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女優、五大路子氏、横浜ローザに見る女性像を語る

2018.08.03
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女優、五大路子氏、横浜ローザに見る女性像を語る

 平成30年7月23日(月)、総合講義「現代社会とジェンダー」の最終講義に、女優で横浜夢座の座長を務める、五大路子氏が登壇しました。テーマは、ご自身が21年もの間、ひとり芝居で演じ続けている「横浜ローザ」という演目のモチーフとなった娼婦について。「ハマのメリーさん」と呼ばれたアメリカ兵相手の娼婦は、84歳で亡くなるまで、顔を白塗りにし、街角に立ち続けたと言います。その衝撃的な娼婦像に、日本人が受けた戦後史を重ね、舞台で演じ続けている五大氏。講義は、舞台シーンとともに、NY公演での観客のコメントなどを織り交ぜ、五大氏を紹介したテレビ番組の放映と、五大氏の迫力ある講話で、通常の授業とは一味違った進行となりました。

 五大氏は、高校生時代に演劇講座に触れ、「自分に湧き上がったイメージを大切にすること」、「感じたことを1ミリもずらさずにとらえ、思い、深めること」を学び、自分を信じる力をもらって演劇の道に進んだのだと語ります。その後、女優として活躍する中で、身体の故障でテレビや舞台が全て降板となった苦悩の時期を迎え、「私にしかできないことをやりたい」という思いに駆られたという五大氏。メリーさんと出会い、実際に握手を交わしたその時から、ライフワークともいえる演目「横浜ローザ」の現在に至るまで、取材を重ねては想像を広げ、舞台に反映。中でも「戦争に勝っても負けても、女はいつでもどこでも一緒」というフレーズに、戦後の女性の哀しい姿が映し出されます。それでも立ち上がり、あきらめずに進んでいくローザの姿は、多くの観客に感動を与えてきました。
  学生からは、「ローザという演劇に、強いメッセージ性を感じた」「インパクトがあり、衝撃的な内容だった」といった感想とともに、この演目が一人芝居である理由や五大氏を突き動かすものは何かと質問が相次ぎ、「生きるって何か? 自分って何か?」と常に問いかけ続ける、どこまでも熱い女優魂に興味は尽きないようす。また、日頃考えることのない戦争というテーマに改めて向き合い、大いに刺激とヒントをもらったようです。
最後、五大氏は、こういった若者の声を聞いて、また舞台に取り入れるつもりだと話してくれました。こうした活動を続けながら、さらに「横浜ローザ」を進化させていく勢いの五大氏。長年、ひとりの女性を演じる一途さと探究心に脱帽した講義でした。

五大路子(ごだいみちこ) 女優、横浜夢座座長。神奈川県横浜市出身。桐朋学園演劇科に学び、早稲田小劇場を経て新国劇へ。NHK朝の連続テレビ小説「いちばん星」で主役デビュー。新国劇退団後も多数のテレビや舞台に出演して現在に至る。1999年自身が座長となり横浜夢座を旗揚げ。2015年「横浜ローザ」のニューヨーク公演を行い、ニューヨークタイムスに劇評が掲載されるなど、好評を博す。

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