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臓器再生医学の研究グループがヒトiPS細胞から臓器を作製する詳細な手法を発表

2014.01.28
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臓器再生医学の研究グループがヒトiPS細胞から臓器を作製する詳細な手法を発表

最適な培養方法・移植手法を見出すことに成功~『Nature Protocols』に掲載~

横浜市立大学 大学院医学研究科 臓器再生医学 武部貴則准教授、谷口英樹教授らの研究グループは、これまでに試験管内においてヒト *1 iPS細胞から立体的な肝臓の原基(肝臓のたね、肝芽)が自律的に誘導できること、さらにこのヒト肝臓の原基を生体内へ移植するとヒト血管網を持つ機能的な肝臓へと成長し、最終的に治療効果が発揮されることを明らかにしています。
本論文では、研究グループらが世界で初めて確立した、iPS細胞からヒト肝臓原基を試験管内で誘導する方法、および、それらを移植することにより機能的な臓器を得る方法に至るまでの *2 プロトコールを詳細に記述しました。さらに、新たな移植部位やその詳細な手技を検討することにより、最適な移植手法を見出すことに成功しました。今後、本研究グループにおける再生医療研究が加速するのみならず、国内外の多くの研究者が本技術を利用することにより、iPS細胞を用いた臓器再生研究がますます広がることが強く期待されます。

<図1 ヒトiPS細胞由来肝臓原基(“臓器のたね”)の誘導>
※ 本研究は、独立行政法人科学技術振興機構 、再生医療実現拠点ネットワークプログラム(拠点長:谷口 英樹)、研究成果展開事業 戦略的イノベーション創出推進プログラム(プロジェクトマネージャー:谷口 英樹)、文部科学省・科研費 新学術領域研究「バイオアセンブラ」(代表:武部貴則)、文部科学省・科研費若手研究A(代表:武部貴則)などの助成により行われました。
 なお、本学においては「学長裁量事業(戦略的研究推進費)」のひとつに位置付けられており、先端医科学研究センターの研究開発プロジェクトユニットが推進しています。

(注釈)
*1 iPS細胞:体細胞に特定因子を導入することにより樹立される、ES細胞に類似した多能性幹細胞。2006年に山中教授の研究グループにより世界で初めてマウス体細胞を用いて樹立成功が報告された。2007年にヒトiPS細胞樹立成功が発表されている。
*2 プロトコール:誰もが同じ実験を確実に実行するために、実験の手順や条件等をまとめて記述した記録。
<図2 ヒトiPS細胞由来肝臓の作製法 (a) 試験管内でのヒト肝臓原基の誘導法 (b) 試験管内で誘導したヒト肝臓原基のさまざまな部位への移植>

お問い合わせ先

(本資料の内容に関するお問い合わせ)
○公立大学法人横浜市立大学 大学院医学研究科 臓器再生医学 谷口 英樹、武部 貴則
                TEL:045-787-2672 FAX:045-787-8963
                E-mail:rtanigu@med.yokohama-cu.ac.jp(谷口)
                      ttakebe@med.yokohama-cu.ac.jp(武部)

(取材対応窓口、詳細の資料請求など)
○公立大学法人 横浜市立大学 先端医科学研究課長 立石 建
                TEL:045-787-2527
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