大学院生 敷町怜愛さんが、第46回日本分子生物学会でMBSJ2023サイエンスピッチ優秀発表賞を受賞!
2024.01.31
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生命医科学研究科 博士前期課程2年エピジェネティクス構造生命科学 (構造生物学研究室所属)の敷町怜愛さんが2023年12月6日(水)~12月8日(金)に神戸ポートアイランドで開催された第46回日本分子生物学会にて「異なるデザインのヌクレオソームに対するUHRF1*1 の相互作用様式の検証」について発表し、MBSJ2023サイエンスピッチ優秀発表賞を受賞しました。
受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程2年
エピジェネティクス構造生命科学
(構造生物学研究室)
生命医科学研究科
有田 恭平教授(行動計量)
受賞内容
第46回日本分子生物学会
MBSJ2023サイエンスピッチ優秀発表賞
発表タイトル
異なるデザインのヌクレオソームに対するUHRF1の
相互作用様式の検証
生命医科学研究科 博士前期課程2年
エピジェネティクス構造生命科学
(構造生物学研究室)
敷町 怜愛 さん
指導教員生命医科学研究科
有田 恭平教授(行動計量)
受賞内容
第46回日本分子生物学会
MBSJ2023サイエンスピッチ優秀発表賞
発表タイトル
異なるデザインのヌクレオソームに対するUHRF1の
相互作用様式の検証
—今回受賞した研究内容について敷町さんに解説していただきました。
ヒトは約270種類の細胞から構成されています。これらの細胞は種類により形や機能が異なりますが、すべての細胞は同じ遺伝情報を持っています。細胞ごとに使用される遺伝子が異なることによって、皮膚や眼などの異なる形質の細胞が形成されます。遺伝子の使われ方は、DNA上に付加されるメチル化マークの位置によって決まり、メチル化マークが付加された遺伝子は使われなくなります。細胞が増殖する際、メチル化マークの位置が分裂前の細胞と分裂後の細胞で正確に一致しなければ、増殖後の細胞は形質や機能が変化してしまい、がん化等が起こってしまいます。そのため、メチル化マークの位置を正確に継承するためのDNA維持メチル化機構が生命維持のために必須となります。私が着目するUHRF1タンパク質は、このDNA維持メチル化機構のトリガーとして知られています。UHRF1はヌクレオソーム上で働きますが、全長のUHRF1がどのような構造で機能するのか詳細なメカニズムは不明でした。今回我々は、UHRF1とヌクレオソームの複合体構造をクライオ電子顕微鏡で観察することにより新たな相互作用部位を発見しました。さらにこの相互作用がUHRF1の触媒活性に重要であることを明らかにしました。今回の発見はUHRF1の生体内での構造を明らかにする基盤となり、UHRF1を標的としたがん治療薬の開発に繋がることが期待できます。
敷町 怜愛さんのコメント
この度は、多くの発表演題の中からサイエンスピッチ優秀発表賞を頂戴し、大変光栄に思います。日本分子生物学会は、大規模な学会であるからこそ様々な分野の研究者の方々と議論ができる貴重な機会ですので、専門分野外の方々にもわかりやすく、どこが重要で新しい点かを明確に伝え、自分の研究の魅力をストレートに表現できるように工夫しました。修士課程最後の学会でこのような名誉ある賞と研究への活力を頂けましたこと、評価いただきました先生方ならびに学会関係者の方々、発表を聞きに来てくださった方々に心より御礼申し上げます。また、本研究の遂行にあたり、常に熱心に指導してくださる有田先生をはじめ、スタッフの皆様、構造生物学研究室の皆様に深く感謝申し上げます。今後も本学会での経験を活かし、さらに上を目指して研究活動に邁進して参ります。
指導教員 有田 恭平教授からのコメント
おめでとう!!!敷町さんのこれまでの努力が目に見える結果として評価されたことを心から嬉しく思います。
敷町さんは理数マスター生として学部2年生から私の研究室で研究活動を開始しました。この研究の大変なところは、4種類のヒストンタンパク質とDNAを作って、それを混ぜ合わせてヌクレオソームという複雑なタンパク質-DNA複合体を再構成する点です。しかも、ヒストンには翻訳後修飾、DNAにはメチル化修飾を入れます。敷町さんはこの非常に煩雑かつ精密な実験を一人で行い、再構成法を確立させました。研究結果やそれに基づいたディスカッションを行える能力と、現時点で成熟した研究能力を有しています。この成果を英語学術論文にまとめることが修士課程の最後の仕事になります。ぜひもう一花咲かせましょう~!そして今後の発展と成長を心より願い、日本の学術分野を牽引していく人材になることを楽しみにしています。
