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データサイエンスの未来を創造する祭典WiDS Tokyo @ Yokohama City Universityを開催!

2019.03.22
  • TOPICS
  • 教育

超スマート社会をリードする次世代のデータサイエンティスト育成に向けたシンポジウムとアイディア・チャレンジ!

横浜市立大学は、平成31年3月22日(金)にWiDS TOKYO @ Yokohama City UniversityをJR新宿ミライナタワーにて開催しました。
 
WiDSとは、Women in Data Scienceの略で、米国スタンフォード大学が中心となって進めている世界的な活動です。超スマート社会の担い手となるデータサイエンス人材を育成することを目的として世界各地でWiDSを冠した地域イベントが開催されており、これもそのひとつに位置づけられるものです。このイベントでは、女性データサイエンティストによるシンポジウム及びアイディア・チャレンジを行い、最新事例の発表や討論を通じて、次世代を担うデータサイエンス分野で活躍する人材の育成促進を目指します。
約250名がシンポジウムに参加。(右)小野陽子准教授

【第一部】データサイエンスの現在地は —シンポジウム&パネルディスカッション

働く現場でデータを活用する女性からの実例紹介、パネル討論でデータサイエンスを考える

第一部のシンポジウムでは、来賓挨拶、個別発表、パネル討論が行われました。来賓の文部科学省大臣官房審議官渡辺その子氏が、超スマート社会におけるデータサイエンス人材など未来に求められる人材について話をされたのち、渡辺美智子氏(慶應義塾大学教授)、向坂真弓氏(株式会社サイバーエージェント)、白川貴久子氏(株式会社NTTドコモ)らが個別発表。それぞれの立場から、データサイエンス人材育成の現状やデータ活用事例を紹介していただきました。
左から渡辺美智子氏(慶應義塾大学教授)、向坂真弓氏(株式会社サイバーエージェント)、白川貴久子氏(株式会社NTTドコモ)
さらに第一部の後半では、WiDSアンバサダーである本学データサイエンス学部の小野陽子准教授がオーガナイザーとなり、個別発表された3名とWiDSステアリングコミティ委員によるパネルディスカッションを実施しました。ディスカッションは、本シンポジウムの目的を踏まえ、「データサイエンスとは何だろう?」「データサイエンスの分野に、性別に関係なく多くの人材をいざなうためには、どうしたらよいか。課題は何か」「SDGsとデータサイエンティスト」について討論を行い、活発な意見交換が行われました。
 
「データサイエンスとは何か」についての討論では、最初に渡辺氏から「すべての人が身に付けるべき素養であり、物事を客観的な指標で捉え、それを価値に結びつける価値創造の営みである」という考えが示されました。また、人事部門に所属し、データを活用した人事管理を行っている向坂氏は、「人間の意思決定をデータでサポートしていくこと」と述べ、実際にデータを活用し、マーケティングを行っている白川氏は「サイエンス(科学)は人の役に立つものであると考えると、データサイエンスも人の役に立つものであり、ダイバーシティの観点から共通言語として認識されるもの」といった見解を示しました。これらの発言からも「データサイエンス」が多様な価値を持つものであり、かつ新たな社会における可能性を持つものだということがわかりました。またステアリングコミティ委員の大西氏は、小学生のじゃんけんを一例に、勝った子は「相手の子の肩に力が入るとグーを出すことが多い」という客観的事実や統計データに基づいて勝負をしていたという事例を紹介し、データサイエンスがどんな年代でも利用できる解決ツールであり、かつ最も身近にあるファクトを使って課題を解決し、付加価値をつけていくものである、と印象深いコメントをされました。

【第二部】「新しい働き方」をテーマにアイディア競争!  データから分かる実態を元に提案発表!

「主婦」「介護」「息抜き」「休み改革」などをキーワードに学生、社会人の視点から面白い発想、解決法を提示。

第二部では、「アイディア・チャレンジ2019 WiDS TOKYO@YCU」の最終審査および結果発表が行われました。このアイディア・チャレンジでは、「新しい働き方」をテーマに一般の部、学生の部を設け、「データを活用した次世代の新しい働き方」を募集。そして、応募のあったチームの中から、事前審査を通過した各部門3チーム、計6チームがプレゼンテーションを行い、質疑応答を経て選考される最終審査に臨みました。
 
その結果、学生の部では横浜市立大学データサイエンス学部の女子学生チームによる、「37,420,000パターン~新しい時代の働き方~」が見事、最優秀賞を獲得。子育てと両立したこれからの女性の働き方について、「働くお母さん」という明確なターゲットを設定し、ターゲットがおかれている現状分析を綿密に行った上で、数多くの提案及びそれを実現するためのツールや方法を、具体性を持って提示していた点が認められての受賞となりました。また、一般の部では全日空商事株式会社のチームが提案した「トイレと頭の回転率を上げよう!~トイレの利用データから考えた新しいオフィスでの息抜き方~」が最優秀賞を受賞。いずれもデータを活用することで得られる知見や事実をもとに、より人々が働きやすい環境やシステムを目指す提案であり、参加者の関心を引くプレゼンテーションでした。

最優秀賞チームのコメント

学生の部

横浜市立大学

「このような機会をいただきありがとうございます。発表の準備の中で働くこととは何かを考えたこと、調べたことが良い経験になりました。」「準備期間が短く不安な面もありましたが、このような場で発表出来たことが大変良い経験になりました。」

 

一般の部

全日空商事

「チャレンジの場をご用意いただいた皆様に感謝申し上げます。普段、データを見るような業務をしているわけではありませんが、このチャレンジへの参加から何か使えるデータはないか?と模索したことが今回の提案につながりました」「今回取り上げた社内のトイレ利用状況閲覧サービスは、このアイディア・チャレンジがなければただの便利なサービスに留まっていましたが、そのデータを利用することで新たな働き方を提案できたことからデータサイエンスの可能性に気づかされました。」

WiDSの活動を通じてデータサイエンスの発展に寄与していく

今回のイベントを通して改めて「データサイエンス」がもつ次世代への可能性に大きな期待が寄せられていることが伺えました。
ステアリングコミティ委員からは、「今回のイベントをきっかけに、参加者の皆さんにとって新しいことにチャレンジする、データに着目してアイディアを考えるきっかけになってほしい。」とデータサイエンスに一歩を踏み出す契機になればと期待のコメントがありました。さらに「WiDSの活動がダイバーシティや多様性の象徴であるように、データサイエンスも既存の考え方にとらわれず、男女、国内外問わず発展していくべきものであり、ポテンシャルがある方がこのような活動に参加していくことが発展性、創造性につながり、イノベーションが起きていくと思っている」とこのイベントが今後益々発展していくことを願う声を聴くことができました。
最後にWiDSアンバサダーの小野准教授が「WiDSの活動はこれがスタートであり、継続していきます。そして、今後もこの活動に皆さんにご協力いただきたい」とイベントを締めくくりました。
WiDSアンバサダー 
WiDSアンバサダーは、WiDSの地域大会の企画・実施およびデータサイエンティストの活動全般をサポートする役割を担う者として、米国スタンフォード大学より任命されるものです。本学データサイエンス学部の小野准教授は、日本国内で初めてWiDSのアンバサダーに就任し、産官学による連携のもと、WiDSを冠した本シンポジウムおよびアイディア・チャレンジの企画・実施等の活動を行います。
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