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精神・神経疾患分野で世界初の研究成果を挙げた医師と、国内でも数少ない周麻酔期看護師として医療の最前線で活躍する卒業生たちをご紹介!

今回はYCU医学部を卒業して活躍する二名の医療人をご紹介します。ひとりは精神・神経疾患の分野で革新的な研究成果を挙げ続け、海外展開にも精力的に携わる宮﨑智之准教授。もうひとりは国内でもまだまだ珍しい、YCUの周麻酔期看護学修士課程を修了し、数少ない周麻酔期看護師として活躍する大山亜希子さん。そんなおふたりに現在の業務や、学生時代の経験についてインタビューしました!

精神・神経疾患の診断から治療までを、より適確に行える世界の実現に向けて

横浜市立大学医学部
生理学/麻酔科学・准教授

宮﨑みやざき 智之 ともゆき さん

医学部 医学科 2004年 卒業

現在の主な業務内容ついて、教えてください。

端的に言うと、脳や心の病気を可視化できる診断薬の開発を行っています。例えば、うつ病、統合失調症などは心や脳の病なので目に見えず、その症状でしか診断することができませんでした。さらに、過労やストレスなど外的因子によるものなのか、元々の脳の異常など内的因子によるものなのか、病気の背景にある原因は人それぞれで、正確な診断を行うのは非常に困難でした。そこで、研究を進めていくにつれ、精神・神経疾患の発症には脳内の “AMPA受容体” という物質の量がポイントであることがわかり、患者さんの脳内でAMPA受容体の量を測定できる放射性診断薬(PET薬剤)の開発に世界で初めて成功しました。 現在、AMPA受容体の量を抑制する薬はすでに存在するので、製薬会社などの研究機関とAMPA受容体量を向上させる薬の研究開発にも携わっています。

業務のなかで心がけていることなどはありますか?

さまざまな組織と共同研究等を行っていて、関係者は数百人にのぼります。それぞれの立場やニーズがあるので、みんなにメリットがあるように、そしてなるべくデメリットを減らせるようにうまくチームをまわしていくことを心がけていますね。協力者がメリットを感じられるような体制づくりが重要だと思っています。

欧米での取り組みなどがあれば、可能な範囲で教えてください。

少し前に発表したAMPA PET薬剤の論文は世界的な反響があり、生命・医療分野の研究で世界トップクラスの先生から、我々の技術を欧米に導入したいと連絡をいただきました。今はオンライン会議などを通して、我々の技術をどうやって導入するか詰めており、いくつかは具体的な締結に向けて動いているところです。 また、PETの診断薬は欧米でもよく使われているため、PET薬剤を使った臨床研究をサポートする会社が海外欧米にもいくつかあります。医療機関だけでなく、欧米企業から商業ベースとして導入したいという連絡もいただいており、ここから3~5年くらいをかけて海外展開を進めていけば、10年後には日本ならびに欧米でも普及するのではないかと思っています。

米国でのAMPA-PET施設立ち上げミーティングのため NYU stoony brook univ hosp を訪問。

学長表彰(2018年)をいただいた際に、集中治療部の髙木先生、窪田学長(当時)と記念撮影。

今後の目標などについて教えてください。

前述の通り、精神疾患では、例えばがんのように検査で原因物質を同定して治療する、ということができませんでした。治療法がわからないので、その患者さんに効く薬が見つかるまでさまざまな薬を使用し、そのうちに症状がどんどん悪化するケースも珍しくありません。それは患者さんの負担になるだけでなく、医療経済的にも大きな負担となります。それが我々の研究成果でどう改善されるのか、まずはこの研究が社会に寄与するシナリオをつくって発信していくことが当面の目標となります。各関係者にご協力いただき、そのための下支えとなるデータを取っている真っ最中です。そのデータがまとまれば、臨床研究・治験とステップを経て、薬剤を実際の臨床の現場で使えるようになると思っています。

趣味やリフレッシュに行っていることなどはありますか?

学生の頃から身体のメンテナンスをかねて趣味レベルで走ったり泳いだりはしていたのですが、自転車好きの人に出会ったことをきかっけに、7年くらい前からトライアスロンに挑戦しています。約20~30キロの道のりを走ったり自転車で通勤したりすることもあります。今は新型コロナウイルス感染症の影響で大会もほとんど中止になっていますが、それ以前は年間で4,5回出場することもありました。

佐渡国際トライアスロン完走後に参加者たちと。

生理・薬理の合同チームで駅伝に参加しました。

学生時代で印象に残っている出来事はありますか?