エピジェネティクス構造生命科学 有田研では、研究で活躍したい学生をお待ちしています。ぜひ気軽に連絡ください。
ヒトは約270種類の細胞から構成されています。これらの細胞は種類により形や機能が異なりますが、すべての細胞は同じ遺伝情報を持っています。細胞ごとに使用される遺伝子が異なることによって、皮膚や眼などの異なる形質の細胞が形成されます。遺伝子の使われ方は、DNA上に付加されるメチル化マークの位置によって決まり、メチル化マークが付加された遺伝子は使われなくなります。細胞が増殖する際、メチル化マークの位置が分裂前の細胞と分裂後の細胞で正確に一致しなければ、増殖後の細胞は形質や機能が変化してしまい、がん化等が起こってしまいます。そのため、メチル化マークの位置を正確に継承するためのDNA維持メチル化機構が生命維持のために必須となります。私が着目するUHRF1タンパク質は、このDNA維持メチル化機構のトリガーとして知られています。UHRF1はヌクレオソーム上で働きますが、全長のUHRF1がどのような構造で機能するのか詳細なメカニズムは不明でした。今回我々は、UHRF1とヌクレオソームの複合体構造をクライオ電子顕微鏡で観察することにより新たな相互作用部位を発見しました。さらにこの相互作用がUHRF1の触媒活性に重要であることを明らかにしました。今回の発見はUHRF1の生体内での構造を明らかにする基盤となり、UHRF1を標的としたがん治療薬の開発に繋がることが期待できます。
敷町 怜愛さんのコメント
この度は、多くの発表演題の中からサイエンスピッチ優秀発表賞を頂戴し、大変光栄に思います。日本分子生物学会は、大規模な学会であるからこそ様々な分野の研究者の方々と議論ができる貴重な機会ですので、専門分野外の方々にもわかりやすく、どこが重要で新しい点かを明確に伝え、自分の研究の魅力をストレートに表現できるように工夫しました。修士課程最後の学会でこのような名誉ある賞と研究への活力を頂けましたこと、評価いただきました先生方ならびに学会関係者の方々、発表を聞きに来てくださった方々に心より御礼申し上げます。また、本研究の遂行にあたり、常に熱心に指導してくださる有田先生をはじめ、スタッフの皆様、構造生物学研究室の皆様に深く感謝申し上げます。今後も本学会での経験を活かし、さらに上を目指して研究活動に邁進して参ります。
指導教員 有田 恭平教授からのコメント
おめでとう!!!敷町さんのこれまでの努力が目に見える結果として評価されたことを心から嬉しく思います。
敷町さんは理数マスター生として学部2年生から私の研究室で研究活動を開始しました。この研究の大変なところは、4種類のヒストンタンパク質とDNAを作って、それを混ぜ合わせてヌクレオソームという複雑なタンパク質-DNA複合体を再構成する点です。しかも、ヒストンには翻訳後修飾、DNAにはメチル化修飾を入れます。敷町さんはこの非常に煩雑かつ精密な実験を一人で行い、再構成法を確立させました。研究結果やそれに基づいたディスカッションを行える能力と、現時点で成熟した研究能力を有しています。この成果を英語学術論文にまとめることが修士課程の最後の仕事になります。ぜひもう一花咲かせましょう~!そして今後の発展と成長を心より願い、日本の学術分野を牽引していく人材になることを楽しみにしています。
エピジェネティクス構造生命科学 有田研では、研究で活躍したい学生をお待ちしています。ぜひ気軽に連絡ください。
用語説明
*1 UHRF1:
DNAメチル化維持に必須の役割をするタンパク質。片鎖メチル化DNAへの結合や、9番目のリジンがメチル化されたヒストンH3への結合、ヒストンH3や複製因子PAF15のユビキチン化など様々な機能を発揮することで、DNAメチル化パターンの複製を誘導する。がん細胞では過剰発現しており、異常な細胞増殖に関与する。
*1 UHRF1:
DNAメチル化維持に必須の役割をするタンパク質。片鎖メチル化DNAへの結合や、9番目のリジンがメチル化されたヒストンH3への結合、ヒストンH3や複製因子PAF15のユビキチン化など様々な機能を発揮することで、DNAメチル化パターンの複製を誘導する。がん細胞では過剰発現しており、異常な細胞増殖に関与する。