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アジア動物実験代替法学会2016で小島研究室の学生がYoung Scientist Awardを受賞!

2016.12.08
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  • 学生の活躍

アジア動物実験代替法学会2016で小島研究室の学生がYoung Scientist Awardを受賞!

平成28年11月16日、唐津市民会館で開催された国際学会において、大学院生命ナノシステム科学研究科博士後期課程1年に所属する田尾文哉さんがYoung Scientist Award (若手科学者賞)を受賞しました。
国際シンポジウムAsian Congress on Alternatives and Animal Use in the Life Science 2016 (アジア動物実験代替法学会2016)は第29回 動物実験代替法学会との合同開催です。本学会では、動物実験の適切な施工の国際原則である3Rs (動物を用いない代替実験へ移行する・動物使用数を削減する・動物への苦痛を減らす)の推進と普及を目的に開催され、研究者や学生が一同に会し代替法に関する最先端の研究成果について報告が行われました。
本賞は、35歳以下の若手研究者から3名が選ばれ、田尾文哉さんは日本人で唯一の受賞です。
小島伸彦研究室では、実際の生体機能や生体構造を備えた3次元的なミニチュア臓器を、試験管内でつくる研究を行っています。従来の3次元細胞培養技術の一つであるスフェロイドは、複数の細胞を団子状に凝集させただけのものでした。しかし、試験管内で我々の生体内に存在する臓器を構築するためには、実際の臓器と同様の細胞配列や微小環境を再現する必要があります。同研究室では、種々の臓器設計技術を駆使して、生体に類似した微細構造を持つ臓器・組織の構築法を開発しています。
受賞の対象となった発表タイトルは、「The effect on cellular function and microstructures of hepatic spheroids by using a novel method for loading ECM thin layer into spheroid (新規ECM薄層充填技術がもたらす肝スフェロイドの細胞機能及び微細構造への効果)」です。本研究は、我々の組織に存在している細胞外マトリクス (ECM)を試験管内で再構築したスフェロイド内部に充填し、スフェロイドの細胞機能や微細構造を制御する方法に関するものです。
具体的には、肝細胞を懸濁した細胞培養液にECMを低濃度で分散し、高分子であるメチルセルロースを含む培地に吐出することで、スフェロイド内部にECMを薄層充填する技術を開発しました。種々のECMをスフェロイド内部に充填してアッセイを行ったところ、ECMの種類によってスフェロイドの細胞機能や微細構造が制御できることを示しました。今回発表した技術は、さらなる応用法の開発が期待されます。
 

小島伸彦准教授のコメント

今回受賞した研究課題は、小島研究室の田尾文哉(生命ナノシステム科学研究科博士後期課程1年)が研究を行った成果です。
国際シンポジウム アジア動物実験代替法学会2016は、アジア全域における動物実験代替法研究の推進と連携強化を目的に、代替法の最先端の研究成果をはじめ、代替法に関わる理論、技術、研究対象などについての発表討論が行われる場です。
3次元培養の一つであるスフェロイド作製のための新規技術開発は、再生医療や創薬の分野での要望が非常に高まっています。今回の受賞は、本研究の遂行により得られる成果に対する期待の表れだと捉えています。
今後も学生と共に研究を深化させ、さらなる臓器設計技術の開発に取り組んでまいります。
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