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植物ホルモン・ブラシノステロイドによる光形態形成の制御機構についての研究論文がPlant and Cell PhysiologyのEditor’s Choiceに選出されました!

2020.08.06
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植物ホルモン・ブラシノステロイドによる光形態形成の制御機構についての研究論文がPlant and Cell PhysiologyのEditor’s Choiceに選出されました!

横浜市立大学木原生物学研究所 嶋田幸久教授らの論文が、Plant and Cell Physiology に掲載され、7月のEditor’s Choice(毎号特別に編集長の推薦する1篇の論文)に選出されました。本論文はオープンアクセスとなり、無料で読むことが出来ます。また、同雑誌のリサーチハイライトでも成果概要が紹介されています。本研究は横浜市立大学第3〜4期戦略的研究推進事業(学長裁量事業)、文部科学省科研費補助金などの助成により行われました。

ポイント

植物の多くは土の中で発芽するとフックという器官を形成して、土を押しのけて地上へ向かって成長します。光を感じると地上へ出たことを察知し、フックが立ち上がって子葉が開いて光合成を行うようになります。フックの形成と解消を含む光応答の過程は光形態形成と呼ばれ、多くの植物ホルモンが相互作用して制御される植物ホルモン研究の代表的な環境応答過程です。
これまでオーキシンとエチレンによる制御を中心に研究されてきましたが、それ以外の植物ホルモンがどのように関与しているのかわかっていませんでした。

一方、ブラシノステロイドという植物ホルモンは欠損変異体が暗い場所でも光形態形成を起こしてしまうことから、光形態形成の負の制御因子と言われてきました。

今回の論文では光に応答してブラシノステロイドの生合成が活性化し、それがフックの解消を促進していることを報告しました。すなわち、すなわちブラシノステロイドが定説に反して、光形態形成を促進することを見いだしました。

図:発芽時のフックの光応答過程
 
植物が発芽する際、暗所(土壌中)ではフックを形成しているが、土壌を押しのけて地表に出ると、光に応答してフックが立ち上がり始め、約24時間で完全に子葉が開いた状態となる。本研究では、植物ホルモンの一つであるブラシノステロイドが、この光応答によるフックの解除を促進することを見出した。

掲載論文

Light Activates Brassinosteroid Biosynthesis to Promote Hook Opening and Petiole Development in Arabidopsis thaliana
Hidefumi Hamasaki, Madoka Ayano, Ayako Nakamura, Shozo Fujioka, Tadao Asami, Suguru Takatsuto, Shigeo Yoshida, Yoshito Oka, Minami Matsui, Yukihisa Shimada
Plant and Cell Physiology, Volume 61, Issue 7, July 2020, Pages 1239–1251, https://doi.org/10.1093/pcp/pcaa053

問い合わせ先

(研究の内容に関するお問い合わせ)
公立大学法人横浜市立大学 木原生物学研究所
植物応用ゲノム科学部門
Tel. 045-820-2421
http://pbiotech.sci.yokohama-cu.ac.jp/smd/
 

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