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ピロリ菌感染のリスク啓発と自己検査ができる若年者向けスマートフォンアプリを開発

2019.01.15
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ピロリ菌感染のリスク啓発と自己検査ができる若年者向けスマートフォンアプリを開発

横浜市立大学附属病院消化器内科の須江聡一郎助教らの研究グループは、若年者を対象としたヘリコバクターピロリ菌(以下、ピロリ菌)に対する予防啓発と検査ができるスマートフォンアプリを開発しました。これにより若年層に疾病に関する知識を得てもらうとともに、2019年の横浜市内の新成人を対象に、アプリ内のクイズ解答者の中から400名にピロリ菌自己検査キットを提供するキャンペーン事業を実施します。
ピロリ菌感染は日本人の国民病である胃がんの大きな発生要因の一つであると言われています。一方で、若年時から除菌を行うことでそのリスクの軽減が可能であることから、早期に感染に関する理解と検査、治療を行うことが、胃がん予防に有効です。
 
本事業は横浜市リーディング事業助成金制度(トライアル助成)※に採択されており、将来的には産業界とも連携し、産・官・学連携事業として、疾病の啓発・予防・治療に結びつくライフイノベーションを実現する構想です。

今回の無料検査キットを提供するキャンペーンでは、本アプリをダウンロードした者のうち、横浜市内の新成人を対象に無料のピロリ菌検査キットを配布します。アプリ内のクイズに正答した該当者で検査キットを希望する人の中から抽選で400名に同キットを提供。当選者は尿を用いた試験紙での検査を行い、試験紙の画像をアプリに取り込むことで検査結果がアプリで送信され、医師の判定によりアプリ上でピロリ菌の感染の有無に関する評価を知ることができます。

<無料ピロリ菌検査キット配布キャンペーンの概要>

■期 間: 2019 年1月14日(月)から1月31 日(木)まで
■対象者: 横浜市の新成人(2018 年4 月1 日より2019 年3 月末に20 歳・アプリの入手は誰でも可)
■アプリ入手方法: https://ycugastro.com/lip_py/ より入手
■費 用: 無 料
■実施の手順:  
○ユーザーはアプリ内のクイズに解答、正答したユーザーはアプリ上で無料検査キットに応募
○対象者であることをアプリ上で確認(アプリの画像取り込み機能による)
○当選したユーザーに無料検査キットが送られる
○無料検査キットにより自己検査。尿の試験紙を撮影しその画像を送信
○送られた画像をもとに医師が診断、医師による診断の結果をユーザーに通知

【参考】

<ヘリコバクターピロリ菌とは>

ピロリ菌は日本人の約半数の人が感染していると言われ、感染すると胃粘膜を傷つけ、胃炎や胃潰瘍、また胃がんをも引き起こす細菌と言われています。このピロリ菌は、病気を引き起こしていない段階で除菌することで胃の病気の発生を抑えることができるため、それらの啓発活動を若い世代に行うことにより、病気を予防することができます。

<横浜市リーディング事業助成金(トライアル助成)とは>

横浜市リーディング事業助成金(トライアル助成)は、経済の活性化や高齢社会の課題解決、市民の健康増進につながるライフイノベーションを推進することを目的とし、健康・医療分野のイノベーションを持続的に創出するという、「LIP.横浜(横浜ライフイノベーションプラットフォーム)」の事業趣旨に沿って、横浜市内の大学、研究機関及び企業等により実施される産学連携事業の創出及び推進に向けた研究開発事業を支援するものです。

<横浜市立大学のピロリ菌に関する研究>

事業実施責任者である須江聡一郎助教は、ヘリコバクターピロリ菌のメカニズムやピロリ菌除菌の臨床研究を専門に、若年者におけるヘリコバクターピロリ菌対策に積極的に取り組んでいます。ヘリコバクターピロリ・胃発癌に関した研究で2017年消化器病学会奨励賞受賞、他施設共同RCTの研究責任者を務め論文発表を行うなどの業績の他、平成29年度には神奈川県・大学発政策提案制度で「神奈川県の若年者におけるヘリコバクターピロリ感染症対策のモデル事業」が採択されています。
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