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生命ナノシステム科学研究科 小島伸彦准教授の研究プロジェクトが、クラウドファンディングで初期目標額を大幅に上回る研究資金調達を達成

2020.12.17
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  • 研究

生命ナノシステム科学研究科 小島伸彦准教授の研究プロジェクト「液体肝臓で、フェニルケトン尿症の患者さんに食の楽しみを!」が、クラウドファンディングで初期目標額を大幅に上回る研究資金調達を達成

横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科 小島伸彦准教授(再生生物学)が、クラウドファンディングを利用し、研究資金を募集した結果、当初の目標金額600万円を大幅に上回る1,239万円を達成いたしました。
今後は、湘南アイパークに入居し、研究設備や提供される様々なサービス等を活用しながら、 アミノ酸代謝異常症の一つで希少疾患でもあるフェニルケトン尿症*に対し、よりリスクの少ない治療法の開発を目指します。

<小島伸彦准教授コメント>

皆様のあたたかい応援・ご支援のおかげで、目標金額を達成することができました。心より御礼申し上げます。
プロジェクトとしては、ここがスタートラインです。患者様やご家族、ご支援いただいた皆様の思いに応えるため、一層気を引き締めて『液体肝臓*』の開発に取り組んでいきます。  
生まれつきの遺伝子欠損や遺伝子多形によって肝臓の重要な代謝酵素の機能がなくなると、とても厳しい食事制限をしなければなりません。例えばフェニルケトン尿症の患者様は、一生にわたってお肉やお魚、お米までもほとんど食べることができません。これまでは「運命」として諦めるしかありませんでしたが、液体肝臓の開発が実現すれば、定期的に移植(輸血!)をするだけで食生活を大きく改善できる可能性があります。運命に左右されずに生活できる社会を実現するための第一歩として頑張りたいと思います。


<小島伸彦准教授 クラウドファンディング概要>

〇研究タイトル:「液体肝臓で、フェニルケトン尿症の患者さんに食の楽しみを!」
〇公開期間:2020年9月1日(火)~2020年11月30日(月)23時 【90日間】
〇プロジェクトURL:https://readyfor.jp/projects/liquid-liver
〇目標金額:600万円
〇達成金額:1,239万円
〇支援金の使途:肝臓の代謝酵素を封入した赤血球である「液体肝臓」を、細胞を用いて研究するための研究資金
〇プロジェクト概要:
肝臓移植に代わる低リスクな治療実現が期待できる「液体肝臓(本研究の造語)」の開発研究を行っています。生まれつき肝臓の一部の機能が欠損する病気であるフェニルケトン尿症は、理論的には肝臓移植によって治療することができますが、移植に伴う高いリスクを考え併せると、実際に肝臓移植が選択されることはありません。フェニルケトン尿症の患者さんは、生まれてすぐに特殊なミルクで育てなければならず、成長してからも、生涯に渡って野菜などの低タンパク食品と特殊ミルクのみという食生活となります。今回のプロジェクトでは、こうしたフェニルケトン尿症の患者さんを食事制限から解放する希望につながる「液体肝臓」 (肝臓の代謝酵素を封入した赤血球を輸血する治療法) の研究を行います。

*液体肝臓  
肝臓の代謝酵素を封入した赤血球を意味する造語。 肝臓そのものの移植ではなく、肝臓と同様の働きをする赤血球を作り、それを移植(輸血)することで治療を行う。液体肝臓は、フェニルケトン尿症患者の肝臓で代謝できないフェニルアラニンを血液中でチロシンへと代謝する。

*フェニルケトン尿症  
必須アミノ酸であるフェニルアラニンを同じくアミノ酸のチロシンに代謝する酵素が欠損するため、フェニルアラニンが体内に高濃度に蓄積する疾患。脳内の神経伝達物質の合成などに不具合が生じ、発達遅延や神経障害が生じる。フェニルアラニンはタンパク質に含まれるため、肉や魚などタンパク質を含む食べ物の摂取を強く制限する必要がある。

【湘南アイパークからのプレスリリースはこちら】

「アイパーク クラウドファンディング」 第 2 号プロジェクト、初期目標額を大幅に 上回る研究資金調達を達成して終了
https://www.shonan-health-innovation-park.com/siteassets/pdfs/news/201201news-release-incubation-cf-2nd-finished.pdf
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