のエビデンス評価を経て25文献が採択され、さらにCQ(clinical question)*2の解説文の作成にあたり、6件の重要な参考文献が追加されました。以上より、改訂第3版では計31文献が新規に追加されました。

CQについては、前版の13個をそのまま継続しましたが、表現を一新し、推奨とのセットで冒頭に一覧で掲載することとしました。CQは以下の通りです。

CQ1. 循環血液量減少に対するアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ2. 敗血症に対するアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ3. 腹水を伴う肝硬変に対するアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ4. 難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群に対するアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ5. 循環動態が不安定な血液透析等の体外循環施行時でのアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ6. 凝固因子の補充を必要としない(自己免疫性神経疾患など)治療的血漿交換療法におけるアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ7. 重症熱傷に対するアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ8. 低蛋白血症に起因する肺水腫あるいは著明な浮腫に対するアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ9. 頭部外傷・急性脳梗塞・脳血管攣縮に対するアルブミン製剤の投与は有効か?
CQ10. 人工心肺を使用する心臓手術におけるアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ11. 周術期の循環動態の安定した低アルブミン血症に対するアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ12. 蛋白質源としての栄養補給でのアルブミン製剤の使用は有効か?
CQ13. 終末期患者の予後改善にアルブミン製剤の使用は有効か?


論文情報
タイトル:科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン(改訂第3版)
著者:野﨑 昭人、安村 敏、佐藤 智彦、田中 朝志、米村 雄士、松﨑 浩史、河野 武弘、志村 勇司、牧野 茂義、松本 雅則
掲載雑誌:日本輸血細胞治療学会誌 第70巻 第3号406-430頁


用語説明
*1 アルブミン製剤:ヒトの血漿中に存在するタンパク質を主成分とした医薬品。循環血液量減少性ショック患者や高度の浮腫をきたした患者に世界で広く使われている。
*2 CQ:clinical question 重要臨床課題の構成要素を抽出し、1つの疑問文で表現したもの。

参考文献
[1] Minds診療ガイドライン作成マニュアル編集委員会:「Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0」、日本医療機能評価機構、2021.
お問合せ先
横浜市立大学 広報担当
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp
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