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オーキシン生合成阻害剤とその利用方法に関する論文が Methods in Molecular Biologyに掲載されました

2020.12.25
  • TOPICS
  • 研究
横浜市立大学木原生物学研究所 嶋田幸久教授らの研究グループが発表したオーキシン生合成阻害剤に関する論文が、Methods in Molecular Biology に掲載されました。オーキシンは細胞分裂や伸長、発根、果実の成熟など植物の成長をあらゆる場面で制御する最も重要な植物ホルモンの一つです。オーキシンの機能を研究するためにはオーキシンの生合成を止める阻害剤が重要な研究ツールとなります。本論文は当研究グループが開発したオーキシン生合成阻害剤とその利用方法についての最新の知見をまとめた研究論文となっています。

掲載論文

Soeno K., Sato A., Shimada Y. (2021)
Investigation of auxin biosynthesis and action using auxin biosynthesis inhibitors
Methods in molecular biology 2213:131 – 144
著者
添野和雄 農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター 農業技術コミュニケーター
佐藤明子 横浜市立大学木原生物学研究所 植物応用ゲノム科学部門 研究補助職員
嶋田幸久 横浜市立大学木原生物学研究所 植物応用ゲノム科学部門 教授

https://link.springer.com/protocol/10.1007%2F978-1-0716-0954-5_12


研究成果のポイント

植物の成長する過程では一生を通して、オーキシンという植物ホルモンが重要な役割を果たしています。例えば茎や根が伸びたり、光や重力を感じて成長の方向を変えたり、果実が肥大したり成熟したりする過程を全て制御しています。本研究グループでは世界に先駆けてオーキシンの生合成を阻害する物質を発見し、最も効果的にオーキシンの生合成を抑制する阻害剤を開発してきました。オーキシンの生理機能を調べるためには特異性が高く高活性なオーキシン生合成阻害剤を用いて、オーキシンの生合成を止めることが効果的です。本論文ではこれまでに開発されたオーキシン生合成阻害剤を網羅的に紹介し、各種実験に効果的に用いるための手法を解説しています。本研究は横浜市立大学第3〜4期戦略的研究推進事業(学長裁量経費)、文部科学省科研費補助金などの助成により行われました。
図 オーキシン生合成と阻害剤の作用
主要オーキシンであるインドール酢酸はアミノ酸のトリプトファンから2段階の酵素反応を経て合成されます。当研究グループではそれぞれの酵素に対する高性能な阻害剤ピルバミンとPPBoなどを開発しました(図左)。実験植物のシロイヌナズナにオーキシン生合成阻害剤(PPBo)を与えると、根を含めて植物の成長が強く阻害されます(図右)。
 
 

 

問い合わせ先

公立大学法人横浜市立大学 木原生物学研究所
植物応用ゲノム科学部門
Tel. 045-820-2421
http://pbiotech.sci.yokohama-cu.ac.jp/smd/
 

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