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生命ナノシステム科学研究科 佐藤 萌子さん(木原生物学研究所)、植物の1細胞解像度3Dイメージング技術を開発!

2022.01.31
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イネを材料に、植物を対象とする世界最高レベルのイメージング技術を完成! Int. J. Mol. Sci.誌に発表。

生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程3年の佐藤萌子さんと辻寛之准教授(木原生物学研究所)は、東京大学、大阪大学、東京理科大学との共同研究により、植物を対象とする世界最高レベルの1細胞解像度3Dイメージング技術を、イネを材料に開発しました。
論文筆頭著者
横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程3年 
木原生物学研究所・辻寛之研究室 
佐藤さとう 萌子  もえこ さん

論文著者
横浜市立大学・木原生物学研究所 
赤司あかし 裕子  ひろこ 技術補佐員

大阪大学大学院 理学研究科 生物科学専攻 
坂本さかもと 勇貴  ゆうき 助教

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 
松永まつなが 幸大  さちひろ 教授

横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科・木原生物学研究所 
つじ 寛之  ひろゆき 准教授

論文情報
Moeko Sato, Hiroko Akashi, Yuki Sakamoto, Sachihiro Matsunaga and Hiroyuki Tsuji (2021). Whole-Tissue Three-Dimensional Imaging of Rice at Single-Cell Resolution. Int. J. Mol. Sci. 23: 40.
https://doi.org/10.3390/ijms23010040
研究内容
—今回論文掲載に至った研究内容について佐藤さんに解説していただきました。

生物の器官や組織を高解像度で3次元的に観察することは、生物学の理解を深める上で極めて重要です。しかし植物において3次元的な観察は容易ではありませんでした。その理由は微小組織の単離方法や透明化技術、観察方法や染色方法の最適化が困難だったからです。
本研究では、主要作物であるイネを材料にこの困難を突破しました。
最新の透明化技術「iTOMEI」*1を活用し、さらに徹底的な条件検討と観察方法の工夫を行うことにより、世界最高レベルの1細胞解像度3Dイメージング技術を完成させました(図)。
本研究の成果によってイネの組織でかつてない高精細な解析が可能になるだけでなく、コムギ、オオムギ、トウモロコシなどの重要イネ科作物の組織構造の理解も飛躍的に深めることが可能となることから、将来的には作物の組織構造の理解と制御に基づく重要農業形質*2の改良に貢献することが期待されます。

1 「iTOMEI」:
詳細はプレスリリース(https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2021/20220113tsuji.html)を参照。
2 重要農業形質:
収穫量、品質、草型や開花時期など、農業生産性の質的・量的向上に直結する作物の特性のこと。
図: イネの花原基の1細胞解像度3Dイメージング

佐藤 萌子さんのコメント

本研究を論文として発表できたことを大変嬉しく思います。修士課程に在籍していた頃から、イネの組織を高解像度かつ3Dで観察するイメージング系の確立を目指してきました。今回このような成果を出せたのは、共同研究者の皆様と、日頃から相談に乗ってくださり、いつも励ましてくれた辻研究室の皆様のおかげです。指導教員である辻先生には、日頃のディスカッションに加えて、論文執筆の際も丁寧なご指導をいただきました。大変感謝しております。
今後は、本研究の成果を活かして、さらに研究を進めたいと思います。

指導教員 辻 寛之 准教授のコメント

おめでとう!佐藤さんの修士課程から博士課程の研究によって、イネを用いた世界最高のイメージング技術を開発した成果です。佐藤さんは人類の歴史上で誰もやったことのない実験系の開発に挑戦し、コツコツと努力を重ねることで完成させました。共同研究者のみなさんもとても協力してくださいました。佐藤さんの研究に伴走できたことをとてもうれしく思います。これからもすばらしいサイエンスを展開していくことを期待しています。

問い合わせ先

横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp


 

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