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生命医科学研究科・伊藤朱里さん、日本薬学会構造活性相関部会 第48回構造活性相関シンポジウムでSAR presentation awardを受賞

2020.12.24
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生命医科学研究科・伊藤朱里さん、日本薬学会構造活性相関部会 第48回構造活性相関シンポジウムでSAR presentation awardを受賞

シクロスポリンAとEの膜透過メカニズムの解明にむけた分子動力学法を用いた構造変化のシミュレーション

大学院生命医科学研究科博士前期課程1年の伊藤朱里さん(指導教員:池口満徳教授)は、2020年12月10日(木)、11日(金)にオンラインで開催された日本薬学会構造活性相関部会 第48回構造活性相関シンポジウムにおいてポスター発表を行い、SAR presentation award(ポスター)を受賞しました。


受賞者

生命医科学研究科 博士前期課程 1年 伊藤朱里さん(いとう あかり)

発表演題

「中分子シクロスポリンAとシクロスポリンEの分子ダイナミクスの比較」

発表内容

シクロスポリンA(CsA)は、非天然アミノ酸を含む11残基のアミノ酸が環状につながった大きな分子であるにも関わらず、高い膜透過性をもった経口投与可能な中分子医薬品です。また、11残基のうち1つのアミノ酸の主鎖メチル基が水素に置換された代謝物のシクロスポリンE(CsE)だと、膜透過性が10倍近く低くなることも知られています。水中と膜中で自身の構造を変化させることから、大きな環状分子でも膜透過ができると考えられていますが、その構造変化のメカニズムは解明されておらず、なぜ、CsAとCsEで違いがでるのかなど、膜透過に何が重要なのか未だ不明です。本研究では、CsAとCsEの水中や膜中での動的な振る舞いを明らかにするために、横浜市立大学のスーパーコンピュータを使って分子動力学シミュレーションを行いました。膜中でシクロスポリンが安定に存在する位置や、構造変化する過程の中間的な構造がわかっただけでなく、中間構造の特徴がCsAとCsEで異なることもわかりました。まだ、膜透過過程そのものは、シミュレーションできていないので、今後も研究を進めて、膜透過のメカニズムを明らかにしていきたいと思います。

伊藤朱里さんのコメント

この度は名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に思います。発表準備にあたり、親切にご指導くださった池口教授をはじめ、多くのアドバイスをくださった浴本助教、理化学研究所の山根上級研究員 、生命情報科学研究室の皆様に心より感謝申し上げます。会期中は、多くの専門家の方々に質問やアドバイスをいただきました。様々なバックグラウンドをもつ方々の考え方を知ることができ、私の研究生活において非常に意義深いものとなりました。今回の経験を活かして、残りの研究生活をより一層精進していきたいと思います。

指導教員の池口満徳教授のコメント

受賞、おめでとうございます。日頃の伊藤さんの努力と丁寧に発表を行った成果だと思います。日本薬学会構造活性相関部会は、アカデミアのみならず、製薬企業などの方も多く参加される学会です。そこで認められたわけですから、ぜひ自信を持って、今後の研究や仕事に生かしてください。
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