学業以外でいうと、金沢八景キャンパスの管弦楽団に所属していたので、その思い出がたくさんありますね。メンバーはほとんど他学部生だったのですが、当時の部員たちとは今でも親交があり、みんな他業種に就いているので話していておもしろいです。5年次の時には福浦で新たに管弦楽部をつくり、YCUの学生だけでなく他大学からもメンバーを集め、自分たちだけで東京のコンサートホールを借りて演奏会をやったり、インディーズでCDをつくったりもしました。ある程度カタチができているところに参加するよりは、自分でイチからつくっていくのが好きだったこともあり、なかなかおもしろい経験でしたね。

YCUの良いところや、学生時代の経験で現在に生きていることがあれば教えてください。

他学部生とも交流する機会が多く、今でもその繋がりがあって、さまざまな情報をもらうことができます。医学科の同期たちは今では大学で主要な仕事をしているため、電話一本かけて相互に協力しやすい環境です。それだけでなく、職員と医療従事者との距離も近いのでやり取りもスムーズに行え、コンパクトでアットホームな大学ならではのメリットが多いですね。 また、学生時代のチームづくりの経験は現在にも生かされていて、障壁になりそうなことに対する嗅覚が身に付きましたし、みんなのメリットを考え目標に向かってチームを調整していく重要性も学びました。

高校生や受験生に向けて、メッセージをお願いいたします!

YCUには世界に発信できるコアな技術が豊富にあり、研究体制・環境の土台がしっかりしています。医学科でいうと、研究や臨床の外部ネットワークも充実しているため、その多くの選択肢を活用することで、ある一定の要求に応えてくれる大学だと思います。一方で、臨床や研究だけでなく、これからの時代はIT系や法律、ガイドラインをつくるような役割なども、ある程度臨床経験を経た医師が行うことが望ましいケースも多くなり、医学・医療に関わって活躍できる場は今後ますます広がっていくと思います。 みなさんには、大学に入って何を学び、大学を卒業して将来どうなっていたいのか、ある程度見据えて進路を選択して欲しいです。いろんな情報を集めて自分がどういう将来像を描くのか、改めて考える機会を設けてみてください。そうすることでより実りの多い時間を過ごすことができると思いますよ。

病院と大学間での連携が強く、将来の選択肢が幅広く整う環境

横浜市立大学附属病院
周麻酔期看護師

大山おおやま 亜希子 あきこ  さん

・医学部 看護学科 2011年 卒業
・医学研究科 看護学専攻 周麻酔期看護学分野※ 2018年 修了

※2016年に看護生命科学分野の中に設置された「周麻酔期看護学」が、2017年に「周麻酔期看護学分野」として独立。全国で周麻酔期看護学を設けている大学院は、まだ少ない。

現在の主な業務内容ついて、教えてください。
勤務中の様子

現在の主な業務は、手術の前、手術中、手術後を含めた患者さんの麻酔管理と、麻酔科術前外来における予診・診察です。具体的には、麻酔科医とペアになり、患者さんが手術に耐えられるかどうかなど手術前の診察を行い、麻酔の計画を立てて、手術当日は挿管や患者さんのバイタル保持、投薬などを行います。手術後は患者さんの状態の確認や疼痛コントロールを行います。このように、麻酔科医と同じような業務を行う看護師の役割が日本で開始されたのは割と最近で、周麻酔期看護師の数は国内では20人にも満たないと聞いています(2020年4月時点)。 臨床の他にも、論文を書いて学会発表なども行っています。医師とほぼ同じようなことやっているので、自分の成果や実績を出していかないとなかなか認められません。論文の内容はまだちょっとオープンにはできないのですが、医学について学びの多い日々を過ごしていますね。

周麻酔期看護師を目指した経緯や理由について、教えてください。

学部卒業後は横浜市立大学附属病院で手術室看護師として5年間働いていました。3年くらい過ぎた頃、手術室看護師としてできることが増えてきた一方で、医療の面で知りたいと思うことも増えてきました。たまたま手術室看護師の先輩が日本で最初に開設された周麻酔期看護学分野の大学院に進学し、実習で戻ってきた時に、医師と同じ視点で麻酔管理の方針を考え、意見交換をしていた姿がとても印象的で、勉強してみたくなりました。先輩や医師に話を聞くと、「翌年度にYCUでもその課程が開設されるので挑戦してみませんか」と声をかけてもらえたので、せっかくの機会だと進学を決意しました。

業務の中で心がけていることなどはありますか?

