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生命ナノシステム科学研究科・大野木 涼乃さん、第34回におい・かおり環境学会でベストプレゼンテーション賞を受賞

2021.09.15
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第34回におい・かおり環境学会でベストプレゼンテーション賞を受賞

生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻 博士前期課程 1年 大野木 涼乃 さん(指導教員:関本奏子准教授)は、2021年8月30日(月)~31日(火)にオンラインで開催された第34回におい・かおり環境学会において口頭発表を行い、ベストプレゼンテーション賞を受賞しました。
大野木 涼乃さん

【学会名】
におい・かおり環境学会

【受賞者】
生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻
博士前期課程 1年 大野木 涼乃 さん

【受賞した賞】
ベストプレゼンテーション賞

【発表演題】
モノテルペンの識別における衝突誘起解離質量分析(CID-MS)法の有効性評価

【指導教員】
関本奏子准教授

今回、ベストプレゼンテーション賞を受賞した大野木 涼乃さんに、研究内容について話を聞きました。

<発表内容>

 森林の生命活動や、都市域で利用される日用品から大気中に発生するモノテルペン*1は、大気中での酸化や多量体化により環境問題を引き起こすことが知られています。そのため、モノテルペンの大気中での挙動を理解することは非常に重要です。しかし、モノテルペンには多くの構造異性体が存在し、それらを識別して測定することは難しいとされてきました。そこで私は、衝突誘起解離質量分析(CID-MS)法を用いて、モノテルペンの識別計測を目的とした研究を行いました。具体的には、大気中に存在する主要なモノテルペンであるα-ピネン、リモネン、およびミルセンに対し、CID法の一種である、プロダクトイオンスキャンとプリカーサーイオンスキャンを実行することで、モノテルペンの識別におけるCID法の有効性を評価しました。その結果、モノテルペンの識別には、CID法として一般的に用いられるプロダクトイオンスキャンではなく、プリカーサーイオンスキャンが有効であることが示唆されました。
 今回の発表は、においやかおりに特化した学会で行いました。CID-MS法は香り研究において馴染みのないものだったので、手法の原理とCID結果の解析方法を理解して頂けるよう、工夫しました。

*1モノテルペン:C10H16の分子式を持つ揮発性有機化合物(VOC)の一種。

<受賞コメント>

 今回、口頭発表として初めて参加した学会でこのような素晴らしい賞を頂き、大変光栄に思います。コロナ禍で大変な時期にここまで成果を上げることができたのは、研究のみならず、発表の仕方にも細やかに、そして丁寧にご指導してくださった関本奏子先生のおかげです。大変感謝申し上げます。私は、香り分野では馴染みのない手法を用いた研究を行っているので、この学会を通して、聴衆の皆様に「伝える」ことの難しさとその大切さを学ぶことができました。
 これまでは標品を試料とした測定を行ってきましたが、今後は、自然界に存在するモノテルペンの識別に取り組んでいこうと考えています。今回いただいた賞を自信に、これからも研究に精進してまいります。ありがとうございました。

<指導教員の関本奏子准教授よりコメント>

 大野木さん、この度の受賞、大変おめでとうございます!大野木さんは、学部3年生の後期に当研究室に配属されてから継続して、CID-MSを用いたモノテルペンの識別計測にチャレンジしてきました。この研究は、緻密かつ正確な実験と解析の積み重ねが必要ですが、その素養があることは早い時期からしっかりと見て取れました。修士に入ってからは特に、データを解釈する能力と、「能動的に動きチャレンジする精神」が急成長したように思います。今回の口頭発表も自身で選択し、どのように発表したら自身の研究が聴衆の皆様に伝わるのかを最後まで考え抜いてくれたことが、私としても非常に嬉しいです。
 今回の受賞を通して、1つ1つのチャレンジが大きな自信に繋がっていくことを感じ取れているのではないでしょうか。今後も楽しみながら、色々なことにチャレンジしていってくださいね。今後の研究の展開も期待しています。

問い合わせ先

横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp

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