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医学部医学科 中井 優作さんが、第255回日本循環器学会関東甲信越地方会において優秀賞を受賞しました。

2020.04.10
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医学部医学科 中井 優作さんが、第255回日本循環器学会関東甲信越地方会において優秀賞を受賞しました。

発表の様子
医学部医学科4年生 中井 優作さんが、2020年2月22日(土)ステーションコンファレンス東京で開催された、第255回日本循環器学会関東甲信越地方会において研究発表を行い、優秀賞を受賞しました。
中井さんは、2019年に研究実習リサーチ・クラークシップの一環で、本学医学部循環器・腎臓・高血圧内科学教室の田村 功一教授、上村 大輔助教、鈴木 徹医師の指導の元、取り組んだ研究について発表しました。一般演題とAwardセッションを含めて108演題という多くの、また大変レベルの高い演題が数多く発表された中、優秀な発表であると評価され受賞に至りました。 おめでとうございます!


受賞者
医学部医学科 4年生  中井 優作さん
指導教員 : 田村 功一教授

拡張期心不全の病態におけるRANKL/RANK/OPGシステムの役割

心不全症例の中でも収縮機能の保持された心不全(HfpEF※1)は、心不全患者全体の約半数いるとされ、その数は現在も増加しています。HFpEFに対する治療戦略はまだ確立しておらず、新しい治療ターゲットの発見が重要です。
私は4年次前期のリサーチクラークシップでRANKL/RANK/OPG※2の3つからなるシステムのHFpEFの病態における役割について研究してきました。
ダール食塩感受性ラットに6週齢から8%高食塩食を投与すると、13週齢で代償性に左室肥大を来たし19-21週齢で収縮機能が保持されたまま心不全を発症します。このモデルを用いて、代償性肥大期と心不全期に心エコーによる心機能や組織の評価、RANKL/RANK/OPGなど各項目のPCR※3によるmRNA※4の測定、ウェスタンブロッティング※5による蛋白発現量の評価を行いました。
学会では、自分が今まで行ってきた研究の結果と今後の研究の方向性について発表しました。
左から、循環器内科 上村大輔助教、学会長 自治医科大学附属さいたま医療センター 循環器内科 藤田英雄 教授、受賞者 中井優作さん、田村功一主任教授、一人おいて循環器内科 鈴木徹大学院生

中井 優作さんのコメント

このような栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。私は、4年次前期に本学の循環器・腎臓・高血圧内科学教室でリサーチ・クラークシップを行いました。リサーチ・クラークシップが終了した後も教室で引き続きご指導をいただき、研究を行ってきた結果が形として残ったことを嬉しく思います。循環器・腎臓・高血圧内科学教室の田村功一主任教授や涌井広道先生、上村大輔先生、鈴木徹先生をはじめとする先生方の熱心かつ丁寧なご指導無くしては、受賞には至りませんでした。この場をお借りして心より御礼申し上げます。
今回初めて学会発表を経験させていただきましたが、この受賞を励みとし、論文の執筆や海外での学会発表など新たな目標を見据えて今後とも努力してまいります。

指導教員 田村 功一教授からのコメント

循環器・腎臓・高血圧内科学教室は、内科学において心血管腎臓病分野(循環器内科学, 腎臓内科学)を担当しており、医学部4年次の3ヶ月間と、リサーチ・クラークシップ(期間の長い研究実習) にも力を入れており、また、当教室のリサーチ・クラークシップの評判も高く、希望される医学生も多いと聞いています。
リサーチ・クラークシップでの研究成果の学会発表も推奨しており、これまでに多くの医学生に、日本内科学会関東地方会、日本循環器学会関東甲信越地方会、日本腎臓学会総会、日本高血圧学会総会、日本心血管内分泌代謝学会総会などにおいて研究成果発表をしていただいています。本件の日本循環器学会関東甲信越地方会は、学会を9つに分けた各地方会の中でも会員数9,000名を超える最大の地方会です。本地方会には内科および外科を含む毎回1,000名以上の循環器専門医も参加し、基礎から臨床に亘る幅広い研究成果や症例報告の発表と活発な討論が展開されます。そのような場において、今回中井優作さんが本学の誇る研究実習であるリサーチ・クラークシップでの研究成果を立派に発表し優秀賞を受賞したことは、当教室が一体となって推進している教育・診療・研究に対する先進的な取り組みが循環器学会からも高い評価を得ている証であり、また本学のプレゼンス向上にも貢献するものと考えます。2021年2月13日(土)には、私が第259回日本循環器学会関東甲信越地方会(東京)の会長を務める予定でもあり、さらに多くの本学医学生に発表いただけるようにと思っております。当教室では、今回の受賞も励みに、今後もより一層の努力を重ねていく所存です。
[注釈]
※1 HFpEF:主に拡張不全と呼ばれていた病態で、左室拡張機能障害に起因する心不全。
※2 RANKL/RANK/OPG:RANKLは破骨細胞前駆細胞上の受容体RANKと結合することで破骨細胞の分化と活性化に必須の細胞内シグナルを伝達する。一方OPGは可溶性デコイ受容体としてRANKLの作用を阻害する。このRANKL/RANK/OPGシステムは骨吸収の程度を決定する中心的な制御機構であり骨疾患の有用な治療標的として期待されている。
※3 PCR:ごく少量の DNA を大量に複製する手法。分子進化学の研究や犯罪捜査などに活用される。
※4 mRNA:DNAからコピーされた遺伝情報に従い、タンパク質を合成する。
※5 ウェスタンブロッティング:実験的に特定のタンパク質を検出する手法で、タンパク質をナイロンなどの膜に写し取り、その後に標識した特異抗体でタンパク質の存在を検出する方法。  
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ウィキペディア他より)
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