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生命医科学研究科・塩澤亜希さん、日本生物物理学会年会で学生発表賞を受賞

2020.10.19
  • 大学からのお知らせ
  • 研究

血中の悪玉コレステロールを回収する低密度タンパク質受容体の機能について発表

大学院生命医科学研究科博士前期課程2年の塩澤亜希さん(指導教員:禾 晃和 准教授)が、2020年9月16日(水)~18日(金)にオンライン開催された第58回日本生物物理学会年会においてポスター発表を行い、学生発表賞に選出されました。
 
 
<受賞者>
生命医科学研究科 博士前期課程 2年 塩澤 亜希 さん 
 
<指導教員>
禾 晃和 准教授 
 
<発表演題>
「Biophysical analysis of pH-dependent conformational change of LDLR family members in ligand capture and release」
塩澤亜希さん
<発表内容>
私たちの細胞には「細胞表面受容体」と呼ばれるタンパク質が存在しており、細胞膜の上で細胞外からの信号を伝達したり、物質を取り込んだりする働きを担っています。その中でも本発表で研究対象とした低密度タンパク質受容体(Low-density lipoprotein receptor; LDLR)は、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLを血中から細胞内へ取り込みます。LDLRは血中LDL値を一定に保つ重要な役割を持っています。このLDLRは、周りの環境のpH変化を感知し構造変化を起こすことで、LDLとの結合と解離を制御していると考えられてきました。本発表で取り上げた研究では、分子の動いている様子をリアルタイムで観察するために、高速原子間力顕微鏡(High-speed atomic force microscopy: HS-AFM)を用いた実験を行い、pHの違いがLDLRの運動性にどのような影響を与えるかを検証しました。さらに近縁のタンパク質がLDLRと同様の性質を示すかどうかの比較も行いました。このように、脂質を取り込む際の受容体の動きを詳しく調べることで、LDLの取り込みがどのように調節されているかの理解が深まることともに、血中LDL濃度のバランスが崩れることによって生じる疾患の新たな治療戦略の開発にも繋がると期待されます。
 
 
 
<塩澤 亜希 さんのコメント>
数多くのポスター発表者の中から名誉ある賞をいただき、身に余る光栄に感謝の思いでいっぱいです。指導教員である禾晃和准教授、共同研究者の古寺哲幸教授、そして構造生物学研究室の皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
質疑応答のセッションではイメージング解析の専門家の方々から鋭いご指摘をいただき、まだまだ検証すべきことがたくさんあると痛感しました。現状に満足せず、今回の受賞を糧にこれからも実験に打ち込んでいきたいと考えています。


 
<指導教員の禾 晃和 准教授のコメント>
コロナ禍で研究活動が制限されてきた中での学生発表賞の受賞、本当によく頑張ったと思います。塩澤さんが学部3年生から修士課程2年生にいたる約3年、主体的に研究活動に取り組んできたことが、今回の受賞に結びついたと思います。今回の発表で取り上げた研究は、私自身も初めて取り組む研究手法を用いたものであり、塩澤さんの努力なくしては、受賞に至るような成果は挙がらなかったと思います。今後も研究を楽しむ気持ちを忘れず、さらに研究を発展させていってもらえればと思います。
 
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