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【活躍する市大生】「病理学夏の学校 in Gifu 2016」でMost Impressive Student賞を受賞した松元加奈さん

2016.10.04
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  • 学生の活躍

平成28年8月20日(土)・21日(日)に開催された「病理夏の学校 in Gifu 2016」で、医学部医学科3年の松元加奈さんがMost Impressive Student賞を受賞しました。受賞について松元さんにお話を伺いました。 

今回の学会では、どのような内容を発表されたのでしょうか?また、どのような点が今回の受賞につながったのでしょうか?

『病理夏の学校』では学生や研修医が事前に提示されたテーマに基づき、班別に症例解析結果を発表し合いました。事前に提示されたテーマは、40代男性が胸腺腫再発を契機として、下痢を主とした消化管症状、皮膚症状、肝症状を呈し、脳梗塞と敗血症によって死に至るという症例で、私は胸腺腫との関連性からThymoma-associated multiorgan autoimmunity(TAMA)の発症を考えました。TAMAとは、骨髄移植や輸血などの既往なしに胸腺腫にGVHD(移植片対宿主病)様の皮膚症状・肝障害・腸炎を発症し、胸腺腫の切除不能例や術後再発・転移を背景に持つ非常に予後が悪い疾患です。今回の症例も胸腺腫再発により死亡しており、病理像もGVHDと似ていることから、一致する点が多いと考えました。私は今回の症例はTAMAの可能性が高いとした上で、TAMAの発生機序や診断基準の疑問を述べるスライドを事前に作成しました。

当日、私は積極的に議論に参加することを意識し、一日目と二日目の両日共に班の報告者として発表させていただきました。そして一日目の終わりに行われた交流会では岐阜大学の先生方に自分が作成したスライドを見ていただく機会にも恵まれ、そこで予習で生じた疑問に対して先生の考えを伺うことができ、多くを学びました。このような積極性が評価されたのか、参加者の記憶に残る学生としてMost Impressive Studentに選んでいただきました。

今回の学会に参加することになった経緯や、参加された際の感想、エピソード等あれば、お聞かせください。

3年生から始まった病理学の授業を通して病気の診断や機序に興味を抱いていたところ、今回指導してくださった古屋充子先生から、学生や研修医が集まって意見を交換し合う『病理夏の学校』があると聞き、自分の医学に対する理解と興味を深めるべく参加しました。今回の『病理夏の学校 in Gifu 2016』を通して、多くのことを学ぶことができました。特に岐阜大学の先生から教えていただいた病理診断における次の三つのポイントがとても心に残っています。

  1. 幅広い知識が不可欠であること
  2. 標本をしっかり見ること
  3. これらの情報を基に丁寧に推論すること

今回の病理学校を通じて、自分の知識量の不足と標本を見る力がまだ足りないことを痛感し、またこれら三つを全て兼ね備えることがいかに重要であるかを知りました。

参加にあたって、事前準備など特に意識した点や工夫した点があれば、お聞かせください。また、苦労した点と、それをどのように乗り越えられたかも教えてください。

事前に学んだことをしっかりアピールし、議論に積極的に参加することを強く意識しました。はじめは大学院生など自分より知識が豊富な方との話し合いに積極的に発言することにためらいを覚えましたが、胸腺腫や自己免疫疾患について事前に自分が学習したことや、病理像や疾患の可能性について先生方に教えていただいたことが自信となり、積極的に議論に参加できたことが、今回の受賞につながったと思います。

受賞された際の研究室の皆さんや先生の反応はいかがでしたか?

丁寧に指導していただいた古屋充子先生、江中牧子先生をはじめとする分子病理学の先生方からたくさんのお祝いの言葉をいただき、とても嬉しく、また参加してよかったと心から思いました。先生方のおかげで受賞に至りましたので、本当に感謝しております。ありがとうございました。

研究室では普段どのような研究・勉強をされているのでしょうか?

「病理夏の学校」をきっかけとして研究室で勉強し始めたので、これから今後の方針を考えていきたいと思います。 

松元さんの将来の夢や、目標を教えてください。

私は3年生ということもあり、まだ明確な目標は決まっていませんが、様々な分野に興味を持ちながら医学を学び、自分自身の知識と経験を高めつつ将来の医学研究に貢献できればと考えています。

古屋充子准教授(分子病理学)から松元さんの受賞についてコメントをお願いします。

「病理夏の学校」は医学部生、研修医、専攻医、大学院生を対象とした日本病理学会の研修イベントです。松元さんは、私が担当した基礎病理学婦人科臓器の実習で最も優れたレポートを作成したので、推薦参加することになりました。夏休み期間中にもかかわらず教室に通い詰めて、夜遅くまで課題に真剣に取り組んでいました。学習力もさることながら、議論やプレゼン能力にも秀でており、初参加ながら成果をいかんなく発揮できたと思います。全国から参加した医学生らの追随を許さず堂々の受賞だったようで、主催者の岐阜大学医学部附属病院病理診断科・宮崎龍彦教授から「ausgezeichnet!!(素晴らしい!!)」という賛辞もいただきました。この経験を生かして今後もよく学び、多くの経験を重ねて立派な医師になってほしいと願っています。
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