気道系の管理や薬の投与など、命に直結することが周麻酔期看護師の業務のため、手術室看護師だった時よりもさらに責任は重くなったと感じます。手術中は患者さんの意識がない状態なので、安全を保つため常に緊張感を持つように気を付けています。一瞬で状況が変わることもあるため、何かあった時にすぐに気づけるように気を張っていますね。 修士課程を修了して3年目になりますが、知識や技術の面でまだまだだと思うことは多々あります。知識に関しては、その日その日で新たなことに出会うので、医師に訊いたり調べたりして、次に生かせるように心がけています。

今後の目標などについて教えてください。

今はとにかく知識や技術をもっともっと磨いていきたいです。日々の業務の中で研鑽を重ねることが一番の近道だと思うので、レベルアップできるよう毎日奮闘しています。あとは、せっかくYCUに周麻酔期看護学の大学院ができたので、これからさらに志願者が増えるような働きかけをしていければいいなと思っています。

YCU看護学科に入学した理由や経緯について、教えてください。

幼少期はやんちゃ?でケガをすることが多く、病院にはよくお世話になりました。そんな経験から、将来は漠然と医療系の仕事に就ければいいかな、くらいに考えていました。大学受験期も、看護学科を強く志望していたというわけではなく、広く医療系の分野を探していました。浪人中、YCUの理学部に入学した高校の同級生から、和やかな雰囲気で授業も面白いという話を聞いていました。実際にオープンキャンパスに参加した際に、自由な校風でのびのびできそうだなと感じたこと、看護学以外の分野も広く学べる機会が多いこと、グローバル教育に力を入れていて、進級条件に英語の達成基準が高く設定されているので、それなら英語も頑張れそうだと思ったことなどからYCUを選びました。

YCUのいいところや、学生時代の経験で現在に生きていることがあれば教えてください。

経験豊富な看護学科の先生たちはみんな熱心に指導してくれ、卒業後もずっと気にかけてもらっています。大学院の受験を考える時にも何度か相談にのっていただきました。大学時代の実習の際にいただいた、「誠実でいることが大事」という言葉が特に印象に残っていて、どんなに忙しくても患者さんと向き合う時は常に誠実でいることを意識しています。 英語の面でいうと、特に周麻酔期看護師になってからは論文を読む機会が多く、ほとんどが英字論文であるため、大学時代の英語の授業やTOEFL対策で耐性がついたのは良かったと思います。大学院生の時も英語の先生によく質問をしにいきました。横浜だと外国の患者さんも多いので、まだまだカタコトの英語ではあるのですが、物怖じせずに接することができるようになったと思います。 YCUは、看護学科から他学科に移ることができるので、私が看護学科に在籍していた当時、途中で通訳を目指して実際に転科する学生もいましたし、卒業して看護師としての臨床経験を経てからCAになった友人もいました。絶対に看護師になりたいというモチベーションの学生もいれば、異なる視点をもつ学生もいて、それはすごくおもしろかったです。知らなかった選択肢に気づくことができ、視野も広がりました。

高校生や受験生に向けて、メッセージをお願いいたします!

大学受験期はどうしても大学に入ることが第一の目標になってしまいがちだと思います。でも本当はその先で自分が何をしたいか、そういうことが少しでも具体的になっていると、大学生活を過ごす上でやるべきことがさらに明確になると思いますし、それがあるのとないのとでは受験前の過ごし方もかなり変わってくると思います。気持ちを切らさずにやりきればきっといいことがあると信じて、悔いが残らないように頑張ってください!

「ヨコ知リ!」アンケート(締め切りました)

ご回答いただいた方の中から抽選でYCUオリジナルグッズをプレゼント! 当選者の発表はグッズの発送をもって代えさせていただきます。 ※グッズの指定はできません。

(2020/11/27)

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